五毒拳 VD-273

作品紹介

公開年月  1978/08/12
ジャンル  カンフー/アクション
原作  なし
監督  チャン・チェ
脚本  チャン・チェ、ニー・クァン
製作  ラン・ラン・ショウ
製作国  香港
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

お互い顔を仮面で隠し、それぞれがムカデ拳、ヘビ拳、サソリ拳、ガマ拳、ヤモリ拳を習得した5人の“五毒門”の拳士たち。
自らこの邪拳の封印を決意した師匠は、最後の門弟ヤンに街へ出て兄弟子たちを探し出して悪人と善人を見極めるよう命じる。
だが、その頃、五毒門の財宝をめぐる血と血で洗う殺し合いはすでに始まっていたのだった。

登場人物&出演者

ヤン・タク(演:チアン・シェン)
五毒門最後の弟子。すべての五毒拳を教えられるが、どれも未熟で中途半端と言われている。
チアン・シェンは代表作に『残酷復讐拳』、『上海13』などがあります。
死を悟った老師の命令によって、世間に出た5人の兄弟子の善悪を見極める旅へ出て行く。
街に徘徊して五毒門の弟子たちを探し回っているうちにようやく見つけ出す事に成功する。
善人であるホーを味方にして他の弟子たちを倒す作戦を練って、組んで一緒に戦う事に。
最後はホーとの見事な連携で正体を暴いたマーまで倒し、晴れて五毒門の悪人を一掃した。

チャン・ヒウティン(演:ルー・フェン)
五毒門のムカデ拳を極めた拳士。一番弟子。別名「百足千手」で素早い攻撃を得意とする。
ルー・フェンは代表作に『Crippled Avengers』、『上海13』などがあります。
五毒門が残している財宝を狙っていて、チャイとともにずっと探しているが見つからず。
ようやく老師の兄弟弟子を見つけ出すと、強引に聞き出そうとして皆殺しにしてしまう。
チャイの裏工作で釈放されると、悪の五毒門を倒しにやって来たホーとヤンを迎え撃った。
最後は正体を暴いたマーに付くが、倒されるとホーとヤンに戦いを挑むも敵わず倒された。

チャイ・トン(演:ウェイ・パイ)
五毒門のヘビ拳を極めた拳士。二番弟子。別名「霊蛇」で右手は牙、左手は尾を模している。
ウェイ・パイは代表作に『剣聖たちの挽歌』、『燃えよデブゴン7』などがあります。
街の権力者で富豪として君臨し、チャンとともに五毒門が残した財宝を探し続けている。
強引なやり方で聞き出そうとしたチャンを諫めていたが、弟弟子の立場として反論できず。
ずっと黒幕であるマーの言う通りに殺人を犯すが、次第に自分の冷酷さを恨むようになる。
最後はマーが正体を現して手裏剣で負傷し、ヘビ拳を食らわせるも致命傷ですぐに死亡した。

マー/ティン・ジン(演:スン・チェン)
五毒門のサソリ拳を極めた拳士。三番弟子。手はサソリのハサミ、足はサソリの尻尾を模す。
スン・チェンは代表作に『南少林寺 vs 北少林寺』、『少林寺対武当拳』などがあります。
ホーの上司でありながら友人であり、いつも軽い調子の彼を止めて冷静に対処している。
ユン一家の殺人に関わったチャイを捕縛するが、買収された裁判官の命令でリーを捕らえた。
実はチャンやチャイを裏で動かしていた黒幕であり、他の五毒門を抹殺しようとしていた。
最後は正体を暴くが、油断してチャイのヘビ拳を食らい、ホーとチャイに倒されてしまう。

ホー/ポウ・ティンハップ(演:フィリップ・コク)
五毒門のヤモリ拳を極めた拳士。四番弟子。脚力が非常に強く、壁を歩く事ができる。
フィリップ・コクは代表作に『ヒーロー・オブ・カンフー』シリーズ、『帝都大戦』がある。
ティンと同じく街の役人として兄弟子たちを探す一方、博打にも手を出して楽しんでいる。
ヤンが接近してユン一家を殺したのがチャンだと分かり、すぐに捕まえて正体を暴いた。
罠にハメられたリーの敵を取るべく、ヤンと手を組んでチャイとチャンを倒す作戦を練る。
最後は正体を暴いたマーとも戦い、見事に倒して宝を寄付し、ヤンと街を去っていった。

リー/リョン・シン(演:ロー・マン)
五毒門のガマ拳を極めた拳士。五番弟子。全身が鋼鉄のような硬さを持ち、破壊力を生む。
ロー・メンは代表作に『グランド・マスター』、『イップ・マン/継承』などがあります。
ポウにだけ正体を明かして協力しあって、チャンとチャイを一般人として探している。
一番弟子がチャンだと判明して、自ら正体を明かしてディンの前で捕まえる協力をした。
チャイを助ける為にホンが裁判官を買収し、その罠にハマって力を失ってしまう。
最後は万針衣や紅背兜の拷問を受け、買収された捕吏に窒息死させられ自殺に見せかけた。

ユン(演:クー・フェン)
かつて五毒門に属していた。五毒門の現師匠とは同期。街で帳簿係の役人として働いている。
クー・フェンは代表作に『空とぶギロチン』、『北京原人の逆襲』などがあります。
貧乏学者でありながら多くの門弟を持っていたが、五毒門の出身だと誰にも言わずにいた。
最後は五毒門の財宝を隠し持っていて、それを狙ったチャンとチャイに襲撃されて死亡。

師匠(演:ディック・ウェイ)
五毒門の老総帥。長年による毒の蓄積で死期を悟っている。武術界から疎まれているという。
ディック・ウェイは代表作に『プロジェクトA』、『ドラゴンファイト』などがあります。
数々の悪事を働いた一門に自分の死とともに葬って、五毒門の看板を下ろそうとしている。
最後は命も尽きそうになる前、最後の弟子であるヤンに5人の善悪を見極めるよう命じた。

ワン(演:ワン・ロンウェイ)
街の裁判官。ティンとポウの上司。自分の名誉や地位を気にして街の秩序を守っている。
ワン・ロンウェイは代表作に『続・少林寺三十六房』、『ツイン・ドラゴン』があります。
ユン一家が殺害されると、犯人を捕まえないと地位が危ういとしてティンとポウを駆り出す。
犯人としてチャンを捕まえるが、裏で通じているチャイの賄賂を受け取って釈放させる。
最後はチャイの裏工作で証人の証言を変えさせ、犯人をリョウに仕立てる事で同意させた。

感想

個人的な評価

本作は数々のカンフー映画を作ってきたショウ・ブラザースが製作したカルト映画です。
70年代は数多くのカルト映画が登場している中で、本作は『空とぶギロチン』に並ぶほどのコアなファンを多く持つ作品です。
この時代のカンフー映画というのは分かりやすい構図が多く、主人公は善人で反目する者は絶対悪として描かれています。
いわゆる「勧善懲悪」が基本であったが、本作はそんな王道とは少し違ったアプローチを見せています。
まず、誰が善人で誰が悪人か分からないどころか、そもそも五毒門の弟子が誰なのかを探る事からスタートしていきます。
そうは言っても、メインの登場人物からすぐに分かってしまうけど、ここら辺は他のカンフー映画とは大きく違っています。
明確な主人公もおらず、探りながら展開していく様子は非常に珍しく、未だに多くのコアなファンがいる意味でもあると思います。
もちろん、登場する五毒拳も面白く、手数のムカデ拳、変幻自在なヘビ拳、鋭い一撃のサソリ拳、壁を這うヤモリ拳、鋼鉄の皮膚のガマ拳と個性的です。
これだけでも面白いのですが、お互いに探り合って誰が五毒門なのか疑っていく展開もまた悪くないと思います。
それぞれの思惑が交錯する中で、ようやく善悪を見極める最後の弟子の出番が来て、味方にする善人も納得がいきます。
武術としてじゃなく、個性としてもムカデは猪突猛進、ヘビは策士、サソリは冷酷、ヤモリは友情、ガマは実直という性格の違いもしっかりと描いている。
本作は王道のカンフー映画と違った雰囲気を出しているが、クライマックスではスッキリしていて70年代らしくサッパリと終わらせています。
最近は70年代のカンフー映画を観る機会が多いけど、このような単純で尾を引かない作品は現代の入り乱れた構図が王道の作品と違って新鮮味があります。