生体兵器/アトミック・ジョーズ RE-2570

作品紹介

公開年月  2004/10/15
ジャンル  パニック
原作  なし
監督  ダニエル・グロドニック
脚本  ダニエル・グロドニック、ロン・オリヴァー、ほか
製作  ダニエル・グロドニック
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

政府機関の海洋研究所で人工的に遺伝子操作されたホオジロザメを使った生体兵器“ブルー・デーモン・プロジェクト”が進められていた。
ところが、研究所の立入禁止区域に一般人が入り込みホオジロザメの犠牲となり、プロジェクトの存続が危ぶまれる事になる。
更に数匹のサメが研究施設から逃げ出し、生体兵器の極秘計画が公になる事を恐れた軍部は普通のサメとして対応せず被害は拡大するのだった。

登場人物&出演者

ネイサン・コリンズ(演:ランダル・バティンコフ)
主人公。妻のマーラとともにホオジロザメの生体兵器化を研究する。マーラとは離婚寸前。
ランダル・バティンコフは代表作に『ダブル・ターゲット』、『キック・アス』があります。
同じ職場で同僚として研究所に働くが、マーラとの小さなすれ違いから離婚を進めていた。
上司に呼ばされたところで朝飯を食い、聴聞会でマーラに感情的な言葉を出す非常識なヤツ。
それでも危険なサメが施設から出た事で周囲の人に警告する普通の感覚を持っている。
最後は逃げたエイブリーを追いつめ、トラックの荷台に綴じ込まれたマーラを救い出した。

マーラ・コリンズ(演:ディディ・ファイファー)
ヒロイン。ネイサンとともにホオジロザメの生体兵器化を実現。ネイサンと離婚を考える。
ディディ・ファイファーは代表作に『エイリアン vs エイリアン』、『センター・オブ・ジ・アース/ワールド・エンド』などがあります。
仕事での同僚として毎日のように顔を合わせるネイサンに蓄積したイライラをぶつける。
ネイサンが書いた離婚届を所持しており、いつ別れるかタイミングを見て計っていた。
施設から逃げ出したサメを追う信号で居場所を突き止め、ダミーのプログラムを見破った。
最後はエイブリーのトラックでサメを操作するシステムを無効化し、多くの人命を救う。

エイブリー(演:ジョシュ・ハモンド)
コリンズ夫妻の研究を手伝う助手。モニターでホオジロザメたちの様子を監視している。
ジョシュ・ハモンドは代表作に『タイムコップ2』、『ピラニアシャーク』などがあります。
何かとズボラな性格で髪の毛はボサボサ、シャツもはみ出ているなど典型的な科学者。
離婚寸前であるマーラに行為を持っていて、密かに彼女への想いを募らせている。
実はレモラ将軍で大金によって雇われ、ブルー・デーモン・プロジェクトの利用で暗躍。
最後は逃げ出そうとするもネイサンの追跡でトラックが木に衝突して意識不明となる。

ローレンス(演:ダニー・ウッドバーン)
研究所の所長。施設内で一般人が襲われ、研究成果がない理由で中止を考えている。
ダニー・ウッドバーンは代表作に『彼女を見ればわかること』、『ミュータント・タートルズ』などがあります。
コリンズ夫妻のマイペースな研究に苛立ち、彼らの尻を叩くように毎度怒っている。
聴聞会で研究の命運が分かれるが、コリンズ夫妻の甘すぎる管理体制にイライラが募る。
今回の失敗でコリンズ夫妻を責めていたが、これは何者かの仕業と知って犯人を探す。
最後はレモラ将軍を監視するが、爆弾を銜えたサメを見てギリギリで脱出した。

レモラ将軍(演:ジェフ・フェイヒー)
ブルー・デーモン・プロジェクトの監督に任命され、テロの対策として重要さを語った。
ジェフ・フェイヒーは代表作に『マチェーテ』、『シン・ジョーズ』などがあります。
常に葉巻を口にしていて、言動の一つ一つにムダなコミカルさをかもし出している。
自分のやる事は国の為だと宣言し、如何なる手段でも極秘研究を漏らさないようにする。
愛国者として軍の予算が削られた事に憤慨し、ブルー・デーモン・プロジェクトを利用する。
悪事がバレて主事公たちに捕まり、最後は爆弾を銜えたサメの突進で爆発四散した。

感想

個人的な評価

サメ映画というのは無限の可能性を秘めている一方、オリジナリティを出すのは非常に難しい素材となっています。
偉大なる名作の『ジョーズ』をベースにしたサメの恐ろしさを描く映画はたくさんあります。
本作で扱っている人工的に遺伝子操作をしたサメと言えば、すぐに『ディープ・ブルー』を思い出しました。
『ディープ・ブルー』の場合はアルツハイマー病の治療薬が目的だが、本作は純粋なる生体兵器として生み出されています。
その為、本作のサメは『ジョーズ』に習って強力なホオジロザメがベースになります。
設定上では通常のサメよりも知能が高くなっているが、外見はほとんど変わらない。
六匹存在していて、電気を流した網で囲まれた施設で厳重に隔離されているが、予算削減で基本方針が変わってしまう。
これが原因でサメたちは網を食い破って施設の外に出てしまうという事が発覚する。
本作はサメ映画でタイトルもインパクトを与えるが、肝心のサメはかなり地味である。
頭脳が優れているという設定は一切活かせず、六匹いるという設定に意味がありません。
その証拠に一匹は端役の釣り人に殺され、四匹は脳に埋め込まれたチップが焼けて死んだという呆気ない感じになり、最後の一匹だけは別の場面で爆発四散する。
サメ映画は基本的に多くの無関係な人が殺されるが、本作は片手で数えるぐらいです。
しかも、六匹いるのにその数よりも劣る犠牲者のおかげで緊張感は皆無となります。
何よりサメたちの設定が弱すぎて純粋なサメ映画としてかなり質が悪いと言える。
それを危惧した製作側は主人公たちの関係ない離婚問題を取り上げるが、これは頭の悪い大人にしか見えなくなってしまう。
ぶっ飛んだ研究を成し遂げるにはマトモな人間では務まらないかもしれないが、いくらなんでも本作はそれと違った幼稚さしか際立っていない。
主人公は重要な話しをする上司の前で飯を食うし、大事な聴聞会でプライベートな私語をするなど、この上なく頭が悪すぎました。
それなのに主人公とヒロインのキャラクターが地味で、まったく印象に残りません。
またしても危惧した製作側は上司に小人症の俳優ダニー・ウッドバーンを起用し、将軍のキャラクターをコミカルにしました。
これによって確かにキャラクターの濃さを補うが、ストーリーと無関係すぎて笑えない。
冒頭ではシリアス方面だったのに、段々とつまらないギャグを挟み込むなど、本作の迷走ぶりは逆に目を引くほどヒドイです。
それでも映画として最低限の体裁を守り、上司と将軍のキャラによるフォローで辛うじてゴミ映画の感じから脱していると思います。