ANON/アノン RE-3020

作品紹介

公開年月  2018/05/04
ジャンル  SF/サスペンス
原作  なし
監督  アンドリュー・ニコル
脚本  アンドリュー・ニコル
製作  アンドリュー・ニコル、オリヴァー・ジーモン、ほか
製作国  ドイツ、イギリス
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

地球上のすべての人間の記憶は記録・検閲され、個人のプライバシーも匿名性が失われた近未来の世界。
「秘密」はもはや過去の遺物となり、犯罪さえも消滅していたが、起こるはずのない殺人事件が発生してしまう。
捜査上で頼りになるのは一切の「記録がない女」で、事件は何かの始まりを示唆するかのように次々と発生していくのだった。

登場人物&出演者

サル・フリーランド(演:クライヴ・オーウェン)
主人公。一級刑事。過去に一人息子を事故で亡くし、妻と離婚して独り身となっている。
クライヴ・オーウェンは近年の出演作に『ヴァレリアン/千の惑星の救世主』、『ラスト・ナイツ』などがあります。
いつまでも息子の死を後悔しており、誕生日に別れた妻に連絡を取るも呆れられている。
記録のない女を道端で見てからハッカーによる殺人事件の犯人と決めつけて捜査を開始する。
囮捜査で記録のない女と接触し、セックスまで持ち込むも正体がバレてハッキングされる。
最後は本当の黒幕を誘き寄せるエサに使われるが、なんとか撃退して彼女の記録が消された。

記録のない女(演:アマンダ・サイフリッド)
ヒロイン。政府の敷く監視システムに属せず、記録や情報が一切ない殺し屋として暗躍する。
アマンダ・サイフリッドは近年の出演作に『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』、『魂のゆくえ』などがあります。
18歳の時に父親が亡くなり、それをきっかけに存在を消去し、政府の監視から逃れている。
相手の視覚をハッキングして、別の記憶とすり替えるなど、独自のアルゴリズムを使う。
サルの囮捜査を通じて急に情が湧いて、なぜか彼とセックスするも正体を見破って陥れる。
最後は黒幕がサイラスだと判明し、サルをエサにして釣って見事に葬って姿を消した。

チャールズ・グラティス(演:コルム・フィオール)
指導刑事。サルの上司。サルを信頼している人物で、重要事件には彼を呼び出して任せる。
コルム・フィオールは代表作に『フェイス/オフ』、『ファイナル・フェーズ/破壊』がある。
ハッカーによる殺人事件でサルに捜査を任せるが、なかなか捕まえられず焦りを隠せない。
刑事局長から圧力をかけられ、サルの囮捜査を承認するも記録のない女が見つけられず。
今度はサルが隣人を殺した容疑で捜査が解任し、勝手に動いた彼を停職にしてしまう。
最後は結果的に記録のない女に逃げられてしまうが、特にサルを追求せずなぜか黙っていた。

レスター・ハーゲン(演:ジョー・ピング)
警察の技術コンサルタント。ハッカーが関わった特殊な殺人事件について分析していた。
ジョー・ピングは代表作に『ザ・ウォーカー』、『ルーム』などがあります。
被害者が残していた視覚データから情報を分析して、記憶の改ざんを発見して報告する。
記録のない女を捕まえるべく、サルが囮捜査をする間に別の部屋で彼女の居場所を探る。
なんとか手前まで迫っていくが、最後の壁を突破できず彼女の居場所が掴めなかった。
最後はサルの正体がバレて射殺されるが、実は真の黒幕であるサイラスに殺されていた。

クリステン(演:ソーニャ・ヴァルゲル)
サルの元妻。一人息子を失ってから離婚して、今では別の男と再婚している。
ソーニャ・ヴァルゲルは代表作に『エオゼンシュテイン』、『コレクター』などがあります。
息子の誕生日に連絡してきたサルに辟易し、過去の思い出に縛られる彼に注意していた。
最後は記録のない女によって息子の記録が消され、それに対して動揺を隠せなかった。

サイラス・フリア(演:マーク・オブライエン)
技術スペシャリスト。記録のない女を探す応援として、局長が個人的に推薦した人物。
マーク・オブライエンは代表作に『メッセージ』、『ダーケスト・マインド』があります。
すぐに記録のない女の視覚をハッキングし、彼女の見ている景色を全員に共有させる。
レスターが突破できなかった壁を突破しようとするが、サルの気付いた部分には気付かず。
実はその正体こそが今回の黒幕であり、以前から記録のない女を知ってずっと追っていた。
最後はサルを殺そうとするが、記録のない女の罠にハマって逆に殺されてしまう。

感想

個人的な評価

本作は『未体験ゾーンの映画たち2019』にて上映された作品となります。
監督は『ガタカ』や『TIME/タイム』で知られるアンドリュー・ニコルが務めています。
設定として視覚上で他人の情報や街中のデータを瞬時に習得し、一切の秘密がない近未来の世界となっています。
ある意味、本作はディストピア映画とも言えるが、アンドリュー・ニコル監督の『TIME/タイム』に似た世界観でもあります。
現実の世界でも徐々に本作のような技術に近づいているが、さすがに全員の情報を共有するようなシステムは倫理的にムリだろうと思います。
ただ、映画としての素材として悪くないが、残念ながら一本調子すぎて単調に感じた。
最初は面白いアイデアとして映像での演出も面白いが、あまりにも代わり映えない視覚情報に後半は飽きてしまう。
更に本作を支えるべきストーリーも弱く、ミステリーの部分も薄っぺらでハラハラさせられるような展開とは言い難い。
残念ながら本作は作品として新鮮味に欠け、面白味がない淡々とした構成だが、その中で光っているのはアマンダ・サイフリッドの存在です。
本作はかなり弱点の多い作品であるが、アマンダ・サイフリッドが画面に映っているだけで細かい粗が吹き飛びます。
それぐらい本作ではアマンダ・サイフリッドの謎に満ちた魅力を充分に発揮していました。
ちゃんとアマンダ・サイフリッドが持つ魅力を理解し、それを最大限に活かしているアンドリュー・ニコル監督の手腕が上手く噛み合っている。
だから最後まで鑑賞できるが、冷静に分析すると作品として面白くはないです。
あと、主人公を演じているクライヴ・オーウェンが何度かベッドシーンをするけど、明らかになくてもいい場面である。
やはり、これはストーリーの脆弱さ、設定の薄っぺらさをなんとかごまかそうとするアンドリュー・ニコル監督の演出だろうと思う。
アマンダ・サイフリッドとベッドシーンを入れ込む事で細かい部分の雑さをごまかし、最後まで鑑賞させる作品という印象が強かったです。