アド・アストラ RE-3198

作品紹介

公開年月  2019/09/20
ジャンル  SF/ドラマ
原作  なし
監督  ジェームズ・グレイ
脚本  ジェームズ・グレイ、イーサン・グロス
製作  ブラッド・ピット、デデ・ガードナー、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

地球外知的生命体の単球に人生を捧げた父クリフォードに憧れ、息子のロイ自らも宇宙飛行士の道へ進んだ。
ある日、ロイは探索の旅へと出発してから16年後に太陽系の彼方で行方不明となった父がまだ生きていると告げられる。
そこでロイは父を捜し出し、父が関わっている危険な実験を阻止するという人類の未来をかけた過酷なミッションに臨むのだった。

登場人物&出演者

ロイ・R・マクブライド少佐(演:ブラッド・ピット)
主人公。宇宙飛行士。偉大な宇宙飛行士である父親に尊敬を持ち、自身も同じ道を進む。
ブラッド・ピットは近年の出演作に『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』、『キング』などがあります。
リスクを伴う仕事の為に妻のイヴと別れ、心拍数が80を超えないよう常に自制している。
父親が生きていると知り、宇宙軍から探索指令に従っていくが、その過程で色々と葛藤する。
ようやく父親と再会して連れ帰ろうとするが、拒否されて目の前で海王星へ飛んでいく。
最後は宇宙船を核兵器で爆発させ、その爆風を利用して地球へ帰還し、絆の大切さを語った。

イヴ・マクブライド(演:リヴ・タイラー)
ロイの妻。いつも家を空ける夫に孤独感を持ち、ついに彼の前から立ち去ってしまう。
リヴ・タイラーは近年の出演作に『ワイルドリング/変身する少女』、『スペース・ステーション76』などがあります。
ロイが傍にいても心がここにないと分かっていて、それに耐えられず離婚をする事になる。
最後は無事に任務を終えて地球へ帰還したロイの元に戻り、再び妻として彼の傍に戻る。

ヘレン・ラントス(演:ルース・ネッガ)
火星にあるエルサ基地の最高責任者。両親は“リマ計画”に参加するも生きて戻らなかった。
ルース・ネッガは代表作に『ワールド・ウォーZ』、『ラビング/愛という名前のふたり』などがあります。
父親を探す為にやって来たロイを出迎えるが、彼の受けた機密任務について何も知らない。
地球へ帰還するロイの元にやって来ると、彼がどんな任務に就いているか聞き出し協力する。
両親が責任者であるクリフォードに殺されたと話すが、ロイに責任はないと認めている。
最後はリマ計画の宇宙船を破壊する船にロイを乗せ、どんな罰でも受ける覚悟を持っていた。

トーマス・プルーイット大佐(演:ドナルド・サザーランド)
30年に渡って宇宙軍で宇宙飛行士として任務に従事する。父親を探すロイの任務を監視する。
ドナルド・サザーランドは近年の出演作に『判事オリヴァー・ストレート/全米に裁かれた男』、『バックドラフト2/ファイア・チェイサー』などがあります。
過去にクリフォードと仕事をしていて、小さい頃のロイに会っているが本人は知らなかった。
火星へ行くまでロイを監視するはずだったが、月面を移動中に紛争に巻き込まれてしまう。
持病の不整脈で発作が出ると、ロイを行かせる代わりに父親のメッセージを手渡した。
最後は火星に向かっていたロイが経過を調べると、月で緊急手術を受ける事になっていた。

H・クリフォード・マクブライド博士(演:トミー・リー・ジョーンズ)
ロイの父親で宇宙飛行士。どの宇宙飛行士よりも多くの勲章を受けている伝説的な人物。
トミー・リー・ジョーンズは近年の出演作に『カーライル/ニューヨークが恋したホテル』、『記者たち/衝撃と畏怖の真実』などがあります。
“リマ計画”という地球外知的生命体の探索に出るが、行方不明となって死を認定された。
27年後に生存が確認されるが、地球へ帰りたい乗組員の言葉を無視して排除してしまう。
船にたどり着いたロイと再会するが、一度も妻や息子について考えた事がないと話していた。
最後は地球へ連れ帰ろうとするロイを拒否し、そのまま海王星の方へと宇宙遊泳していく。

感想

個人的な評価

本作は『第69回カンヌ国際映画際』にてジェームズ・グレイが監督と脚本を務める計画として発表されています。
製作には主演を務めているブラッド・ピットが名を連ねています。
宇宙をテーマにした作品は大昔からありますが、本作は近い未来で実現できそうな世界観を基本にしています。
近年のSF映画はファンタジックな内容よりも、より実現可能な設定が多く、ある意味、リアリティに徹しているような印象を受けます。
本作の設定では人類がすでに月や火星に人を送って自由に行き来し、ついに地球外知的生命体を探索するところまで来ている。
これだけの設定ならばワクワクしてしまうが、本作は広い宇宙に出ているのにストーリーは主人公の内面が中心になってしまっている。
主人公の独白が流れる度に広大なスケールの作品が一気に小さな部屋のレベルになり、せっかくのワクワク感も台無しになります。
冒頭から他人と関わりたくない主人公の孤独感を演出しているが、これは後に人との繋がりが一番だと気付くパターンという展開が見え見えでした。
そこに死んだはずの父親が遠い海王星の近くで生きていると知って、それまで頑なだった主人公の孤独な感情が揺さぶられていきます。
この展開は見え見えだったので、どんな風に演出していくと思ったら、ブラッド・ピットの独白という一番面白くない方法を取りました。
別に宇宙空間じゃなくて、広い海でもいいし、深海でもいいと思わせるぐらい背景にある設定を無意味にしてしまっている。
まるで水と油のように決して混ざり合わない素材を分かりながら使い、これを面白くできなかったところに出発点からして間違っていると感じました。
結局、こういう広大な宇宙を舞台にしたドラマ仕立ての核に親子の絆なオチになるパターンはそろそろやめて欲しいです。
宇宙を舞台にしているからワクワクするはずだが、そこには空しさしかなく、ある意味、現代を象徴しているような作品だと思えました。