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ヒトラーの忘れもの RE-2622

ヒトラーの忘れもの RE-2622

作品紹介

公開年月  2015/09/10
ジャンル  戦争/ドラマ
原作  なし
監督  マーチン・サントフリート
脚本  マーチン・サントフリート
製作  マルテ・グルナート、ミカエル・クリスチャン・リークス
製作国  デンマーク、ドイツ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

1945年5月のドイツ降伏後、若いドイツ兵の戦争捕虜の集団がデンマーク当局に引き取られ、ナチス・ドイツが砂に埋めた地雷の撤去をする為に西海岸へ派遣される。
しかし、その派遣は戦争捕虜の強制労働を禁じるジュネーブ条約に違反する命令である。
少年兵たちはデンマークのカール・レオポルド・ラスムスン軍曹の指揮下で、危険な作業に身を投じるのだった。

登場人物&出演者

カール・ラスムスン軍曹(演:ローランド・ムーラー)
主人公。デンマーク軍の軍曹。国へ送還されるドイツ兵を一方的に罵倒と鉄拳を加えた。
ローランド・ムーラーは代表作に『シージャック』、『真夜中のゆりかご』などがあります。
デンマークの西海岸での地雷撤去を命じられるが、送られた少年兵たちに戸惑いを覚える。
当初は厳しい態度で少年兵に接していたが、次第に彼らの直向きさに情が移っていく。
愛犬が処理しきれなかった安全地帯の地雷で爆死し、少年兵たちにまたも冷たい態度に。
最後は生き残った四人の少年兵が別の地雷原に行った事を許せず、彼らを国境へと逃がした。

セバスチャン・シューマン(演:ルイス・ホフマン)
ナチス・ドイツの少年兵。ラスムスン軍曹と目を合わせた時に彼を黙らせる力強さを持つ。
ルイス・ホフマンは代表作に『トム・ソーヤー』、『ヒトラーへの285枚の葉書』がある。
二日間も食べる物がなく、ラスムスン軍曹に直談判するが当然のように突き返される。
ラスムスン軍曹が一目を置かれる存在となり、デンマーク兵に虐められる仲間も助ける。
少年兵たちのリーダー格として彼らを支える存在となり、ラスムスン軍曹に認められる。
最後は別の地雷原へと送られたが、ラスムスン軍曹の計らいでドイツへ逃がされた。

ヘルムート・モアバッハ(演:ジョエル・バズマン)
ナチス・ドイツの少年兵。士官クラスの軍服を着る。ラスムスン軍曹の前で涙目になる。
ジョエル・バズマンは代表作に『青い果実』、『ロストックの長い夜』などがあります。
将来について語っていたヴィルヘルムを否定し、現実に未来はないと悲観的な言葉を言う。
二日間も飲まずの状態に限界を感じて、夜な夜な食べ物を探し出すも全員食中毒になる。
地雷撤去が完璧じゃなく、軍曹の犬が爆死したせいで地雷原を歩かされて逃げようとした。
最後は別の地雷原へと送られたが、ラスムスン軍曹によりドイツとの国境に下ろされた。

ルートヴィヒ・ハフケ(演:オスカー・ブーケルマン)
ナチス・ドイツの少年兵。ラスムスン軍曹の前では自己紹介だけで済まされた。
オスカー・ブーケルマンは本作が長編映画デビュー作となります。
地雷撤去作業中にレスナー兄弟に対して、終わったら故郷でビールと女を抱くと宣言した。
レスナー兄弟と信管を抜いた地雷を集めて、記録してラスムスン軍曹に報告をしていた。
エベ大尉が連れてきたデンマーク兵にイジメを受けるが、ラスムスン軍曹が助けた。
最後は別の地雷原へ送られたが、ラスムスン軍曹が約束を守ってドイツの国境で下ろした。

エルンスト・レスナー(演:エミール・ベルトン)
ナチス・ドイツの少年兵。ヴェルナーとは双子の兄弟。ラスムスン軍曹の前で勝手に発言。
エミール・ベルトンは本作が長編映画デビュー作となっています。
地雷撤去作業の合間で軍曹が泊まる農家の家の少女に話しかけて彼女のパンを盗んだ。
ルートヴィヒとの会話で将来は佐官で町を復興させ、ヴェルナーと会社を作ると話した。
ヴェルナーが地雷撤去の作業で爆死してしまい、そのせいで生きる気力を失っていく。
最後は農家の娘が地雷原に入って助け出すが、ヴェルナーの後を追って地雷を踏み自爆。

ヴェルナー・レスナー(演:オスカー・ベルトン)
ナチス・ドイツの少年兵。エルンストとは双子の兄弟。ラスムスン軍曹の前で兄が怒られる。
オスカー・ベルトンは本作が長編映画デビュー作となります。
地雷撤去作業の合間で、近くの民家に住む少女がパンを持っている事をエルンストに話す。
エルンストと比べて体が弱く、地雷撤去作業中に気分を悪くして1時間の休憩を取った。
地雷撤去の作業で二個重なって仕掛けられた事に気づかず、そのまま爆死してしまう。

ヴィルヘルム・レーバーン(演:レオン・サイデル)
ナチス・ドイツの少年兵。赤毛。ラスムスン軍曹の前ではハッキリと名前を口にした。
レオン・サイデルは代表作に『トム・ソーヤー』、『Die Abenteuer des Huck Finn』などがあります。
地雷撤去作業での生活は悪くないと思い、終わったら国に帰って機械工になると宣言する。
ヘルムートの持ってきた家畜のエサにあたり、地雷撤去作業中に誤爆して両腕を失う。
ラスムスン軍曹が緊急搬送をさせ、後日見舞いに行くが治療の甲斐なくすでに死亡した。

エベ・イェンスン大尉(演:ミケル・ボー・フォルスゴー)
デンマーク軍の工兵部隊の大尉。デンマークの西海岸に残った地雷撤去の指揮を担当する。
ミケル・ボー・フォルスゴーは代表作に『ロイヤル・アフェア/愛と欲望の王宮』、『特捜部Q/檻の中の女』などがあります。
ドイツ兵を人間として見ておらず、彼らの命は家畜以下で徹底的に作業の訓練を仕込む。
ラスムスン軍曹が少年兵に食料を持っていたところを見て、嫌がらせをしようと現場へ。
少年兵にかすかな情が移ったラスムスン軍曹を見抜き、見せしめに撃ち殺そうとした。
最後はラスムスン軍曹の約束を破って、命令という理由で少年兵たちを違う地雷原へ送った。

感想

個人的な評価

本作は第二次世界大戦後にデンマークで地雷撤去を強要されたドイツ兵たちの物語がベースとなります。
確かにナチス・ドイツは言葉にできないほどの非道な事をやってきたが、捕虜となった彼らの扱いを描いた作品となります。
ジュネーヴ条約では戦争捕虜の強制労働は禁じられているが、デンマークでは実際にドイツ兵を使って地雷撤去作業をやっていたという過去があります。
本作では冒頭から緊張感のある場面の連続で、ドイツ兵が虐げられているが、いくら悪事を働いたにしても気分の良いモノではありません。
デンマークの軍人たちがドイツ兵に対する扱いは、どっちが悪者なのか分からなくなるぐらい非人道的なやり方だと分かります。
結局、暴力に対して暴力で対応しているので、憎しみの連鎖というのがなくならない事実が分かる展開でもあります。
ドイツ兵というだけで相手が少年兵であろうが、一切の情を持たないデンマーク兵たちの非人道的な接し方は戦争の悲惨さを物語ります。
確かにドイツ兵は罪ない人々を虐殺したが、その命令に従っていた少年たちに怒りをぶつけるデンマーク兵がまるでナチスにような印象を与える。
やはり、戦争には何もいい事はないし、例え終結しても勝者と敗者が生まれ、一方的に虐げられる事になるのです。
本作では少年兵たちに一番違い軍曹が心変わりをしていくが、一方でアウシュヴィッツの強制収容所では最後まで残虐性を究めたドイツ兵もいる。
相手は少年で戦争に巻き込まれただけで、ラスムスン軍曹もその事はちゃんと理解していた。
だからこそ次第に情が移っていき、休日には彼らとサッカーを楽しむ場面まであります。
ただ、戦争で国内をメチャクチャにしたナチスに対する憎しみは消えず、愛犬を失った時の怒りは当初の彼を思い出させます。
いくら友情を結んでも立場が勝者と敗者だという事を思い出させ、決して彼らの間には絆はないと伝わってきました。
本作は最初から最後まで緊張感で張り詰めていて、デンマーク兵がドイツ兵に対する威圧的な態度は被害者側であっても見ていても気分は良くありません。
当時はやり返す意味で憎しみたっぷりでドイツ兵を見下しているが、最後に彼らを助けた軍曹の人間味が彼らの救いになったと思います。
普通なら感謝の言葉があってもいいけど、本作から彼らは友人ではない緊張状態の関係であるラストのシーンが強く印象に残りました。

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