ラスト・サバイバー VD-254

作品紹介

公開年月  2017/02/23
ジャンル  サスペンス/アクション
原作  なし
監督  アリ・F・モスタファ
脚本  ヴィクラム・ウィート
製作  ピーター・サフラン、スティーヴン・シュナイダー、ほか
製作国  アラブ首長国連邦
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

戦争によって荒廃した世界、汚染された大地の中で廃墟に集まった男女10人は限られた水を分け合い、侵入者を防ぐべく入口を砦のように固めていた。
ある夜、外部の無法者に襲われた父親を旅人ムサに助けられたエイサは、彼を何日間か砦の中に泊める事にする。
だが、ムサはエイサの父親を殺害して姿を消し、次の瞬間から外のタンクから引いていた水が止まってしまい、調べに行くと死のトラップが仕掛けられていたのだった。

登場人物&出演者

エイサ(演:マフムード・アル・アトラシュ)
廃墟で生活する男女の一人。以前はサッカーチームで主将をして得点王になっていたという。
マフムード・アル・アトラシュは本作が長編映画デビュー作となります。
無法者にシュアイブが襲われると、周囲にいた仲間を射殺し、ムサまで殺そうとしていた。
父親の命の恩人であるムサを根拠もなく信頼し、シュアイブやマリアムに注意される。
次なるリーダーとしてカイスに認められるが、ジャマールが反旗を翻して追い出す事に。
最後はムサを倒すと、本性を現したゴルビンに認められ、彼らの仲間が集う場所を目指した。

マリアム(演:レーキーン・サード)
廃墟に集まった男女の一人。シュアイブの娘。行動したい気持ちがあるも止められている。
レーキーン・サードは代表作に『3000 Layla』などがあります。
あくまで廃墟の中で待機して、異常事態があった時には行動して欲しいと頼まれている。
ムサを迎え入れると、一緒にいたゴルビンの様子を見て何かに怯えていると察知する。
シュアイブがムサに殺されると、最初はエイサを責めていたが、すぐに思い直して謝罪した。
最後はムサに捕まってエイサを追い込む人質にされるが、兄を助ける為に自殺を選んだ。

カイス(演:サラー・ハノウン)
廃墟に集まった男女の一人。シュアイブに借りがあって、彼の右腕的な存在として君臨する。
サラー・ハノウンは代表作に『Falastine Stereo』などがあります。
シュアイブのルールに従って常に外を見張っていて、外部の人間を見つけると警戒する。
ムサがシュアイブをあっさりと殺すと、逆上して立ち向かうもまったく歯が立たず倒される。
シュアイブへの借りもあって、エイサと妹マリアムが次なるリーダーとして忠誠を誓った。
最後は戦士と認められるも実力不足で本性を現したゴルビンにあっさりと片付けられた。

ダオード(演:モハメド・モスタファ)
廃墟に集まった男女の一人。エイサと年齢が近く、彼とチェスをしながら見張りをする。
モハメド・モスタファは本作が長編映画デビュー作となります。
無法者が外でシュアイブと交渉している間、エイサと屋上から周囲を警戒していた。
ムサが本性を現してシュアイブが殺されると、何もできずに棒立ちをしていた。
水のタンクを調べる時に罠で破壊され、イトリスを助けようとして足にケガしてしまう。
最後は廃墟へ侵入したムサか本性を現したゴルビンによっていつの間にか処理された。

ラヤ(演:ルバ・ブラール)
廃墟に集まった男女の一人。元教師。イトリスと結婚した。顔の右側は火傷を負っている。
ルバ・ブラールは代表作に『ミラル』、『サンド・ストーム』などがあります。
ムサとゴルビンを出迎えて食事をしていると、なぜか急に自分の傷について語っていた。
過去にテロリストの人質となってレイプされて、顔に硫酸を浴びせても生き長らえたという。
ムサが本性を現して裏切ると、水のタンクを調べたイトリスが罠で死んで復讐心に燃える。
最後は門の近くで地下に落ちて、ムサの罠で燃え上がる中で逃げ遅れてしまい焼死した。

ジャマール(演:アリ・スリマン)
廃墟に集まった男女の一人。メガネをかけたスキンヘッドの男。シュアイブの相談役。
アリ・スリマンは代表作に『パラダイス・ナウ』、『キングダム/見えざる敵』があります。
あくまで廃墟にいた仲間だけを信じていて、外から来たムサとゴルビンに疑いを持つ。
過去に家族を見殺しにして自分だけが生き延びた事で、エイサから信用されていなかった。
仲間の為にエイサの考えは間違っていると反旗を翻すも、孤立して結局は追い出された。
最後はムサに捕まって拷問を受け、エイサたちに見つけられるも助けられずに安楽死した。

イトリス(演:ラシード・マハス)
廃墟に集まった男女の一人。元舞台の演出家。廃墟に来てラヤに惚れて結婚をしている。
ラシード・マハスは本作が長編映画デビュー作となります。
教え子たちは全員死んでいたが、いつも「強く生きるべき」という教訓を話していた。
自分の思想と近い存在だったラヤに惚れ込み、シュアイブを説得して結婚を許された。
ムサが本性を現した時は一人だけ見張りをしていて、一番最後に現場へ駆けつけていた。
最後は水を調べようとして、ムサの罠が発動し、落下したところにタンクが落ちて死亡した。

シュアイブ(演:サメル・アル・マスリ)
廃墟に集まった男女のリーダー。無法者の侵入を許さないようにしっかりとルールを定める。
サメル・アル・マスリは代表作に『From A to B』、『The Cell』などがあります。
若い娘を囮にして無法者が侵入を企み、危うく殺されるところでムサの横槍に助けられた。
なぜかムサが持っていたナイフを取り上げず、ゴルビンとともに食事と滞在を許した。
相談役のジャマールから強く反対されても聞かず、ようやくナイフを回収しようとする。
最後はナイフをムサから取り上げようとして本性を出され、刺されてそのまま死んだ。

ゴルビン(演:マイサ・アブドゥ・エルハディ)
ムサと一緒に行動していた女性。クルド人でアラブ語は話せず、ムサが通訳をしている。
マイサ・アブドゥ・エルハディは代表作に『ラヤルの三千夜』、『ガザの美容室』がある。
命の恩人としてシュアイブに滞在を許されると、食事をしている時も怯えた様子を見せる。
ムサとは偶然出会ったと言われ、夫は無惨にも体をバラバラにされて惨殺されていた。
その正体はムサと同じく価値ある者を探す一人で、カイスをあっさりと片付けた。
最後はムサを殺したエイサを認め、価値ある者として仲間が集まる場所で待つと話し去った。

ムサ(演:サメル・イスマイル)
ゴルビンとさまよっていた。クルド語しかできないゴルビンと唯一意思疎通ができる。
サメル・イスマイルは代表作に『Shabab Sheyab』、『Yom Adaatou Zouli』があります。
無法者に襲われていたシュアイブを横槍で助け、命の恩人として廃墟に泊める事となる。
シュアイブから疑いをかけられると、すぐに本性を現して殺害し、逃げて罠を仕掛けていく。
水のタンクを破壊してエイサたちを外に誘き出し、一人ずつ確実に殺害して人数を減らす。
最後はエイサと対決するが、主人公補正を発揮されてしまい、呆気なく殺されてしまう。

感想

個人的な評価

本作はなんと言っても、非常に珍しいアラブ首長国連邦の作品となります。
更に『インシディアス』と『死霊館』のスタッフが参加した作品でもあります。
いわゆる終末を描いた作品となっているが、そうなってしまった理由などなんでもいいというぐらい重要ではない。
あくまで本作は生き残った人たちの中に他人が入って、マヌケな彼らに本当のサバイバルを体験させるという内容でした。
いくら無法者から助けられたとは言え、余所者を信用できない世界なのに、武器も取り上げず迎え入れる時点でおかしいです。
そんな甘い考えで一年近くも無事に生き延びた主人公たちに説得力がまったくありません。
リーダー格となる主人公の父親も警戒しているようでしておらず、結果的に命の恩人に殺される自業自得な結果を招きます。
新たなリーダーとして主人公が出しゃばるけど、父親以上に無能で、何をやっても空回りして仲間を死なせてしまう。
危険な世界の中で平和ボケしている主人公たちがどうやって今まで生き残ってきたのか疑問しか浮かびません。
とにかく、本作は主人公側の人物はみんなマヌケすぎて、たった一人のサバイバルに長けた男にやられても仕方ないと思う。
それと言葉の通じない女がカギを握っていると思っていたが、すべて演技で価値ある者を探していたオチは微妙でした。
多分、製作側は大どんでん返しを狙っていたが、そこまで効果がなく、急に主人公が強くなる補正のせいでかすれてしまった。
本作は続編こそが本番という形で終わるが、それまでの物語が徒労にしか感じられず、何より無能な主人公が急に強くなる展開も良くない。
やりたい事は伝わってくるが、あまりにもラストに詰め込みすぎたせいで全体がボヤけてしまった悪い例の作品でした。