ドラゴン×マッハ! RE-2530

作品紹介

公開年月  201701/07
ジャンル  アクション/格闘技
原作  なし
監督  ソイ・チェン
脚本  ジル・レオン
製作  ウィルソン・イップ、パコ・ウォン、ほか
製作国  香港、中国
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

香港の犯罪組織が関わっている闇の臓器売買ビジネスを取り締まるべく、チーキットは危険な潜入捜査を行うも、正体がバレてしまい、タイの刑務所に収容される。
だが、その場所こそ臓器売買の拠点で看守を務めていたチャイは、臓器移植が必要な愛娘の治療を稼ぐ為、信念を曲げて犯罪行為を見逃していた。
そこへやって来たチーキットによって正義の心を揺さぶられ、犯罪を一掃する為にチャイは協力する事になるのだった。

登場人物&出演者

チャイ(演:トニー・ジャー)
主人公。北クロン刑務所の刑務官。娘のサーは8歳にして白血病で治療費を骨髄移植を望む。
トニー・ジャーは近年の出演作に『トリプルX:再起動』、『ワイルド・スピード/SKY MISSION』などがあります。
刑務官として真面目に務めているが、刑務所での違法な臓器売買を黙って見逃している。
娘を救う為に骨髄移植ができるドナーと連絡をするも、それがチーキットだと知らず拘束。
刑務所の実態を突き付けられ、娘の事を想って間違った道から正しい道へと変わる。
最後はチーキットと共闘し、刑務所所長のホンを見事に倒し、娘のサーと再会を果たす。

チーキット(演:ウー・ジン)
主人公。潜入捜査官。オジのチャンに推薦されて潜入捜査をするも自身もクスリ漬けとなる。
ウー・ジンは代表作に『インビジブル・ターゲット』、『コール・オブ・ヒーローズ/武勇伝』などがあります。
一時はクスリに溺れるもオジの強い言葉に目を覚まして治療をしようと試みる。
ようやく捜査に進展が見えて核心に迫ろうとした時に正体がバレてタイの刑務所へ送られる。
自分がチャイの娘を助けられるドナーと知るも、薬物のせいですぐ移植できないと知る。
最後はマンコウの組織を潰す為にチャイと協力し、最終的にサーに骨髄移植をする。

サー(演:アンダー=クンティーラー・ヨードチャーン)
チャイの娘。わずか8歳で白血病を患う。余命が半年だがようやくドナーが見つかった。
アンダー=クンティーラー・ヨードチャーンは本作が長編映画デビュー作となります。
チャイにとって一番の宝であり、彼女の為ならばなんでもやる覚悟を持っている。
道を踏み外しそうになったチャイを思い留まらせる重要な役目を果たしている。
物語は彼女が大人に成長して振り返る回想録となって、移植に成功した事を示唆する。
本作のヒロインと言ってもいい存在感で、物語のドラマ性を支えた重要な役でした。

チャン(演:サイモン・ヤム)
チーキットのオジ。重犯罪科の刑事。甥のチーキットを潜入捜査官に任命している。
サイモン・ヤムは代表作に『BLACK CAR/黒い女豹』、『イップ・マン/葉問』があります。
潜入捜査でヤクをやっていたチーキットに落胆するも、それが必要なモノだと知って納得。
正体がバレて捕まったチーキットを助ける為、どんな手段でも辞さない強い信念を持つ。
どんな事があっても一緒に帰ろうと言って、諦め擁するチーキットを何度も励ます。
絶望的な状況でも諦めない姿勢こそ、チーキットに強い力を与えた大きな人物である。

コン(演:ロー・ワイコン)
北クロン刑務所の刑務官。チャイとは友人でサーを自分の娘のように想っている。
ロー・ワイコンは近年の出演作に『クレイジー・ナイン』、『スペシャルID/特殊身分』などがあります。
捕まっている甥を助け出す為に大金で買収され、チャンを無断でチーキットと面会させる。
実は大金をチャイに渡して娘とともに別のところへ行かせようとしていた。
所長の信頼を勝ち取る為にチャンを刺すも、それが間違いだと気づいて彼らを助ける。

コウ・ホン(演:マックス・チャン)
北クロン刑務所の所長。汚らしい刑務所の中にあって清潔感とクールさを兼ね備える。
マックス・チャンは代表作に『グランド・マスター』、『イップ・マン/継承』があります。
実は幼少期に死にかけていたところをマンコウに助けられ、それ以来忠実な部下となる。
刑務所での臓器売買を取り仕切り、マンコウからは絶大な信頼を寄せている。
自分の似た境遇を持つチャイに同情して治療費やドナーを用意するも裏切られて逆上する。
最後はチャイとチーキットの正しい心による共闘であえたく敗れ去ってしまう。

ホン・マンコウ(演:ルイス・クー)
表では玩具貿易商。裏ではタイの刑務所を拠点に臓器売買の元締め。心臓が悪く移植が必要。
ルイス・クーは代表作に『特攻!/BAD BOYS』、『コール・オブ・ヒーローズ/武勇伝』などがあります。
血液型は100万人に1人という珍しいタイプで、心臓移植では弟だけが適合している。
その為、弟の心臓を移植しようとするが、チャンによって何度も邪魔されてしまう。
弟という理由で長年ガマンしていたが、命が危ないと知って心臓をあっさりともらうとする。
最後は乗り込んできたチーキットによって医者が倒され、移植が受けられる命が尽きる。

感想

個人的な評価

本作は2005年にサモ・ハンとドニー・イェンの共演で話題になった『SPL/狼よ静かに死ね』の続編となっています。
しかしながら、本作が続編とは知らなかったので鑑賞するのは多少の不安があった。
ただ、物語を追っていくと続編と言っても前作とは一切繋がりがない内容でした。
ですので、本作は単体としても鑑賞できるので、タイトルや設定が似ているというところが続編と言えるでしょう。
本作はムエタイとカンフーの激突を描いた作品という触れ込みで宣伝している。
主演がタイのアクションスター、トニー・ジャーが演じ、ムエタイを披露してくれる。
もう一人の主演は香港スターのウー・ジンで、カンフーを披露してくれています。
このように二人は戦う事になる構図はすぐに思いつくが、両者とも真っ当な人生を歩んでいるワケではありません。
トニー・ジャーが演じるチャイは刑務官だが、彼の刑務所では違法な臓器売買をしている。
娘が白血病で多額の治療費を必要として、彼の強さに一目置く所長が金で買収していた。
一方のウー・ジンが演じるチーキットは潜入捜査をするが、その過程で麻薬に溺れてしまう。
更に潜入捜査がバレてしまい、臓器売買の本拠地であるタイの刑務所に連れて行かれる。
このように主人公の二人はマトモな人生を歩んでいないが、両者を救う人物との関係性をきちんと描いています。
チャイには娘、チーキットにはオジがいて、闇墜ちしようとした二人をそれぞれ救い出す。
本作は単純なアクション映画ではなく、愛と絆を描き、傷ついた男たちが大事な人たちを助ける為に立ち上がる物語でもあります。
チャイを助ける娘のサーを演じるアンダー=クンティーラー・ヨードチャーンがとにかく素晴らしい演技をしています。
本作のヒロインと言ってもいいぐらい、物語を底から支えているだけの存在感でした。
チーキットのオジを演じたサイモン・ヤムも、かなり強引なやり方であるが、甥の為になんでもやる姿は強い愛情を感じさせる。
この作品は単純にムエタイとカンフーの競演と評価しちゃいけないと思います。
それぐらい多くのドラマティックな要素を詰め込んでいて、いい意味で気楽に観ちゃいけない作品でもあります。
本作ではトニー・ジャーとウー・ジンがアクション俳優から、演技派俳優になった上手さも光っていたと思います。
ただ、個人的にはもっとアクションが観たかったし、ムエタイとカンフーの単純な対決を期待していただけに少しガッカリしました。
とにかく、本作をアクション映画として捉えるのではなく、もっと深いテーマのあるドラマ性の高い作品として観るべきかもしれません。