寄生獣/完結編 RE-2364

作品紹介

公開年月  2015/04/25
ジャンル  ホラー/SF
原作  岩明均 『寄生獣』
監督  山崎貴
脚本  古沢良太、山崎貴
製作  川村元気、佐藤貴博、ほか
製作国  日本
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

右手に寄生生物の“ミギー”を宿す高校生・泉新一は、いまや人間からもパラサイトからもマークされる存在。
そんな中、新一の住む東福山市にパラサイトが結集、市庁舎をアジトに組織化を図り、更なる勢力拡大へ向けて水面下で周到な準備を進めていた。
対する人間側も徐々にパラサイトの正体と脅威を把握していき、対パラサイト特殊部隊を結成して殲滅に乗り出す。
一方、人間の子供を産んだ事で意識に変化が生じたパラサイトの田宮良子は、新一とミギーの存在に人間との共存の可能性を見出すのだった。

登場人物&出演者

泉新一(演:染谷将太)
主人公。母親が死んだ事で決意を固め、本格的にパラサイト狩りを敢行していく。
染谷将太の代表作に『ヒミズ』、『バクマン。』、『みんな!エスパーだよ!』があります。
ミギーが心臓を再生した事で特異な存在になり、超人的な身体能力を発揮する。
本来ならミギーがあっての新一だが、あくまで映画では新一が主導になっています。
時間が限られているので、ミギーを全面的に出すと風呂敷を広げすぎる。
ここは監督や脚本の判断で脚色しているが、そこは悪くない変更だと思う。
きちんとやるならば、実写だと映画よりも連続ドラマじゃないとムリのはず。

ミギー(演:阿部サダヲ)
新一の右手に寄生するパラサイト。新一との生活により感情を持つようになる。
阿部サダヲは代表作に『舞妓Haaaan!!!』、『謝罪の王様』などがあります。
前作では合理的な言動が目立っていたが、本作では宿主の新一を第一に思う。
やはり、本作でも阿部サダヲの落ち着いた演技は好感が持てる。

村野里美(演:橋本愛)
ヒロイン。前作ではヒロインの補正により修羅場を後遺症もなく生き延びる。
橋本愛は近年の出演作に『美しい星』、『古都』、『バースデーカード』などがあります。
相変わらずヒロイン補正で存在しているだけで、登場すれば作品のテンポを崩す。
何より強引すぎるラブシーンに「えっ?」という感じになってしまった。
一応、新一を人間側に引き戻す役割だろうが、そこまで効果的に感じなかった。
そもそも橋本愛はヒロインとして微妙で、もっと違う女優で良かったと思う。

田宮良子(演:深津絵里)
パラサイトネットワークに属するパラサイト。子供を出産して心情に変化をもたらす。
深津絵里は代表作に『悪人』、『阿修羅のごとく』、『岸辺の旅』などがあります。
前作から人間の生態を研究しており、そこから人間という生物の恐ろしさを理解する。
リーダー的存在となって種の存続を第一に考えるも、子を持った事で感情が湧く。
新一と倉森を始末しようとした広川たちに人間の怖さを忠告していた。
最期に新一へ赤ん坊を預け、人間の素晴らしさを口にする真のヒロインでした。

広川剛志(演:北村一輝)
パラサイトネットワークに属する人間の政治家。前作により市長に当選している。
北村一輝は近年の出演作に『羊の木』、『相棒/劇場版Ⅳ』などがあります。
唯一の人間としてパラサイトネットワークで活動して彼らの手伝いをする。
自分たちの活動に邪魔となる新一や倉森の殺害を命じ、田宮に反旗を翻した。
基本的にパラサイトが自然の一部、人間が害虫という考えを持っている。

倉森(演:大森南朋)
フリーライター。パラサイトを一人ひとり始末する新一の存在をカメラに撮っていた。
大森南朋は近年の出演作に『さよなら歌舞伎町』、『神さまの言うとおり』があります。
田宮良子に利用され、新一に忠告されるも一矢を報いろうとして娘を殺される。
娘が犠牲になった事で怒りに囚われ、田宮の子供を誘拐するが、その時の目は完全にいっちゃっていました。

浦上(演:新井浩文)
パラサイトと人間を見分ける古都ができる能力を持つ。元々は快楽殺人の犯罪者。
新井浩文は近年の出演作に『銀魂』、『HK/変態仮面/アブノーマル・クライシス』などがあります。
対パラサイト特殊部隊の移動式スキャナーとして活躍するが、後藤を見て恐怖に戦く。
最後は忘れていた存在だったが、ヒロイン演出の為に再登場した感じだった。

三木(演:ピエール瀧)
パラサイトネットワークに属するパラサイト。感情のこもっていない笑い声が特徴的。
ピエール瀧は近年の出演作に『シン・ゴジラ』、『珍遊記』などがあります。
ジョギング中に不自然な作り笑いし、通りかかったヤクザの事務所を襲う危険なパラサイト。
実は田宮良子の実験によって5匹のパラサイトが一人の人間に寄生し、普段は右手、時に統率する頭部になる事ができる。

後藤(演:浅野忠信)
パラサイトネットワークに属するパラサイト。広川のボディーガードで一切の感情がない。
浅野忠信は近年の出演作に『沈黙/サイレンス』、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』などがあります。
田宮良子の実験で5匹のパラサイトが一人の人間に寄生したパラサイト。
5匹の中で最も統率を上手くコントロールし、対パラサイト特殊部隊を全滅させる。

感想

個人的な評価

原作をきちんと意識した前作は漫画の実写化として良かった。
基本的に邦画は10本のうち、1本が良作であればいいというレベル。
その中で漫画原作となれば、更に確率が落ちるという構造である。
前作はちゃんと原作に敬意を表した作品として好意の持てる内容でした。
完結編となった本作では、前作を踏まえてもっと深くまで物語を展開させている。
寄生獣の世界について説明した前作とは違い、本作は人間とパラサイトの共存が中心です。
その中で重要な役割を持ったのが田宮良子であり、彼女こそが真のヒロインと言える。
逆に蚊帳の外にいた村野里美は作品のテンポを悪くしてしまう悪影響だと感じた。
物語の中心にいる田宮良子の言葉に説得力や訴えがあるけど、村野里美の言動はなんだか場違いような印象を持った。
とは言っても、ヒロインなので主人公とくっつけないといけないという使命がある。
その為に浦上というカードを用意しているが、もう蛇足の何モノでもなかった。
主人公が普通の生活に戻る為に必要なヒロインとは言っても、本作で一番邪魔な存在に感じてしまったのです。
それ以上にヒロインを演じた橋本愛では、正直言って可愛くないのが最大のミスです。
ちょい役で出る程度なら気にならないけど、ヒロインとしては橋本愛じゃ魅力がなかった。
ヒロインの役割がどうでもいい上に、演じている橋本愛がアレならば、自ずと村野里美というキャラクターが邪魔に感じる。
前作が完結編のお膳立てをしてくれたが、ヒロインのおかげで失速したと思います。
ヒロインの役割をもう少し違う感じに変更して、橋本愛じゃなければマシになっていたはず。
染谷将太は前作ほどの勢いがなく、その代わり深津絵里が出てきたのは良かったけど。
あとは後藤の浅野忠信、三木のピエール瀧をもっと観たかっただけに短い登場は残念だった。