メッセンジャー(ロブ・ヨーク) RE-2575

作品紹介

公開年月  2017/07/05
ジャンル  SF/サスペンス
原作  なし
監督  ロブ・ヨーク
脚本  スコット・ベアード、ロブ・ヨーク
製作  スコット・ベアード、ロブ・ヨーク、ほか
製作国  アメリカ、オーストラリア
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

近未来のアメリカ、NASAは土星の衛星タイタンから発せられた電波を受信し、更に二種類の電波を海王星周辺からも確認した。
三つの電波の周波数を組み合わせると和音になり、何者かが意図的に作り出したと考え、国防省のロジャー・ネルソン大尉に調査を命じる。
タイタンや海王星の衛星トリトン、準惑星エリスをめぐり発信源を回収して帰還する10年にも及ぶ極秘任務に、妻のアビゲイルは反対するもロジャーは任務を受け入れる。
地球を発って542日目、ついに最初の目的地タイタンへ接近するが、そこで待ち受けていたのは人類の想像を絶する光景だった。

登場人物&出演者

ロジャー・ネルソン大尉(演:ブランドン・レイ・オリーヴ)
主人公。アメリカ空軍の宇宙飛行士。10年に渡る任務に一切の迷いなく引き受ける。
ブランドン・レイ・オリーヴは代表作に『Deal』、『Knuckle Draggers』などがあります。
人類史上の大発見になるという事で独断で決めるが、妻の猛反対でも意志を曲げない。
出発してから542日目でタイタンに到着し、そこで未知なる球体を発見する。
それを素手で触った瞬間にイメージが頭の中に入って、そこから探求心が盛り上がる。
最終的に三つの球体を手にして、自分の旅はまだ終わっておらず、オールトの雲へ行く。

ジェラルド・ベッカー(演:K・ダナー・ジェラルド)
NASAプロジェクト・ディレクター。ロジャーの友人。人類史上の大発見に興奮している。
K・ダナー・ジェラルドは代表作に『ザ・フューリー/烈火の戦場』、『ハイスクール・ミュージカル2』などがあります。
長く厳しい任務を事細かに説明し、今回はNASAの威信がかかっていると説明した。
遠い地球からロジャーと通信をしていて、ストレスで参っているアビゲイルの事を労る。
実は勝手にロジャーと通信しており、それに対して国防長官のスチュアートから注意される。
オールトの雲へ行く事を決意したロジャーを引き留めようとするが結局は失敗する。

アビゲイル・ネルソン(演:ホイットニー・パーマー)
ロジャーの妻。AIのスペシャリスト。ロジャーの10年に渡る任務に猛反対する。
ホイットニー・パーマーは本作が長編映画デビュー作となっています。
当初は宇宙へ行けると喜んでいたが、死ぬ可能性もある危険な任務に納得できなかった。
ロジャーがタイタンへ飛び立ってから苦労が絶えず、ストレスがMAX状態になっている。
その為、人工冬眠から目が覚めたロジャーとの会話を避けるが、それは心配するゆえの行動。
最終的にロジャーがオールトの雲へ行く事を決意し、引き留めようとするも止められず。

クライド・スチュアート(演:D・L・ウォーカー)
米国防長官。今回の任務は人類史上の大発見だけじゃなく、中国との競走だと説明する。
D・L・ウォーカーは代表作に『暴動/バトル・プリズン』などがあります。
優秀な宇宙飛行士であるロジャーを推挙するが、長い任務なので断る選択肢も与えた。
ロジャーの探求心に高い評価を与える一方、勝手な行動する彼に対して苛立つ。
未知の球体に触るロジャーに憤慨し、勝手に通信したベッカーを追い出した。
ロジャーがオールトの雲へ行く事を知ってベッカーを戻すも結局はムダなあがきとなる。

フェルディナンド(声:マシュー・マーサー)
タイタンの軌道に到着したロジャーのサポートをするAI。事務的に作業を進めていく。
マシュー・マーサーは代表作に『バイオハザード/ダムネーション』、『バイオハザード:ヴェンデッタ』などがあります。
18ヶ月ぶりに目覚めたロジャーにとって最初の話し相手でユーモアも備えている。
エリスから着陸船で母船に帰るロジャーを出迎えるが、システムに不具合が生じていた。
それ以降、ロジャーからの信頼を失ってしまい、すべての命令を聞くように設定される事に。

ニール(声:ニコラ・ポースナー)
タイタンへの着陸船でデータ電送の問題からフェルディナンドから切り替えられたAI。
ニコラ・ポースナーは代表作に『Mythica』シリーズなどがあります。
アビゲイルがプログラムした女性タイプのAIで、彼女に良く似ているとロジャーは言う。
あまりにもアビゲイルと似ている為、時折、ロジャーも苛ついた表情になってしまう。
フェルディナンドがおかしくなり、唯一頼れる存在だがドッキングした時点で自動更新する。
その影響でフェルディナンドと同じ状態になるので、もう頼れる存在でなくなってしまう。

感想

個人的な評価

本作は同時期に公開された『パッセンジャー』と『メッセージ』を連想させる邦題である。
実際の内容は『フォース・プラネット』のような主人公がメインの展開となっています。
『フォース・プラネット』では火星までの道のりでトラブルに見舞われ、徐々に追い詰められていく主人公を描いています。
その中でリアルな描写を極力取り入れ、どれだけで火星までの有人探査が大変なのかを克明に見せていました。
それに対して、本作はあくまで目的を淡々と達成していく中で、主人公が未知なるモノに触れて新たなミッションに向かうという事になります。
この展開はジョディ・フォスター主演の『コンタクト』に通じるテーマで、主人公は更なる未知のモノを探求していくのです。
本作は細かいところを見てしまうと明らかにムリのある展開だが、そこは笑って許し、作品が伝えたい人類は決して孤独じゃないという点が作品の肝となります。
やはり、これも『コンタクト』と似たテーマであるが、本作は地球上ではなく、実際に宇宙へ出るという違いがあります。
ただ、本作は残念ながら低予算なので全体的に安っぽい作りとなっているが、製作側の訴えたい事はちゃんと伝わってきます。
特に最初のミッションであるタイタンまでの到着は丁寧に描かれていて、想像上の地表や湖なんかも興味深い感じでした。
ハッキリ言って、本作の山場はタイタンに到着したところで、そこからは下降線をたどってしまったのは非常に残念だと感じました。
ただでさえ、火星までの有人探査は難しいのに、それよりも遠いタイタンなんて衛星探査でも難しいのに、本作ではもの凄く簡単にやってしまっている。
多分、未来の話しだろうが、使っている技術は現代とそれほど変わらないし、何より宇宙開発に中国が参戦している状態だから今と大して変わらない時代だと思える。
なので、宇宙船がタイタンまでたどり着いた時点で違和感あるし、人工冬眠しているからって、すぐに元気な感じで調査できるとは思えない。
百歩譲ってタイタンまでの有人探査はアリにしても、その後のトリトンとエリスの橋渡しは明らかにムリのある設定だと言えます。
その為か、詳しい描写を避けてダイジェスト風にしている点も納得できないです。
どうせならタイタンのみに絞った方がいいし、そっちの方がもっと上手く描けたはず。
欲張って目的地を三つにしてしまったのは失敗としか言えない構成でした。
全体的に最後まで鑑賞できる作風だったので、トリトンとエリスのダイジェストは本当にもったいないと思います。
そして、すべてをぶち壊す主人公がオールトの雲に突入する展開も単なる自殺と言える。
そもそも、当初の計画は最大で10年間の任務なので、宇宙船はその程度の設備と食料しか備えていないはずです。
だが、オールトの雲まで約38年という途方もない時間がかかるので、どう考えても主人公の宇宙船ではたどり着けません。
それなのにオールトの雲を目指すというのだから、もはや、本作に結論をつける考えがないという丸投げなラストにガッカリしました。
『フォース・プラネット』はそこら辺を現実的に捉えたからこそラストは納得できたが、本作は重要なラストを丸投げにしたのは自分の良さを殺す行為になると分からなかったのか。
タイタン到着まで良作ペースだったが、そこから一気に駄作になる残念な作品でした。