ドラゴン怒りの鉄拳 VD-155

作品紹介

公開年月  1972/03/22
ジャンル  カンフー/アクション/格闘技
原作  なし
監督  ロー・ウェイ、ブルース・リー(ノンクレジット)
脚本  ロー・ウェイ、ニー・クァン(ノンクレジット)
製作  レイモンド・チョウ、ロー・ウェイ(ノンクレジット)
製作国  香港
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

日清戦争・日露戦争で大日本帝国が勝利した数年後の1909年、清朝末期の上海で中国武術の大家フォ・ユァンジア(霍元甲)が謎の死を遂げる。
フォ・ユァンジアはその年に創始した精武館の愛弟子のチェン(陳真)は、悲しみに暮れながらも師匠の死に疑問を抱く。
時を同じくして始まった日本人柔道場から執拗な嫌がらせで、陳真は師匠の死因が彼らの仕業だと知り、たった一人で闘いを挑むのだった。

登場人物&出演者

チェン/陳真(演:ブルース・リー)
主人公。フォ・ユァンジアの愛弟子。師匠が急死したと知って上海に駆けつけた。
ブルース・リーは代表作に『ドラゴンへの道』、『燃えよドラゴン』などがあります。
柔道場から「東亜病夫」という看板でバカにされ、それを返すとともに全員をボコボコに。
そのせいで精武館は荒らされてしまい、その責任を感じて身を隠すべきだと助言される。
真犯人が鈴木だと知ってスパイと通訳を片付けると、道場に乗り込んで鈴木たちを殺した。
最後は精武館に戻って自首と引き換えに仲間の見逃すと申し出るも銃殺されてしまう。

ユアン(演:ノラ・ミャオ)
フォ・ユァンジアの娘。父が亡くなっても日々の鍛錬を怠らず、教えをしっかりと守る。
ノラ・ミャオは代表作に『ドラゴンへの道』、『レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳』がある。
チェンとは恋人関係で彼が帰ってきたら結婚を申し込まれるはずだったと告白される。
犯人を突き止めたチェンは行方をくらますが、師匠の墓にいると知って帰るよう説得する。
チェンの愛を告白されて見守るつもりでいたが、師範に言われて彼を迎えに行った。
最後は精武館に帰ると門下生たちが殺されており、チェンが仲間を庇って銃殺され悲しむ。

師範(演:ティエン・フォン)
精武館の師範。師匠が急死して葬儀を取り仕切っていた。帰ってきたチェンを宥めた。
ティエン・フォンは代表作に『大刺客』、『客途秋恨』などがあります。
柔道場から看板を持ってきた通訳の挑発に乗らず、あくまで師匠の教えに従いガマンした。
それでもバカにされたチェンの勝手な行動で報復しに来た吉田たちの襲撃を受けた。
師匠の言葉を貫き通そうとして何も行動せず、追われるチェンに身を隠すよう指示した。
最後は精武館がメチャクチャにされ、門下生を殺される中でチェンが正しいと悔しがった。

ウー(演:ウェイ・ピンアオ)
日本人道場から送られた通訳。フォ・ユァンジアの葬儀に看板を持ってきて小バカにする。
ウェイ・ピンアオは代表作に『ドラゴンへの道』、『アンジェラ・マオの女活殺拳』がある。
そこにいた全員を挑発するが、日本人側の人間という事で言いたい放題でバカにしていた。
虹口道場に乗り込んで門下生たちをボコボコにしたチェンを見かけ、すぐに身を隠した。
吉田が送り込んだ弟が殺され、実力行使に出ようとした鈴木を止めて別の方法を提案した。
最後は宴会場から帰る時、人夫に扮したチェンを連れ去られてそのまま殺されてしまう。

吉田(演:フォン・イー)
虹口道場の師範代理。ずんぐりとした体型に丸眼鏡をしている。中国人を小バカにしている。
フォン・イーは代表作に『大酔侠』、『馬永貞』などがあります。
精武館にスパイとして弟を料理番に潜ませていたが、チェンに殺されて復讐を館長に訴える。
鈴木の指示で精武館を潰そうとする矢先、チェンが乗り込んで騒ぎを知って駆けつけた。
最後は日本刀を振る舞わすが、打ち上げられて落ちてきたところで刺さって死亡した。

ペトロフ(演:ロバート・ベイカー)
元ロシアン・マフィア。母国でトラブルがあって、鈴木の道場には客分として迎えられる。
ロバート・ベイカーは代表作に『ドラゴンへの道』などがあります。
道場では怪力を見せつけ、素手で板に釘を刺し、鉄棒を曲げるなどの腕力を見せつけた。
最後は道場に乱入したチェンを相手にするが、飛び蹴りと喉へのチョップで死亡した。

用心棒(演:勝村淳)
鈴木の用心棒。常に鈴木の左後ろに立っている。無口だが鋭い眼差しを送っている。
勝村淳は代表作に『悪名』シリーズ、『座頭市』シリーズなどがあります。
チェンが乗り込んできたところで門下生と二人がかりで相手にするが、玉を潰されて死亡。

鈴木寛(演:橋本力)
悪役。日本人柔道場の館長。精武館に通訳を寄越してバカにして潰そうと企んでいる。
橋本力は代表作に『一刀斎は背番号6』、『大魔神』シリーズなどがあります。
道場にチェンが一人で乗り込んでボコボコにされた事を知り、叩き潰すべく門下生を送る。
精武館のスパイである吉田の弟を殺したチェンを追いつめるべく、警察の力を使う事にする。
警察は頼りにならないと分かり、精武館を実力行使で潰そうとするもチェンが乱入する。
最後は日本刀で襲いかかるもチェンのヌンチャクに翻弄され、怒りの鉄拳に絶命した。

警察署長(演:ロー・ウェイ)
上海を取り仕切る警察の最高責任者。鈴木や日本領事館からの圧力でチェンを追っている。
ロー・ウェイは本作の監督であり、俳優としての代表作に『佳人長恨』、『命は安く、トイレットペーパーは高い』などがあります。
同じ中国人として精武館の者たちに同情しているが、圧力のせいでどうする事もできない。
日本領事館から直接チェンの引き渡しを迫られ、精武館に出向いて状況を説明した。
最後はチェンが姿を現し、自首するとともに精武館を助ける事を約束して彼を見送った。

感想

個人的な評価

本作は前作『ドラゴン危機一髪』のヒットを受けて製作された作品となります。
当時の香港で興行記録を二週間で塗り替え、アジア全域で大ヒットをしています。
主人公である陳真はその後、普遍的なヒーローとして定番キャラクターとして他の作品で多く登場しています。
そして、主人公である陳真を演じるのは本作が主演二作目となったブルース・リーです。
もう語り尽くされた伝説的なカンフースターであり、わずか32歳でこの世を去ったカンフー映画界において大きく貢献した人物である。
俳優としてだけじゃなく、武道家としての一面を持ち、ジークンドーを創始しています。
そんな本作では大日本帝国がアジアで絶大な力を発揮していた時代であり、今から約100年前の話しになります。
主人公の師匠であるフォ・ユァンジアは伝説的な武術家であり、ジェット・リー主演による『SPIRIT』の映画が有名でしょう。
全世界で大ヒットした『燃えよドラゴン』は翌年に公開され、その時に始めて彼の名前が知れ渡る事になりました。
本作で魅せる本物のアクションは圧倒的であり、怪鳥音とともに繰り出される技の一つ一つに込められる力強さと残心は強烈なインパクトを生み出しています。
多くのカンフースターを魅了したブルース・リーの魅力が詰まったアクションは、子供ならば誰でも引き込まれるほどの素晴らしさがあります。
更に本作はアクションだけじゃなく、ブルース・リーが魅せたラブロマンスも印象的である。
ごまかす事を一切せず、ストレートな言葉をかけ、情熱的なキスをする一連のシーンもかなりのインパクトがありました。
個人的にチェンが電話の修理業者に扮してヘラヘラとした演技も好きで、シリアスだけじゃない一面を垣間見る事ができます。
ただ、ブルース・リーの主人公が正義に対して、悪役となっている日本人たちの設定があまりにも雑すぎると思います。
袴を反対に着ているのはワザとらしいが、中国人を小バカにする日本人がバカという稚拙な演出は時代を感じさせる。
ラストボスである鈴木は柔道家のはずなのに、最初から日本刀を使うなど、柔道という設定にかなりムリがありました。
どうしてもブルース・リーを際立たせる演出が多いせいか、敵役の適当な設定は作品としてのバランスが悪いといつも感じます。
ブルース・リー自体は素晴らしいアクションや演技をしているが、作品の設定が粗すぎるせいで今一つの印象が拭いませんでした。