寄生獣 RE-2363

作品紹介

公開年月  2014/11/29
ジャンル  ホラー/SF
原作  岩明均 『寄生獣』
監督  山崎貴
脚本  古沢良太、山崎貴
製作  川村元気、佐藤貴博、ほか
製作国  日本
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

ある日突然、地球に謎の寄生生物“パラサイト”が出現し、人間の体内に侵入して乗っ取ると他の人間を次々と捕食していった。
そんなパラサイトの増殖は人間社会に気づかれる事なく、水面下で徐々に進行していた。
ごく普通の高校生・泉新一はパラサイトに寄生されてしまうが、偶然にも脳への侵入を阻止して乗っ取りを免れる。
全身の乗っ取りに失敗したパラサイトは自らを“ミギー”と名乗り、両者は共存する事になるのだった。

登場人物&出演者

泉新一(演:染谷将太)
主人公。普通の高校生で美術部員。母子家庭で育ち、気弱でミギーの強引さに押される。
染谷将太は近年の出演作に『海賊とよばれた男』、『聖の青春』などがあります。
母親の過保護ぶりを少し疎ましく思うが、過去に自分のせいで火傷を負わせた事を悔やむ。
ミギーが破壊された心臓を再生させた事でパラサイトの能力と特性が混ざり合った。
まるでミギーのような言動となってバケモノになるも、それは新たな決意を生みます。
序盤では人間らしく立ち振る舞うもミギーの心臓再生で身体能力が強化される。

ミギー(演:阿部サダヲ)
新一の右手に寄生したパラサイト。同種とは違ったプロセスにより唯一無二の存在になる。
阿部サダヲは近年の出演作に『殿、利息でござる!』、『ジヌよさらば/かむろば村へ』などがあります。
他のパラサイトと違い、新一と共存する事で知識とユーモアを学んでいく。
阿部サダヲの演技はあまり好きじゃないが、感情を押し殺した演技は意外に良かった。

村野里美(演:橋本愛)
ヒロイン。新一の幼馴染みで同じ美術部員。新一に対して好意を抱いている。
橋本愛は代表作に『管制塔』、『貞子3D』、『桐島、部活やめるってよ』などがあります。
何かと新一を気にするが、ミギーとの強い結合により変わっていく彼に気づく。
正体がバレた島田が殺そうとした時に暴走のきっかけを生む薬品を投げる。
みんなが死んでいく中で、なぜか都合良く一人だけ生き残るという補正があった。

田宮良子(演:深津絵里)
パラサイトネットワークに属するパラサイト。高い知能を持ち人間と共存する実験をする。
深津絵里は近年の出演作に『サバイバルファミリー』、『永い言い訳』などがあります。
パラサイトの中でも穏健派で、生き延びる為には人間と共存するという結論に達している。
基本的に仲間の将来を気に懸けており、すべてを実験と称して手段を選ばない。
実験の一つに生殖活動をして、お腹には子供を宿している

島田秀雄(演:東出昌大)
パラサイトネットワークに属するパラサイト。高校生で作り笑顔が得意。
東出昌大は近年の出演作に『ぼくは明日、昨日のきみとデートをする』があります。
監視役として新一の高校に潜り込むも、すぐに正体がばれて暴走して生徒を殺していくが、田宮良子と新一によって始末される。

平間(演:國村隼)
パラサイトたちが引き起こした一連の事件を追う刑事。関西弁を使う。
國村隼は近年の出演作に『忍びの国』、『破門/ふたりのヤクビョーガミ』があります。
中盤過ぎまで事件を追っているが、パラサイトが原因だと終盤になっても分からない。

(演:池内万作、余貴美子)
パラサイトネットワークに属するパラサイト。警官として人間社会に溶け込んでいる。
池内万作は代表作に『ゴジラ×メガギラス/G消滅作戦』、『犬神家の一族』があります。
田宮良子や島田秀雄と違い、攻撃的で猜疑心が強く、新一に殺意を抱いている。
それが高じて新一の排除に挑むもミギーによって返り討ちに遭って瀕死状態になる。
そこに新一の母親が通りがかると、彼女を乗っ取って新たな体を得る。
ラストでは新一が勝負を挑み、微かに残った母親の部分によって敗れてしまう。

感想

個人的な評価

昨今、ハリウッドではアメコミ原作の実写映画が多く製作されています。
長い歴史を持つアメコミは現実世界に直結しているストーリーが多く、何より製作者は原作に対して敬意を表している。
その結果、現在ではハリウッドの主なジャンルの一つとなっているほどヒットしている。
日本にも漫画という素晴らしい文化があり、昔から特撮による実写映画化されている。
しかし、邦画の場合は基本的にビジネス先行の為、原作への敬意がほとんどない。
完成度よりも興行収入が優先であり、それが原作の良さを殺す事になっても構わない。
これがアメコミと日本の漫画との大きな違いで、そのせいで実写映画化した漫画やアニメはハズレが多いのです。
そんな本作はハズレが多い日本漫画原作の中では比較的ちゃんとした内容になっている。
何より本作は二部作を前提に製作されているので、分かりやすい展開を心がけている。
パラサイトの細かい説明は省いているが、漫画の世界観をきちんと伝えていると思います。
本作ではさすがに演技達者な染谷将太がきちんと自分のキャラクターを理解している。
序盤では普通の気弱な高校生だが、終盤ではまったく別人に変わっています。
それはミギーと同調した事で少なからず、主人公は人間とバケモノの間にいる新たな種という位置づけを意識させている。
他に深津絵里の一切感情を見せず「実験」と片付ける一方で、母親としての本能に目覚めていく演技も良かった。
本作にはビジネス先行よりも原作に敬意を表する製作側の熱意が伝わってきました。
邦画もちゃんとやればできるというところを本作で見せてくれているのは素直に嬉しい。
あとは完結編がどのような出来になるか、それによって本作の評価も変わってくるだろう。