ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 VD-62

作品紹介

公開年月  2016/11/18
ジャンル  ファンタジー/アドベンチャー
原作  J・K・ローリング 『幻の動物とその生息地』
監督  デヴィッド・イェーツ
脚本  J・K・ローリング
製作  デヴィッド・ハイマン、J・K・ローリング、ほか
製作国  イギリス
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

魔法使いのニュート・スキャマンダーは、魔法の腕は超一流ながら人見知りでおっちょこちょいの魔法動物学者。
世界中を旅するニュートのトランクには多くの魔法動物が詰まっていた。
ある日、ニューヨークへやって来たニュートは、人間のトランクとすり替わってしまい、中にいた魔法動物たちは人間界に逃げ出してしまう。
ニュートは魔法使いのティナとクィニーや人間のジェイコブと協力して、逃げ出した魔法動物たちを追っていくのだった。

登場人物&出演者

ニュート・スキャマンダー(演:エディ・レッドメイン)
主人公。魔法動物学者。世界中を旅してあらゆる魔法動物を見つけて記録に残している。
エディ・レッドメインは近年の出演作に『リリーのすべて』、『博士と彼女のセオリー』などがあります。
ホグワーツ魔法魔術学校の生徒だったが、魔法動物が原因で追放されてしまう。
所持するトランクの中は四季が存在する広い空間を持ち、そこで珍しい魔法動物を保護する。
当初は彼のトランクから逃げ出した魔法動物の仕業だと思った事件は別のモノだと分かる。
過去に捕らえた寄生物オブスキュラスの経験が活きて、クリーンデンスを説得した。

ティナ/ポーペンティナ・ゴールドスタイン(演:キャサリン・ウォーターストン)
ヒロイン。アメリカ合衆国魔法議会の捜査官。過去の失敗で闇祓いから降格されている。
キャサリン・ウォーターストンは代表作に『インヒアレント・ヴァイス』、『スティーブ・ジョブズ』などがあります。
なんとか闇祓いの地位を取り戻そうとニュートを突き出すが、逆に騒動の責任を取らせる。
処刑される寸前にニュートの機転で命が助かり、ニューヨークを破壊する犯人を一緒に探す。
オブスキュラスのホストであるクリーンデンスの知り合いで彼を説得しようとする。

ジェイコブ・コワルスキー(演:ダン・フォグラー)
人間。缶詰工場の職員でパン屋志望。銀行から融資を受けようとするもあっさりと断れる。
ダン・フォグラーは代表作に『噂のアゲインに恋をした!』、『燃えよ!ピンポン』などがあります。
ニュートのトランクを間違えてしまい、それがきっかけでニューヨークでひと騒動が起きる。
逃げ出した魔法動物を捕まえる為、ニュートとともにニューヨークを案内する。
唯一の人間であるおかげで、観ている側の立場になって魔法の世界も案内してくれる役目。
クイニーとのちょっとしたドラマは本作の中でロマンスを担っていたのは良かった。

クイニー・ゴールドスタイン(演:アリソン・スドル)
ティナの妹。自然と人の心を読んでしまう。人間に対して多大な興味を持っている。
アリソン・スドルは代表作に『トランスペアレント』、『Dig/聖都の謎』などがあります。
初めてしゃべった人間であるジェイコブに興味を持ち、彼に対して恋心を抱く。
アメリカ合衆国魔法議会に囚われた三人を救い出す重要な役目を担った。
ジェイコブとのロマンスはニュートとティナの代わりに実現させていました。

パーシバル・グレイブス(演:コリン・ファレル)
アメリカ合衆国魔法議会の捜査官。いち早くオブスキュラスの破壊的な状況に目をつける。
コリン・ファレルは近年の出演作に『ロブスター』、『ニューヨーク/冬物語』があります。
密かに新セーレム慈善協会を率いるベアボーンの息子クリーンデンスと通じていた。
そこからオブスキュラスを見つけさせようとし、代わりに母親の虐待から救うと約束する。
しかし、クリーンデンスが人間だと思い突き放すと、オブスキュラスを解放してしまう。
仲間へ引き入れようとクリーンデンスを説得するも議会の登場で台無しになる。
結果としてニュートによってグリンデルバルドだという正体を暴かれ連行される事に。

クリーデンス・ベアボーン(演:エズラ・ミラー)
新セーラム慈善協会に属す青年。母親は魔法使いで妹のモデスティも魔力を持っている。
エズラ・ミラーは代表作に『ウォールフラワー』、『ジャスティス・リーグ』があります。
自身は魔力がなく、毎日のように母親であるメアリーに虐待を受けている。
近づいたグレイブスの巧みな話術でオブスキュラス探しをするが、実はホストになっていた。
グレイブスの裏切りで身に宿っていたオブスキュラスを解放した街を破壊する。
最終的に議会の闇祓いによって処刑されるが、小さな欠片となって上手く逃げ出した。

セラフィーナ・ピッカリー(演:カルメン・イジョゴ)
アメリカ合衆国魔法議会の議長。あくまで魔法界と人間界の平和を望んでいる。
カルメン・イジョゴは代表作に『ブレイブワン』、『パージ:アナーキー』などがあります。
自分たちの存在を知られないようにコソコソ生きるのが最も安全だと主張している。
最後はニュートたちのおかげで知られた魔法使いの存在の記憶が消された事で感謝する。

感想

個人的な評価

世界的に大ヒットした『ハリー・ポッター』シリーズの原作者J・K・ローリングが脚本を手がけたスピンオフ作品。
ベースとなっているのは『幻の動物とその生息地』の著者であるニュート・スキャマンダーの物語となっています。
とは言っても、実際に原作があるワケじゃなく、今回J・K・ローリングが脚本として参加した意味が非常に大きいと言えます。
しかも、監督を務めているのはこれまで『ハリー・ポッター』シリーズを手がけたデヴィッド・イェーツとなっています。
まさに黄金のタッグとも言える万全の形でスピンオフシリーズがスタートしています。
ただ、残念な事に『ハリー・ポッター』シリーズは個人的に好きではありません。
子供騙しのようなファンタジーで知らない大人たちが喜んでいるように感じました。
何より個人的にハリー・ポッターというキャラクターが好きじゃないのも大きいです。
そんな色眼鏡で本作を鑑賞したが、正直言って、ハリー・ポッターと比べ物にならないぐらい面白い作品でした。
主人公のニュート・スキャマンダーをエディ・レッドメインにしているのも大きい。
彼の演技によって主張しない主人公でありながら、魔法動物の事を第一に考えている性格がとても好感が持てました。
それにニュート・スキャマンダーのクセである他人を斜めから見る姿も印象的でした。
そこに人間(ノー・マジ)であるジェイコブを演じるダン・フォグラーとのコンビも良い。
決して両者は主張しないが、バランスの良いコンビで、どこか応援したくなる感じです。
更にヒロインとなるポーペンティナのキャサリン・ウォーターストン、妹であるクイニーのアリソン・スドルはちょうどいい。
そして、悪役となるグレイブスを演じたコリン・ファレルもさすがと言えるでしょう。
とにかく、配役もバランスが良く、決して存在感を主張しないところで、きっちりと世界観に馴染んでいるのは上手いと感じました。
さすがに『ハリー・ポッター』シリーズを手がけてきたデヴィッド・イェーツ監督だろう。
ただし、本作の主人公とニューヨークを襲う破壊的な事件の関係性はほぼゼロに近い。
たまたま運悪く居合わせただけで、偶然にも巻き込まれるが、結果として彼のおかげで黒幕を捕まえる事ができた。
かなり強引な関わりとなったが、単純にハリー・ポッターの依怙贔屓がなかっただけで個人的には面白い作品だと感じました。
やはり、本作最大の魅力は登場する魔法動物たちですが、きっちりとした土台があるからこそ、説得力を生む存在感となっている。
脚本を務めたJ・K・ローリングだが、正直言って一流の脚本家と比べて二流程度です。
ちゃんとした脚本家がサポートにいれば、もっと面白い作品にできたはずです。
J・K・ローリング最大の魅力はなんと言っても、使い古したネタを上手く編集する能力。
これによってファンタジーをまったく知れない層に受けて、結果として『ハリー・ポッター』シリーズは大ヒットした。
本作も同様に高い編集能力が駆使された作品だが、できる事なら次回作は実績のある脚本家をサポートに加えるべきだと思います。
そうじゃないと、作品を重ねていくと劣化し、それと反比例したJ・K・ローリングの暴走が加速する可能性もあるからです。
ですが、それでも本シリーズには『ハリー・ポッター』シリーズよりも楽しみになった作品なのは言うまでもありません。