ディノシャーク VD-63

作品紹介

公開年月  2010/03/13
ジャンル  パニック
原作  なし
監督  ケヴィン・オニール
脚本  フランシス・ドール、ガイ・プレヴォスト
製作  ロジャー・コーマン、ジュリー・コーマン
製作国  アメリカ
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

メキシコのリゾート地・バジャルタ、船で世界を放浪していたトレイスが町に戻ってきた。
懐かしい友人たちとの再会も束の間、海で泳いでいた親友のリタが謎の生物に襲われ命を落としてしまう。
その直後、メキシコ救助隊が同じ生物にボートごと食べられる事件が発生し、トレイスは独自に調査して驚愕の真実を知るのだった。

登場人物&出演者

トレイス(演:エリック・バルフォー)
主人公。世界中を船で放浪して地元に帰る。昔は貧乏で昼飯すらマトモに食べられなかった。
エリック・バルフォーは代表作に『スカイライン/征服』、『赤ずきんvs狼男』があります。
メキシコ人らしく陽気な感じで友人たちと再会し、テキーラを飲みながら盛り上がる。
幼馴染みのリタが死んだ事に一切の涙を見せず、ただ酒を飲んで昔話をヒロインにするだけ。
主人公らしく体を張ってサメと戦うも、実際に交戦したのはラストの手榴弾投げのみ。

キャロル(演:イヴァ・ハスバーガー)
ヒロイン。水界生態系を主とした環境化学の教師をしている。ヒロインにしては年増すぎる。
イヴァ・ハスバーガーは代表作に『Psychotic』、『Malevolent』などがあります。
リタがメキシコで最初の友達で、死んだ時は悲しむも、その後は淡々と主人公と語り合う。
本作を物語るようなキャラクターで、監督の不安感が表れていたブレブレな性格です。
最初は「サメをぶっ殺そう!」から「貴重な古代生物!」、最後に「死ね!」という具合。

リタ(演:クリスティーナ・ニコール)
トレイスの幼馴染み。キャロルにとって最初の友人で明るく友達が多いタイプ。
クリスティーナ・ニコールは本作が映画デビュー作となっています。
帰ってきたトレイスを温かく出迎え、キャロルとは親友のような関係である。
一人で海へ泳ぎに行って、サメに食われ、上半身だけが海岸へ流れ着く。

ルイス(演:アーロン・ディアス)
トレイスの友人。バーの経営をしている。帰ってきたトレイスの為にテキーラをあける。
アーロン・ディアスは代表作に『Amor xtremo』、『Marcelo』などがあります。
リタを死んだ事で荒れていたトレイスの為に店を閉める優しさを持っている。
キャラクターがブレているキャロルに協力すると言ってロケットランチャーを持ち出す。
水球の女子高生を助けるキャロルを更に助けようとして逃げ遅れてサメに食われる。

ヴィクター(演:ギレルモ・イヴァン)
トレイスの友人。港湾警察。署長の命令で船の寝泊まりを禁じるがトレイスを見逃す。
ギレルモ・イヴァンは代表作に『ホステージ・オブ・エネミーライン』、『シークレット・ファミリー/ザ・トゥルーストーリー』などがあります。
署長とともに勝手な行動をしているトレイスを取り締まる為にやって来てサメを目撃。
必死に銃撃を浴びせていくが、まったく効かずにセリフのないまま退場します。

カルデロン(演:ウンベルト・ブスト)
港湾警察の署長。何かつけてトレイスを目の敵にしている話しの分からないヤツ。
ウンベルト・ブストは代表作に『パラドクス』、『ダークレイン』などがあります。
勝手に動き回っているトレイスを邪魔するも、部下がサメに食われてようやく目を覚ます。
マシンガンを搭載したヘリで木っ端微塵だと自信満々で語るも早々に墜落する。
「Holy shit!」と言って呆然している横で呆れたトレイスが立ち去ってそのまま退場。

マイク(演:ダン・ゴールデン)
町の有力者。キャロルがコーチを務めている水球チームを祭りのイベントに招待する。
ダン・ゴールデンは代表作に『アタック・オブ・ザ・50フィート・チアリーダー』などがあります。
何かと口実をつけてキャロルを誘おうとするが、その度に軽くかわされている。

リーブス博士(演:ロジャー・コーマン)
古代サメの研究をする海洋生物学者。キャロルの両親が知り合いだった縁で調査する。
ロジャー・コーマンは代表作に『レイチェルの結婚』、『悪魔の毒々を映画で売る方法!』などがあります。
いつもは裏方の製作でクソ映画を作るが、今回は久々の出演にウキウキしています。
古代のサメを倒す手立てを探すべく、色々と調べていく意外にも重要な役をこなした。

感想

個人的な評価

サメ映画というのはあらゆる可能性を追求している新進気鋭のジャンルである。
時にはビーチに潜み、時には竜巻とともに飛んだり、時には巨大化したり、時には別の生き物と融合したりと様々な変化をしています。
今回のサメは太古に生存した種類で、北極の氷から卵が出てきて孵化したという流れです。
どう考えても現代の海で適応できるはずがないけど、そんな細かい事は気にしちゃダメ。
舞台はメキシコという事で、全体的にラテンの乗りがあって、登場人物たちは陽気である。
アメリカが舞台のバカ者(若者)が出てこない点では珍しい方のサメ映画となります。
主演を張るのはエリック・バルフォーで、相変わらずB級映画が似合っています。
本作はサメのパニックよりも微妙な人間ドラマに前半の時間を使っている感じです。
ここで展開される会話劇は恐ろしくつまらなくて、説明が多いので眠くなります。
そもそも主人公はどんな人物かまだよく分からないし、ヒロインに至っては単なる年増にしか見えないです。
肝心のサメは全身を硬そうなウロコに覆われ、角まで生えていて、とても海で生きていけるような造形じゃない。
やはり、サメ映画には特筆したネタがないと簡単に埋もれてしまいます。
本作のサメは如何にも防御力が高そうなのに、手榴弾一発でマトモに泳げなくなってしまう。
そこで手榴弾すら効かないならば、面白くできたのに、監督は敢えて冒険をしなかった。
あとは登場人物たちに感情がないのか、緊迫とか哀しみがまったく伝わらない。
主人公は幼馴染みとも言える友人を亡くしているワリに淡々と思い出を語っている。
ヒロインもお世話になっているけど、こちらも淡々と語っているという説明口調である。
何よりヒロインが言っている事が二転三転と変わっていくなど、しっかりとキャラクターと方向性を固めていない。
というよりは、退屈な流れを危惧して、急に突飛な発言をさせたのはいいが、後処理が面倒になって意味ない事になってしまう。
とにかく、本作は見どころが一切ないし、ネタにできるのはヒロインの変貌ぶりぐらい。
正真正銘のゴミ映画である本作だが、ロジャー・コーマンが出ているので良しとしようか。