ライフ・イズ・デッド VD-141

作品紹介

公開年月  2012/02/11
ジャンル  ホラー/コメディ/青春
原作  古泉智浩 『ライフ・イズ・デッド』
監督  菱沼康介
脚本  菱沼康介
製作  男全修二、佐伯寛之、ほか
製作国  日本
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

感染するとゾンビになってしまうアンデッド・ウイルス(UDV)が世界中に蔓延する近未来。
日本のある地方都市に暮らす赤星逝雄も、高校卒業間際にUDV感染してしまい、そのせいで就職もできずニートになる。
感染者に対する社会の扱いもひどく、ストレスで逝雄の症状はますます悪化し、ゾンビ化していく中で彼の為に家族や友人が尽力するのだった。

登場人物&出演者

赤星逝雄(演:荒井敦史)
主人公。アンデッド・ウイルスに感染し、就職できず感染者として肩身の狭い日々を送る。
荒井敦史は代表作に『脳漿炸裂ガール』、『真田十勇士』などがあります。
体の硬直を防ぐ為に毎日3キロを二度行い、定期的に医者の検査を受けるも症状は悪化する。
ストレスのかかる日々に最大の理解者である妹の消子のおかげで平穏に暮らしていける。
厚紫が持ってきたAVに出演した茜の事実を知り、レベル4になってゾンビ発作を起こす。
最後は消子の言葉でゾンビ化してしまい、ボムガンを持った家族によって葬られる事になる。

赤星消子(演:ヒガリノ)
ヒロイン。逝雄の妹。UDV感染者の兄を大切に思い、同じ境遇の人も放っておけない。
ヒガリノは代表作に『天国からのエール』、『ドロメ』シリーズなどがあります。
諦めようとする兄とは違い、毎日のように神社へ通って願い事するなど健気な一面を持つ。
密かにアイドルを目指していて、それで有名となって稼いで家族を助けようとする。
犯されそうになり、アイドルは落選し、なぜか兄のせいにしてゾンビ化させてしまう。
最後は逝雄が死んでから一年後、UDV患者たちの前で兄のギターを手にしてライブをする。

赤星浩止(演:小林すすむ)
逝雄の父親。普段はパチンコ屋の雇われ店長。差別を受ける逝雄を父親として守っている。
小林すすむは代表作に『劇場版・踊る大捜査線』シリーズ、『ドロップ』などがあります。
店の閉店間際でゾンビ化した常連客が侵入し、バイトが噛まれた事でその怖さを再認識する。
レベル4になってしまった逝雄に肩を落とすも、これからも彼を見守ろうと決心する。
ついにゾンビ化した逝雄にボムガンで殺そうとするが、消子に止められるも家族で彼を葬る。
最後は逝雄が死んでから一年後、妻とともに消子のライブを応援しに来ていた。

赤星冥子(演:円城寺あや)
逝雄の母親。専業主婦。夫や娘と同じく、UDV感染者となった逝雄を差別から守る。
円城寺あやは代表作に『眉山/びざん』、『アキレスと亀』などがあります。
逝雄の症状が徐々に悪化していく中で、本格的な対策用具を前にして神妙な面持ちとなる。
こっそりとボムガンを持ち出して、人気のない場所で密かに撃ち方の練習をしている。
ついに逝雄がゾンビ化してしまうと、持っていたボムガンを撃とうとするが浩止が止める。
最後は逝雄が死んでから一年後、彼の写真を持って消子のライブを応援に来ていた。

蒼木茜(演:しほの涼)
逝雄の元カノ。UDV感染してから逝雄とは肉体関係を続ける代わりに金銭を受け取る。
しほの涼は代表作に『渋谷怪談/THE リアル都市伝説 第4話』、『時空警察ハイペリオン』などがあります。
逝雄が感染した原因だと考えられているが、検査を受けず別の男と会って肉体関係を持つ。
実はすでにUDV感染をしているが、それをファンデーションで隠して男と会っている。
過去にアダルトビデオの出演している事が逝雄にバレるが、許されて考え方が変わる。
最後はゾンビと化した一緒に暮らしていた男に身を委ねると、そのまま食われて死亡する。

面井厚紫(演:川村亮介)
逝雄の親友。一緒にバンドを組んでいた。UDV感染しても逝雄を励まし続けている。
川村亮介は代表作に『片腕マシンガール』、『半分の月がのぼる空』などがあります。
再びギターを始めようとする逝雄に協力する一方、消子に片想いをして付き合おうとする。
山で遭遇したゾンビからAVを手に入れると、そこに茜が出演していた過去を逝雄に見せる。
レベル4になった逝雄を励ますが、その一方で消子への思いが強くなって暴走しかける。
最後は逝雄が死んでから一年後、UDV患者たちの前でライブを行う消子の応援に来ていた。

矢白祐樹(演:阿久津愼太郎)
消子の同級生。消子に片想いしている。いつも神社に兄の為にお参りする消子を見守る。
阿久津愼太郎は代表作に『ポールダンシングボーイ☆ず』、『BRIGHT AUDITION』がある。
バイトをクビになって途方に暮れていた消子に、告白とともにお金を彼女に渡していた。
その後も定期的に消子へお金を渡していたが、恋人になったとして勝手に距離を縮めていく。
消子がUDV感染者のクソガキに犯されようとした時に助けるが、ゾンビを熱望した。
結局UDVには感染しなかったが、逝雄が死んだ一年後に消子のライブに来ていた。

桜井碧(演:中島愛里)
UDV治療を行う逝雄の看護師。ストレスを与えないように優しい言葉をかけている。
中島愛里は代表作に『鎧/サムライゾンビ』、『野良犬はダンスを踊る』などがあります。
実は主治医の誤藤とは肉体関係を持ち、バンド活動する逝雄を見て鼻で笑っていた。
ゾンビになる前に逝雄の告白と歌を送られるが、誤藤と付き合っているので素直に断る。

誤藤治黄(演:永岡卓也)
UDV治療を行う逝雄の主治医。定期的に逝雄の検査をして、あくまで冷静に提案をする。
永岡卓也は代表作に『僕らはあの空の下で』、『宇宙刑事ギャバン/THE MOVIE』がある。
実は看護師である桜井とは肉体関係を持っていて、患者である逝雄を鼻で笑っていた。
UDV対策の大臣が失言で辞任し、対策用具の見直しについて他人事のような発言をする。

感想

個人的な評価

本作は漫画アクションにて連載された古泉智浩の同名漫画を実写映画化した作品。
和製のゾンビ映画は多いのですが、いずれも低予算で製作されている事が多いです。
その中でも『アイアムアヒーロー』の完成度は高く、個人的にコメディ色の強い『オー・マイ・ゼット!』も面白いと思う。
基本的に日本のゾンビ映画はすべて低予算となるけど、工夫すれば面白い作品が作れます。
ただ、邦画の場合だと監督が作りたいモノよりも、会社に従わないといけないせいで微妙な作品となってしまいます。
そんな本作は漫画を原作にしていて、アンデッド・ウイルスに感染した者が社会で虐げられる存在として扱われています。
これはある意味、社会派の内容を含んでいて、一時激しい偏見と差別を受けていたHIV患者たちを彷彿とさせる作品だと言えます。
その中でも家族は力を合わせてUDV患者の長男を助けようとするヒューマンドラマが展開されています。
しかし、本作は社会派ドラマであるけど、それを支えるべき役者たちの演技がお粗末すぎる。
最近では洋画と邦画の役者たちの演技の違いを語っていた人から聞いた話しだが、日本だと日常じゃない演劇をしているという。
洋画だと日常をそのまま劇中に持ち込んでいるが、邦画の場合だと日常と違ったトーンで演技しているのが特徴である。
今回はそこに注目した結果、洋画と比べると、確かに邦画は日常のようで実は違うという事を発見させてくれた作品です。
連日に渡ってゾンビ映画を鑑賞しているが、今回の和製ゾンビ映画でハッキリと分かります。
海外のゾンビ映画は確かにダメダメな内容だけど、下手なりに日常的な演技に務めている。
それに対して、邦画はスイッチを入れてから始めているので、自然な会話のようで作られた会話に感じました。
舞台はどこにでもある一般家庭だが、そこには現実味はほとんどなく、作り上げた世界の中で動いている典型的な作品でした。
主要の登場人物は演技よりも事務所の力が第一になり、脇はそれなりに演技ができる役者が配置されているのが邦画最大の特徴です。
本作はまさに教科書とも言える配置だが、端役の演技がワザと思ってしまうほど下手すぎる。
そもそも出発点が現実的な日常よりも、作られた現実的な日常なので、それが最初から最後まで引っかかってしまいました。
物語の展開としてはやりたい事は分かるけど、そのメッセージを伝える構成に面白味がまったくありません。
やはり、映画を作る際には色々と制限をかけられてしまい、面白いモノが作れないだろうと監督のため息が聞こえてくる。

コメント

  1. ヒシヌマ より:

    はじめまして。
    見て、記事にしていただき、どうもありがとうございます。

    色々と読み間違っているので、お時間あれば、もう一度観ていただけると幸いです。
    もちろん、原作のエッセンスを膨らましたものです。
    特に、家族と茜の心理などに、潜ませたメッセージを発見していただければ、ああいった演技をしている意味なども見えてくるかと思われます。
    もちろん、いろいろと不足なところはございますが、物語の構成上きちんと何度も組み入れ、読み解けるようにしております。
    ただし、題材、その内容も含めて、万人には向けておりませんこともご了承ください。

    失礼いたしました。

    • akishige777 より:

      コメントありがとうございます。
      監督さんが自ら場末にあるような記事を読んで頂き、改めてありがとうございます。

      前置きとして本ブログの方向性というのは一期一会で、最初に受けた印象をそのまま書いています。
      ですので、読み間違えているかもしれませんが、それこそが最初に受けた印象です。

      改めて鑑賞すると確かに見えなかったモノが見えてくると思いますが、それだと本ブログの方針に背く事になります。
      読み間違えたという事は監督さんの目指すポイントと、私自身が見ていたポイントがズレていた結果だと思います。

      他人に何かを伝えるのは非常に難しい事であり、私自身もその経験がありますので、重々承知しています。
      ですが、今回の記事について私自身は何も間違っていないと思っていますし、今後もう一度鑑賞する機会があったとしても記事にする事はありません。

      押しつけがましいようですが、承知して頂けと幸いです。

  2. ヒシヌマ より:

    丁寧な返信ありがとうございます。

    ブログの意図、鑑賞の主義など、得心しました。
    ただ、書かれておられる登場人物の説明に具体的な間違いがいくつかあったので、もしや心理や物語そのものも読み違えているのではないか、と考えてしまったのです。
    なにしろ、この作品は、読み解く方向の構成を採用し、演技でもその部分が強調されるよう演出してあります。その点を楽しんだと多くの感想もいただいておりますが、そもそも万人に向けたものでないのは作意でもあります。低予算でもあり、至らない点はあるでしょうが、役者陣においては、あえて、ご指摘のようにしているところもあるということを伝えたく、押しつけがましくもコメントしてしまいました。

    映画の鑑賞においては、スジ重視、ヌケ重視、ドウサ重視、また違った点、全部隙なく、さまざまな見方があります。評価は観た方各々のもの。それを強いる意図などございません。どうぞあしからず。

    • akishige777 より:

      返信ありがとうございます。

      確かに監督さんや製作陣の意図と違った見解になっているかもしれません。
      ですが、私自身が作品を通して感じた正直な感想や見解ですので、もしかすると監督さんの目指した方向性と食い違っていると思います。

      私はゾンビ映画といった類の一般向きではない作品を数多く鑑賞しており、その経験を踏んだ上での記事になっています。
      登場人物たちが繰り出す言動から抱く素直な思いを自分なりに綴っているので、深い部分まで至っていないかもしれません。

      製作側から様々な思い入れがあるでしょうし、間違った意見を認められないという気持ちはよく理解できます。
      役者さんたちも一生懸命やっているのも分かりますが、残念ながら鑑賞した直後の私には響かなかったと思います。
      ただ、私は一度書いた言葉に責任を持つつもりですので、間違っていたとしても、その時に「感じた」事を修正や取り消す行為はしません。

      監督さんの指摘については私なりにかみ砕いて、もう一度鑑賞する機会があった時には違った形で感想を述べるかもしれません。
      このような辺境にあるブログに貴重な時間を割いてコメントを頂き、ありがとうございました。