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KESARI/ケサリ 21人の勇者たち RE-3122

KESARI/ケサリ 21人の勇者たち RE-3122

作品紹介

公開年月  2019/03/21
ジャンル  戦争/アクション
原作  『サラガリ砦の戦い』
監督  アヌラーグ・シン
脚本  アヌラーグ・シン、ギリシュ・コーリ
製作  カラン・ショーハル、ヒルー・ヤシュ・ジョーハル、ほか
製作国  インド
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

1897年、イギリス領のインド北部の国境沿いには砦が築かれ、英国軍とシク教徒が警備にあたっていた。
その一つ、僻地のサラガリ砦の司令官となったイシャル・シンは、配属される実戦経験の乏しいシク教徒20人を鍛え直していく。
しかし、そんなサラガリ砦を1万の部族連合が急襲しようとするのだった。

登場人物&出演者

イシャル・シン軍曹(演:アクシャイ・クマール)
主人公。シク教徒で農民出身。実力は確かで何人もの男を一人で倒せるぐらいの強さを持つ。
アクシャイ・クマールは代表作に『ブラインド・ミッション』、『パッドマン/5億人の女性を救った男』などがあります。
殺されそうになる女性を放っておけず、上官の命令を無視してサラガリ砦に左遷させられる。
緊張感のないサラガリ砦に喝を入れていくが、彼らの団結力を見て可能性を感じていた。
敵に攻め込まれると、上官の命令を無視してシク教徒の勇者として誇りに賭けて戦うと誓う。
最後は敵対したサイドゥッラー師を殺して、砦を守った誇りを持ちながら戦死を遂げた。

グルムク・シン(演:サミート・シン・パスラ)
サラガリ砦の通信係。19歳。ラールの手紙を書いていたが、イシャルが来て挨拶をした。
サミート・シン・パスラは本作が長編映画デビュー作となります。
サラガリ砦で唯一英語が話せる人物であるが、実戦経験がなくて真面目な態度を示している。
規律を乱すとしてイシャルから罰を科せられると、ハッキリと受けると答えてしまう。
敵がサラガリ砦を攻めてくると、上官との連絡をするも戦争が怖くて銃撃ができなかった。
最後はイシャルの勇ましい姿を見て、最期まで抵抗してグル・バードシャーと自爆した。

チャンダ・シン伍長(演:ヴァンシュ・バルドワジ)
サラガリ砦の伍長。威圧的な態度で堕落した状況に怒っていたイシャルに意見をした人物。
ヴァンシュ・バルドワジは代表作に『Heaven on Earth』、『Meeruthiya Gangsters』などがあります。
当初から英国の回し者だとみんなに言い聞かせており、イシャルに不信感を持っていた。
敵であるパシュトゥーン人のモスクを修繕に反対するが、結局はみんなと手伝う事になる。
仲間たちが倒れる中で壁が破壊されるまで生き残り、グルムクがいる塔を守る役目に担った。
最後は押し寄せるパシュトゥーン人の兵士に呑み込まれ、無数の剣に刺されて死亡した。

ラール・シン(演:サヴィンダル・ヴィッキー)
サラガリ砦の伍長。イシャルが来る事を知っていたが、一日早く到着した彼に戸惑っていた。
サヴィンダル・ヴィッキーは代表作に『Des Hoyaa Pardes』、『Laatu』などがあります。
堕落しきったサラガリ砦の責任者であり、赴任してきたイシャルの案内役を担っていた。
罰を与えられると甘んじて受けるが、他の兵士たちも同様の罰を受けるという人徳を見せる。
既婚者で小さな子供がいて、手形を押された手紙をずっと持ち歩いて何度も読み上げる。
最後は門を破ろうとしたパシュトゥーン人たちを足止めし、無数の弾丸を浴びて絶命した。

ジーワン・シン(演:ヴィヴェーク・サイニ)
サラガリ砦の兵士。いつも無口で無表情なボーラを笑わせようと何かと仕掛けていた。
ヴィヴェーク・サイニは本作が長編映画デビュー作となります。
ボーラが過去に犯した罪で人間以下の扱いを受けていた事を知っていて仲間に話していた。
パシュトゥーン人が攻めてくると迎撃していき、門を破ろうとして必死に守っていた。
敵の弾丸を食らって血を流したボーラを心配して、自分のターバンを差し出して止血させた。
最後はラールが命懸けで足止めして、門を閉めるも弾丸を食らいボーラの近くで絶命した。

ボーラ・シン(演:ラケシュ・シャルマ)
サラガリ砦の兵士。常に無口で一切笑わない。その為にジーワンに何かと付きまとわれる。
ラケシュ・シャルマは代表作に『Bhavesh Joshi Superhero』、『Gully Boy』がある。
過去に盗みを働いた事で社会的に人間以下の扱いを受けた経験から無口になっていた。
モスクを修繕した事でパシュトゥーン人の老婆からアーモンドをもらい、大事に持っていた。
最後は門を守る為にラールたちと敵を迎撃するが、弾丸を腹に食らって絶命してしまう。

フダー・ダード(演:ブラマ・ミシュラ)
サラガリ砦の料理人。パシュトゥーン人。他のシク教徒と比べて小柄で戦いに適さない。
ブラマ・ミシュラは代表作に『Chor Chor Super Chor』、『Badrinath Ki Dulhania』などがあります。
堕落したサラガリ砦に喝を入れるイシャルに水を持ってくるが、当然のように拒否される。
罰を受けていたサラガリ砦の兵士たちにイシャルも同じく罰を受けている事を告げた。
戦いに加わろうとするが、イシャルに敵の負傷兵にも水を与える重要な役目を担う。
最後はサラガリ砦の兵士たちが全滅し、負傷兵に水を与えるもサイドゥッラー師に殺された。

ジーヴァニ・コウル(演:パリニーティ・チョープラー)
イシャル・シンの妻。村でイシャルの帰りを待っている。イシャルに布を渡している。
パリニーティ・チョープラーは代表作に『Golmaal Again』、『Ishaqzaade』があります。
何度もイシャルが見ている幻覚として登場して、彼の行いについて色々と聞いていた。
パシュトゥーン人の女性を助けて、甘い粉を礼にもらうと嫉妬して彼を責めていた。
サラガリ砦で堕落的な生活に一喝して厳しい罰を与えた事についても聞いていた。
最後はパシュトゥーン人たちから砦を死守すると決めたイシャルの覚悟を見て涙を流した。

ハーン・マスード(演:ミル・サルワール)
パシュトゥーン人。アフリディ族の長。サイドゥッラー師の呼びかけに応じて集まった。
ミル・サルワールは代表作に『パジュランギおじさんと、小さな迷子』、『ディシューム/JとK』などがあります。
部族がバラバラで英国に戦いを挑むも毎回負けてしまい、ずっと悔しい思いをしていた。
サイドゥッラー師の提案で砦を3つ落とす作戦に賛同し、援軍が行かないように足止めする。
一度はイシャルと交渉に臨むも決裂してしまうが、彼の強い覚悟を聞いて一目を置く。
最後は勇敢に戦ったイシャルに敬意を表してターバンに触らないように部下たちに言い放つ。

グル・バードシャー(演:アシュワート・バット)
パシュトゥーン人。オーラクザイ族の長。サイドゥッラー師の呼びかけに応じて集まった。
アシュワート・バットは代表作に『ミッシング・ポイント』、『Raazi』などがあります。
ハーン・マスードと同じく英国に対して連敗していて、なんとか勝ちたい気持ちを持つ。
当初は英国からの攻撃を資金提供で凌いでいたが、サイドゥッラー師の提案に乗った。
サラガリ砦を簡単に落とせると目論むが、イシャルたちの抵抗で結果的に敗戦をしてしまう。
最後はシク教徒の悲鳴を聞こうとグルムクがいる塔に火をつけるが、反撃された爆死した。

サイドゥッラー師(演:ラケシュ・チャトゥルヴェディ・オーム)
パシュトゥーン人。苛烈なイスラム教徒。女性の自由を絶対に許さない立場を取っている。
ラケシュ・チャトゥルヴェディ・オームは代表作に『Patth』、『Adrishya』があります。
契りを結んだ女性が家出をした事に怒りを持ち、処刑しようとしてイシャルに邪魔された。
シク教徒は裏切り者だとしてパシュトゥーン人を集めて、手を結んで一斉攻撃を提案した。
邪魔したイシャルに対して特に恨みを持っていて、彼のターバンを踏み潰すと宣言する。
最後はイシャルにトドメを刺そうとするが、逆にナイフを首に刺されて呆気なく死んだ。

感想

個人的な評価

本作は1897年に勃発した『サラガリの戦い』を基に製作されています。
この作品に登場するシク教徒は、日本人が持っているインド人のイメージそのものです。
実はインドでシク教徒は2%にも満たないほど少数派の宗教で、彼らの特徴的なターバンは強烈なインパクトがあるせいで印象に残っているのだろう。
どうやら多くのシク教徒は海外で活躍しているようで、その為にインド人のイメージに繋がっていると思われます。
そんな本作では21人が守る砦を1万の敵が攻め込んでくる内容で、どう考えても勝ち目のない戦いと言えます。
しかし、主人公を含めたシク教徒たちは逃げる選択肢を捨て、あくまで自分たちの誇りの為に殉職覚悟で戦っていくのです。
これはどこか日本のサムライに通じるモノがあって、史実をベースにしているだけに彼らの凄まじい戦いは強烈でした。
もちろん、本作はインド映画なので劇中で歌や踊りも登場して、シリアス一辺倒じゃなく、ちゃんとしたコミカルな部分もありました。
ただ、あくまで本作のメインはクライマックスにやって来る敵との戦いであり、圧倒的な劣勢であってもシク教徒の誇りを垣間見る事ができます。
残念ながら21人とコックを含めたサラガリ砦の兵士たちは戦死するが、そんな重たい描写を晴れやかな歌で演出しているおかげでグロテスクには感じません。
ある意味、本作は誇りの為に戦った21人のシク教徒の勇者たちを讃える作品であり、彼らの死に対しても敬意を表した演出が良かったです。
シク教徒はみんな見た目が同じで個性を出すのは難しく、誰が誰で誰が戦死したのか分からないという難点がありました。
ここら辺は仕方ないのでしょうが、製作側も分かった上での演出なので、彼らの一体感の方に力を入れたのは伝わってきました。
決して勝利を手に入れるような戦いではないが、シク教徒として眼前の敵だけじゃなく、支配している英国にも自分たちの強さを見せつけていたと思います。
敵は憎たらしい一人を除けば、主人公を含めたシク教徒たちの戦いぶりを賞賛し、彼らの誇りであるターバンに手を出さないフォローがあったのは良かったです。
それでも、敵は敵で救われるような立場じゃないので、どうしても扱いが悪くなってしまっているのは残念でした。
やはり、21人とコックを描ききるには時間が足りないし、容姿もほぼ見分けがつかない点で感情移入は少し難しいと思います。
あとは主人公が妻の幻覚と話しているエピソードは少し長いように感じてしまい、それなら仲間たちとの絆を深める方に時間を使って欲しかったです。
それでも本作はインドの歴史の1ページを知る作品として素晴らしく、シク教徒の誇り高い戦いを観られる良作でした。