ファイティング・ダディ/怒りの除雪車 VD-312

作品紹介

公開年月  2014/02/21
ジャンル  アクション/サスペンス
原作  なし
監督  ハンス・ペテル・モランド
脚本  キム・フップス・オーカソン
製作  フィン・イェンドルム、スタイン・B・クワェ
製作国  ノルウェー、スウェーデン、デンマーク
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

ノルウェーの地方都市で除雪車の運転をするニルスに、オスロで大学に通っている息子の死の知らせが届いた。
死因はコカインの過剰摂取だったが、信じられないニルスは独自に調査をして息子がとばっちりで殺された事を知る。
ニルスは復讐を誓い、コカインの密輸犯罪組織のメンバーを次々と殺害していき、地元のギャングを巻き込んで二つの犯罪組織同士の抗争に発展するのだった。

登場人物&出演者

ニルス・ディックマン(演:ステラン・スカルスガルド)
主人公。除雪作業員として真面目に働く。市民賞を受賞し、町ではちょっとした有名人。
ステラン・スカルスガルドは近年の出演作に『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』、『キューブリックに魅せられた男』などがあります。
息子が何者か殺されてしまい、警察が捜査しないと分かって独自に調査を始めていく。
次々と伯爵の売人たちを殺していくが、手詰まりになり疎遠となっていた兄から情報を入手。
伯爵を誘き出す為に息子のルネを誘拐するが、良くできた子供で命を奪う事はしなかった。
最後はセルビア系ギャングの乱入で伯爵が死ぬと、目的を果たしてパパと仕事へ始めた。

グドルン・ディックマン(演:ヒルデグン・リーセ)
ニルスの妻。除雪作業員の夫を影から支えている。夫が市民賞を受賞して誇りに思っていた。
ヒルデグン・リーセは代表作に『1001グラム/ハカリしれない愛のこと』などがあります。
息子が何者かに殺されてしまうと、薬物の過剰摂取だという死因を聞いてショックを受ける。
仕事人間だった夫の素っ気ない態度に対し、精神的に耐えられなくなってしまう。
最後は何も告げずにベッドの上に白紙の手紙を置いて、ニルスの前から姿を消した。

ウィングマン/エギル・ディックマン(演:ペーター・アンデション)
ニルスの兄。以前は伯爵の父親と仕事をしていたプロの殺し屋。現在は引退している。
ペーター・アンデションは代表作に『ミレニアム』シリーズ、『バチカン・テープ』がある。
息子を殺されたニルスがやって来ると、独自の情報網を使って犯人を彼に教えていた。
相手が犯罪組織だとして単独で復讐をするのはムリだと話し、チャイナマンを紹介した。
最後はチャイナマンのせいで名字がバレて、ニルスを守る為に自分を犠牲にして弟を助けた。

チャイナマン(演:デヴィッッド・サクライ)
プロの殺し屋。日系デンマーク人。エギルの紹介でニルスから伯爵の殺人を依頼される。
デヴィッド・サクライは代表作に『KARATE KILL/カラテ・キル』、『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』などがあります。
素人との仕事を極端に嫌がっていて、ニルスの古い取引のやり方に苛立ちを見せていた。
見た目から“チャイナマン”と言われているが、その度に日系のデンマーク人だと主張する。
最後は当初の取引を蔑ろにしたルール違反に伯爵の怒りを買い、そのまま殺されてしまう。

ルネ(演:ジャック・ソダール・モーランド)
パパの息子。父親と母親の家を交互に行き交っている。父親の仕事は理解している。
ジャック・ソダール・モーランドは本作が長編映画デビュー作となります。
学校でイジメを受けていて行きたくないと話し、父親が暴力を提案すると渋々納得した。
神経質な父親からオーガニックの食事を強制されるが、仕方なく付き合っていた。
ニルスに誘拐されても身の危険を感じず、逆にストックホルム症候群を自ら宣言していた。
最後は父親が殺された事実を知らず、除雪車を運転してニルスの後を追っていった。

マリット(演:ビアギッテ・ヨート・ソレンセン)
伯爵の元妻でルネの母親。デンマーク人。すでに伯爵と離婚していてルネの親権を狙う。
ビアギッテ・ヨート・ソレンセンは代表作に『72時間』、『オートマタ』などがあります。
以前は伯爵を心の底から慕っていたが、神経質な性格などからすれ違って別れている。
父親として最低限の義務も果たせない伯爵を責めて、ルネの親権を奪おうと画策している。
ルネが誘拐されて伯爵が強引に連れ出したと勘違いして怒鳴り込むも殴られてしまう。
最後はルネがニルスに誘拐されたと理解し、仕方なくすべてを伯爵に任せて立ち去った。

ゲール(演:アンドレス・バースモ・クリスティアンセン)
伯爵の忠実な部下。常に伯爵の側に立っていて、息子のルネからも特に慕われている。
アンドレス・バースモ・クリスティアンセンは代表作に『コン・ティキ』、『ヒトラーに屈しなかった国王』などがあります。
気難しい父親と違ってフレンドリーな立場としてルネに接し、友人や兄などの役回りをする。
いつも怒っていた父親を気にするルネに対し、安全だとして彼を安心させる役目を担った。
実は相棒のジュニアと同性愛の関係にあったが、伯爵に殺されたせいで不信感を持った。
最後はセルビア人たちに内通して伯爵の居場所を教えると、組織の壊滅に一役買った。

伯爵/オーレ・フォースビー(演:ポール・スヴェーレ・ハーゲン)
密輸犯罪組織のボス。ヴィーガン。息子にも同じような食事をさせて別れた妻と対立する。
ポール・スヴェーレ・ハーゲンは代表作に『コン・ティキ』、『特捜部Q/Pからのメッセージ』などがあります。
息子を殺されたニルスに売人を次々と殺されると、セルビア系ギャングだと決めつける。
感情的で思い通りに物事が進まないとブチ切れるが、息子に対して非常に甘い考えを持つ。
ルネが誘拐されてニルスの仕業と分かると、部下を引き連れて息子を取り戻そうとする。
最後はニルスを追い詰めるもパパたちの乱入で追い詰められ、結局は殺されてしまう。

パパ(演:ブルーノ・ガンツ)
セルビア系ギャングのボス。伯爵の父親と協定を結んで干渉せずに薬物を売り捌いていた。
ブルーノ・ガンツは近年の出演作に『ハウス・ジャック・ビルト』、『ハイジ/アルプスの物語』などがあります。
売人を殺された伯爵から一方的な疑いを持たれてしまい、息子を殺されて復讐を誓った。
伯爵の誤解だとして詫びを入れられるが、息子の死は息子という信念で徹底抗争を貫いた。
恋人を殺されたゲールの内通により、伯爵の居場所を知って部下たちと向かっていく。
最後は多くの部下を失いながらも伯爵を射殺し、仕事へ向かうニルスの除雪車に同乗した。

感想

個人的な評価

本作は『第64回ベルリン国際映画祭コンペティション部門』にて選出された作品です。
2019年には主演にリーアム・ニーソンが『スノー・ロワイヤル』としてリメイクされている。
『スノー・ロワイヤル』ではオリジナルである本作で監督を務めたハンス・ペテル・モランドが務めています。
脚本についてもベースはオリジナルを使用しているので、基本的にほとんど同じで多少の誤差があるというレベルです。
さすにが資金豊富なハリウッドに比べて本作は低予算な印象は否めないが、北欧らしい雰囲気がしっかりと出ていたと思います。
『スノー・ロワイヤル』ではネイティブ・アメリカンが抗争に一角を担っていたが、本作ではセルビア系ギャングである。
ノルウェーにおけるセルビア系はどのような立ち位置か分かりませんが、そのボスを演じたブルーノ・ガンツはさすがの存在感がありました。
かつてヒトラーで強烈なインパクトを残したブルーノ・ガンツも、ギャングのボスとしてもしっかりと印象に残ってくれます。
もちろん、もう一つの犯罪組織のボスである伯爵を演じるポール・スヴェーレ・ハーゲンは本作で初めて見ましたが、なかなかヤバそうな雰囲気も出ていた。
しかし、なんと言っても単なる除雪作業員である主人公を演じるステラン・スカルスガルドもリーアム・ニーソンに負けないほどの説得力がある。
リーアム・ニーソンの場合はアクションで地位を築いているが、一方のステラン・スカルスガルドにはそういうイメージがない分、あの感情を表に出さない演技が良かった。
『スノー・ロワイヤル』と本作を先にどっちを鑑賞するか自由だが、楽しみ方によって変わってくると思います。
ベースとなるオリジナルから鑑賞して構成を覚えて、じっくりとリーアム・ニーソンを楽しみたい方は本作から鑑賞するべき。
逆にリーアム・ニーソンの復讐する父親を楽しんだ上で、オリジナルとの比較をしたい方はリメイクの方から鑑賞する順番でよろしいかと思います。
個人的にはイメージが付いてしまっているリーアム・ニーソンよりも、ステラン・スカルスガルドの方が好きです。