スパイ・レジェンド RE-2359

作品紹介

公開年月  2014/08/27
ジャンル  アクション/スパイ
原作  ビル・グレンジャー 『ノヴェンバー・マン』
監督  ロジャー・ドナルドソン
脚本  マイケル・フィンチ、カール・ガイダシェク
製作  ボー・セント・クレア、スリラム・ダス
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

かつて“ノヴェンバー・マン”というコードネームでその名を轟かせた伝説の元CIAエージェント、ピーター・デヴェロー。
元同僚で愛していたナタリアの危機を知り、自ら“回収”するべくモスクワへ飛ぶ。
しかしナタリアは、彼の目の前で殺されてしまい、それを実行したのはデヴェローがCIA時代に教育した愛弟子のメイソン。
やがて、デヴェローはロシア大統領選をめぐる巨大な陰謀に巻き込まれていくのだった。

登場人物&出演者

ピーター・デヴェロー(演:ピアース・ブロスナン)
主人公。元CIAエージェントで現在はスイスで静かな隠遁生活を送っていた。
ピアース・ブロスナンは近年の出演作に『アイティー』、『クーデター』などがあります。
かつて組んでいたハンリーからの要請で、元恋人だったナタリアの回収を頼まれる。
CIAに知られずナタリアを回収するけど、愛弟子のメイソンによって殺される。
ナタリアの復讐と同時に彼女がやり残したミラ・フィリポアの行方を探す。
ジェームズ・ボンドとはまったく違い、当たり前のように邪魔者を消していく。
そんな男にも娘がいて、その時だけは父親の顔になるところも印象的だった。

デヴィッド・メイソン(演:ルーク・ブレイシー)
デヴェローの愛弟子。デヴェローを超えようと努力するも落第の評価を与えられた。
ルーク・ブレイシーは代表作に『かけがえのない人』、『X-ミッション』があります。
その後、CIAでエース的な存在として活躍し、上からの命令は絶対と裏切る事がなかった。
射撃の腕も一流であり、走っている車でも確実にターゲットを仕留められる実力を持つ。
最初は作戦の邪魔をしたデヴェローを殺害する命令に従うも、真実を知って彼に協力する。
ずっとルーク・ブレイシーがショーン・ビーンにしか見えなかったという印象。

アリス・フルニエ/ミラ・フィリポア(演:オルガ・キュリレンコ)
ヒロイン。カギを握るミラ・フィリポアに最も近い人物として狙われる。
オルガ・キュリレンコは近年の出演作に『ある天文学者の恋文』、『その女諜報員アレックス』などがあります。
危うく殺し屋のアレクサに殺されるところを間一髪でデヴェローに助けられる。
実はみんな追っていたミラ・フィリポア本人であり、別人になりすまして生活していた。
さすがにオルガ・キュリレンコはスタイル抜群で、彼女が娼婦のような格好で登場した時は説得力のある美しさと色気がありました。

ジョン・ハンリー(演:ビル・スミトロヴィッチ)
CIAの高官。引退をしていたデヴェローを現場に呼び戻し、それが原因で監禁される。
ビル・スミトロヴィッチは
実はフェデロフの弱みを掴んでいて、彼を操り人形として中東を牽制しようと考えていた。
クライマックスでようやく悪事がバレて、信頼していたメイソンに裏切られて失脚する。

アルカディ・フェデロフ(演:ラザル・リストフスキー)
次期ロシア大統領の最有力候補。過去のチェチェン紛争で罪のない人々を殺してきた。
ラザル・リストフスキーは
CIAと共謀してNATO入りを目指していたが、デヴェローによって過去が暴露される。

ペリー・ワインスタイン(演:ウィル・パットン)
CIAの高官。ベオグラードで指揮を執っていた。邪魔になったエージェントを回収させる。
ウィル・パットンは代表作に『アルマゲドン』、『パニッシャー』などがあります。
ハンリーの策略によってベオグラードから本国へと帰されてしまう。

アレクサ・ディオモイストリア(演:アミラ・テルツィヒッチ)
モスクワ出身でプロの殺し屋。フェデロフに雇われてCIAエージェントを殺している。
アミラ・テルツィヒッチはボスニア・ヘルツェゴビナ出身で、本作は映画として二作目となっています。
ターゲットとなったミラに近づこうとあらゆる手段を用いる危険な人物。
しかし、戦い方の素人であるアリスを追いかけている時に返り討ちに遭うマヌケな一面も。

感想

個人的な評価

近年、スパイ映画が多く製作され、ちょっとしたブームになっています。
世界で最も有名な『007』シリーズは相変わらずヒットを連発しています。
スタイリッシュなアクションの『キングスマン』、コミカル色が強い『SPY/スパイ』、バディ映画の『コードネーム/U.N.C.L.E』などが次々と作られています。
このように近年ではスパイ映画が製作されているが、その中で元ジェームズ・ボンドもいる。
本作の主人公であるピーター・デヴェローこそ、5代目ジェームズ・ボンドのピアース・ブロスナンが演じています。
さすがに本作ではジェームズ・ボンドのような軽快な立ち回りはなく、終始に渡ってシリアスな物語が展開される。
今回のピアース・ブロスナンは眉間にシワを寄せる厳しい表情で演じていました。
その甲斐もあって、彼は主人公でありながら目的の為なら手段を選ばない人物だと分かる。
そんな伝説的なエージェントの前に立つのは、彼の愛弟子であるメイソンで、演じているのはルーク・ブレイシー。
ルーク・ブレイシーは本作で初めて見る俳優だが、過去の姿と現在の姿はまるで違う印象。
特に引退したデヴェローと対峙した時、ショーン・ビーンに見えて仕方がなかった。
髪型のせいだろうが、若かりし頃のショーン・ビーンそっくりとも言えるほど似ている。
ずっとデヴェローと対立していたが、最後に会話を交わす事もなく和解したシーンはなかなか良かったです。
そして、ヒロインとなるアリスを演じるのはオルガ・キュリレンコです。
そう、オルガ・キュリレンコと言えば、ボンドガールを演じた女優なのです。
つまり、本作では過去のジェームズ・ボンドとボンドガールが共演しています。
それも奇しくもスパイ映画という面白い組み合わせだと言えるだろう。
オルガ・キュリレンコは単独で諜報員役もやっているが、本作で守られるヒロインとなる。
デヴェローはたった一人でCIAと戦っていくが、その過程で愛弟子との絆を見せてくれる。
ストレートな物語だと思えば、何回か予想外の展開になっていくのは面白い。
主人公のデヴェローは手段を選ばずに行動するが、そこにはちゃんと勝算が感じられる。
本作は派手なアクションを期待するかもしれないけど、スパイ映画は本来地味であるべきだと示す作品だと言えます。
やってくる敵をただ速やかに始末するだけで、派手な爆破は必要ないと分かります。
派手なアクション映画を期待すると肩透かしを食らうが、それは作品の本質を分かっていない愚かな人の感想だと思う。
これこそが古くからやっている正真正銘のスパイ映画だと言えるだろう。