チャイニーズ・ゴースト・ストーリー RE-325

作品紹介

公開年月  1987/07/18
ジャンル  ホラー/ファンタジー/アクション
原作  リー・ハンシャン 『真説チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』(リメイク)
監督  チン・シントン
脚本  ユエン・カイチー
製作  ツイ・ハーク
製作国  香港
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

借金を集金する為に旅をする書生の青年ニン・ツァイサンは、突然の大雨で帳簿を濡らして読み取れなくなってしまう。
無一文のツァイサンは仕方なく無料で泊まれる宿を求め、魔物が出るという曰く付きの古ぼけた蘭若寺へ向かっていった。
寺に住む道士インの断りもなく勝手に止まるがツァイサンは、どこからともなく響く琴の音色に導かれ、そこに妖艶な美女スーシンと出会うのだった。

登場人物&出演者

ニン・ツァイサン(演:レスリー・チャン)
主人公。各地の宿屋で借金を集金する書生。善良だが貧乏で常に金欠状態になっている。
レスリー・チャンは代表作に『男たちの挽歌』、『ブエノスアイレス』などがあります。
突然の雨で帳簿を濡らして読めなくなり、集金ができず無料で泊まれる蘭若寺まで来ていた。
勝手に帳簿を書いていたが、聞こえてきた琴の音色からスーシンと出会って一目惚れする。
スーシンがロウロウに働かされている幽霊だと分かり、なんとか助けようと奔走する。
最後は魔界に連れて行かれたスーシンを助け、彼女の骨壷を守ってイン道士に託して別れた。

スーシン(演:ジョイ・ウォン)
ヒロイン。ツァイサンが水上亭で出会った美女。美しい琴の音色を奏でて男を誘っていた。
ジョイ・ウォンは代表作に『デブゴンの霊幻刑事』、『シティーハンター』などがあります。
その正体は千年樹の妖怪ロウロウに仕える幽霊の一人で、男の精気を奪って献上していた。
蘭若寺の裏に埋葬された骨壷をロウロウに取られ、長年に渡って仕方なく従わされていた。
ツァイサンの純粋な心に惹かれていき、精気を奪えずに彼を逃したせいで罰を受ける。
最後は大魔王の嫁になるも魔界まで来たツァイサンに助けられ、骨壷に戻って別れをした。

・イン・チェッハー(演:ウー・マ)
蘭若寺に住んでいる道士。元は高名な官吏だったが、役人たちの腐敗を嘆いて隠者となる。
ウー・マは代表作に『奇蹟/ミラクル』、『風の輝く朝に』などがあります。
若い道士のハーハウと剣を交わしていたが、ツァイサンの乱入で勝負つかずになっていた。
何も知らないツァイサンに幽霊の事を話すが、恋してしまった彼に説得して諦めさせる。
どうしてもスーシンを助けたいツァイサンの心に打たれ、一緒に魔界まで乗り込んでいく。
最後はスーシンが黒山に剣を突き刺して倒し、骨壷に入ると彼女の故郷へ納めて向かう。

ハーハウ(演:ラム・ウェイ)
雨宿りしていたツァイサンが出会う若い道士。自分の金を盗んだ賊を皆殺しにする剣の達人。
ラム・ウェイは代表作に『愛と銃弾の掟』、『フィスト・オブ・フューリー/復活!ドラゴン怒りの鉄拳』などがあります。
有名な道士だったインに何度も挑戦していたが、野心という欲望のせいで負け続けていた。
インとの戦いをツァイサンに邪魔されて退避して、川辺で負った傷の手当をしていた。
最後はスーシンに誘惑されて魅了されると、ロウロウに精気をすべて吸われて干からびた。

シーチェ(演:シュエ・ジールン)
水上亭で男たちを誘惑する幽霊。スーシンをライバル視する。ロウロウに黙って従っている。
シュエ・ジールンは代表作に『奇蹟/ミラクル』、『黒社会』などがあります。
ツァイサンを誘惑していたスーシンを見ていたが、なかなか捕まえない事を疑問視する。
水上亭まで来てしまったツァイサンを嗅ぎつけるも、スーシンに隠されて気付かなかった。
ツァイサンにスーシンと間違えられ、襲おうとしたがスーシンに邪魔されてしまう。
最後は見回っていたインに見つかって、首を落とされ、体を術で爆発四散されて倒された。

ロウロウ(演:ラウ・シウミン)
蘭若寺の近くにある森に住む千年樹の妖怪。スーシンを含めた女性たちの骨壷を持っている。
ラウ・シウミンは代表作に『夜明けのスローボート』、『香港人肉厨房』などがあります。
妖艶な幽霊たちを従わせて男たちから精気を吸い取り、妖力を高めて長生きをしていた。
特にスーシンの魅力を誰よりも理解していて、彼女が誘惑した男を何度も横取りしている。
スーシンを黒山妖怪へ嫁がせようとするが、ツァイサンたちの邪魔も簡単に返り討ちにする。
最後は裏切ったスーシンが黒山を倒され、インの攻撃を受けて妖力を失ってしまう。

感想

個人的な評価

本作は1960年にリー・ハンシャン監督の『真説チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』をリメイクした作品となります。
この作品は『第16回アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭』、『第17回パリ国際ファンタスティック映画祭』などで受賞しています。
世界でも認められた作品ですが、香港映画に大きな影響を及ぼしており、本作以降は似たような映画が数多く製作される事になりました。
当時の香港映画はカンフーがメインとなっていた為、本作のようなホラー要素を持った作品は非常に珍しかったと思います。
そもそも、本作はホラーというジャンルに留まる事なく、ラブロマンスやコメディ、それにミュージカルの要素も詰め込まれている。
まさに本作は映画が持つ要素をすべて詰め込んでいて、それらは破綻する事なく、絶妙なバランスで極上のエンターテイメントを完成させました。
主人公とヒロインのラブロマンスを音楽で盛り上げ、純粋な男女の純愛を描いている点でもホラー映画のジャンルに収まらない。
もちろん、ホラーとしての要素に幽霊などが出てきますが、そこにはカンフー映画で培ったワイヤーアクションが動きを滑らかにしています。
そこに本作で最も魅力的な人物である道士のイン・チェッハーの登場は、まさしくミュージカルのような演舞で楽しませてくれる。
スケールとしてはそこまで大きくないですが、詰め込まれた様々なジャンルによる相乗効果で何倍も面白くなっています。
この絶妙なバランスは本作を究極のエンターテイメントに押し上げていて、個人的にも香港映画のベスト3に入れたいぐらいの名作です。
主人公のレスリー・チャンはすでにアイドル的な人気を博していたが、本作での純粋は青年役で更に人気を不動にしたのでしょう。
そして、ヒロインを演じるジョイ・ウォンも一躍トップスターの仲間入りするぐらい魅力的で妖艶な女性を作り上げました。
香港映画はカンフーとノワールという二大ジャンルに分かれていますが、本作のような作品が登場してから流れが変わったのでしょう。