作品紹介
公開年月 | 2014/01/08 |
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ジャンル | ドラマ/伝記 |
原作 | ローレンス・ベナイム 『イヴ・サンローラン』 |
監督 | シャリル・レスペール |
脚本 | マリー=ピエール・ユステ、シャリル・レスペール、ほか |
製作 | ヤニック・ボロレ |
製作国 | フランス |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
1957年のパリ、デザイナーの卵時代にクリスチャン・ディオールに見出されたイヴ・サンローランはその後継者に指名される。
鮮烈なデビューを飾ったイヴの才能に惚れ込んだピエール・ベルジェは、共に惹かれ合い一緒に暮らすようになる。
ピエールの献身的なサポートでイヴがデザインに専念するが、ディオール社のトラブルに巻き込まれてしまうのだった。
登場人物&出演者
・イヴ・サン=ローラン(演:ピエール・ニネ)
主人公。若き天才ファッションデザイナー。亡きディオールの後継者としに任命される。
ピエール・ニネは代表作に『誘惑/セダクション』、『女の子が好き』などがあります。
極度の内気でコレクションでは顔を出す事を嫌がり、デザイン以外は無能だと自己卑下する。
ディオールからメゾンのデザイナーに指名され、多大なプレッシャーの中で成果を挙げる。
兵役から逃れていたが、結局は入隊するも同性愛者という事でヒドイ目に遭い傷心する。
才能に生きるからこそ多大な圧力を受け、道に迷う事があってもピエールが方向修正をした。
・ピエール・ベルジェ(演:ギヨーム・ガリエンヌ)
イヴの公私に渡るパートナー。雑誌の発行人。文学や絵画に詳しいがファッションには疎い。
ギヨーム・ガリエンヌは代表作に『サブリナ』、『ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記』などがあります。
活動費を得る為に絵画を売り捌いていた時にイヴの代理人から彼が画家のファンだと知る。
それまで内気で誰にも心を開かなかったイヴと意気投合し、激しいまでの恋に落ちる。
精神を病んだイヴを解雇したディオール社に勝訴し、投資家を取り込んで新たな会社を作る。
最後までイヴの事を見守り、彼の才能を受け止めて何があろうと影から支えた人物でした。
・ヴィクトワール・ドゥトルロウ(演:シャルロット・ルボン)
モデルでイヴの友人。誰よりもイヴの近くにいて彼を理解し、よく相談を受けていた。
シャルロット・ルボンは代表作に『ザ・ウォーク』、『フレンチ・ラン』などがあります。
イヴが同性愛者と知りながらも彼の魅力に惹かれ、冗談で結婚を申し込まれて少し本気に。
立ち上がろうとするイヴを応援し、彼の為に投資家を集める為に雑誌の顔となっていた。
イヴと仲良くしてチーフ面をする彼女にピエールが嫉妬するが、そのまま関係を持つ事に。
それがイヴに知られてしまうと、彼から罵声を浴びせられ、そのまま立ち去っていく。
・ベティ・カトルー(演:マリー・ド・ヴィルパン)
モデル。バーで踊っているところをイヴに見初められ、そのままモデルに起用される。
マリー・ド・ヴィルパンは代表作に『ブッシュ・ド・ノエル』、『Baikonur』があります。
イヴが活力を蓄える際に時間を共有し、その後も彼のブランドを支えるモデルとして活躍。
・ルル・ド・ラ・ファレーズ(演:ローラ・スメット)
モデル。イヴが静養していたマラケシュの別荘で出会う。彼に新たな刺激を与える。
ローラ・スメットは代表作に『石の微笑』、『ゼロ時間の謎』などがあります。
彼女がもたらしたドラッグによってイヴは甘美な世界に浸っていく原因を作ってしまう。
一度はイヴがピエールにより監禁されるが、友人として彼と接して活力を与えていく。
・カール・ラガーフェルド(演:ニコライ・キンスキー)
ファッションデザイナー。フェンディのアートディレクターでイヴとも知り合い。
ニコライ・キンスキーは代表作に『パガニーニ』、『X-ミッション』などがあります。
マラケシュの別荘で恋人のジャックとともにイヴと楽しい時間を過ごしていた。
・ジャック・ド・バシェール(演:グザヴィエ・ラフィット)
カールとイヴが共有している愛人。マラケシュの別荘にイヴとの距離を一気に縮めた。
グザヴィエ・ラフィットは代表作に『好きと言えるまでの恋愛猶予』、『シルビアのいる街で』などがあります。
イヴを骨抜きにするほど相思相愛となり、破滅的な道を歩んでいく事に危機感はない。
その為、見かねたピエールに脅迫されてしまうが、それ以降はイヴと距離を取る。
しかしながら、ピエールに脅迫された事はイヴが死ぬまで決して口にしなかったという。
感想
個人的な評価
本作はフランスを代表するファッションデザイナーであるイヴ・サンローランの生涯を描いた作品となっています。
セザール賞では7部門にノミネートし、最優秀男優賞を受賞しており、イヴ・サンローラン財団とピエール・ベルジェが全面的な協力をしています。
2010年にはギャスパー・ウリエル主演の『SAINT LAURENT/サンローラン』がイヴ・サンローランの伝記映画として製作されています。
正直言って、自分はファッション業界に疎い方であるが、イヴ・サンローランという人は偉大なファッションデザイナーなのは知っています。
一応、上述の作品でイヴ・サンローランの晩年を知る事ができたが、本作は彼の生涯を凝縮した作品となっていて参考になります。
やはり、何かを生み出す人というのは一点の才能を発揮するが、その一方で普通に生活ができないほど何もできない天才型によくあるタイプの人だと分かります。
『SAINT LAURENT/サンローラン』では、イヴと愛人であるジャックの破滅的な晩年を中心にした物語となっています。
それに対して、本作はファッションデザイナーとして歩んできたイヴを最初からみせていくという物語でした。
つまり、本作を鑑賞した後に『SAINT LAURENT/サンローラン』を鑑賞すれば、イヴ・サンローランという人物がより分かると思います。
とにかく、彼の生きていた世界は我々のような一般人には理解できない次元にあり、常人では計り知れないプレッシャーもあったのでしょう。
才能だけで生きていくというのは素晴らしい事だが、その反面として多くの期待と己の作った足枷による心的ストレスは尋常じゃないと分かります。
イヴ・サンローランはデザイナーとして一流であるが、一人の人間としては欠陥だらけです。
小切手を書くのがやっとだと自嘲するぐらい、不器用で無能だと卑下している。
そんなイヴの才能を誰よりも認め、彼の足りない部分を支えるピエール・ベルジェという男の存在が非常に大きいです。
時には恋人として彼を支え、時には母親のように叱り、時には友人として相談に乗り、時にはビジネスパートナーとして会社を経営する。
イヴ・サンローランは確かに才能に恵まれた人物だったが、彼の成功はピエール・ベルジェという男がいたからこそだと思います。
いくら才能があったとしても、それを実際の形にして世界に売り出すには、また別の才能が必要となります。
残念ながらイヴ・サンローランには自分をプロデュースする能力はなかったが、それを補うべくピエール・ベルジェが裏方に徹していました。
イヴ・サンローランにとって、ピエール・ベルジェとの出会いこそ、彼にとって最大にして最高の出会いだったと言えるでしょう。
『SAINT LAURENT/サンローラン』では恋人ジャックとの甘い日々を過ごしていたが、本作ではイヴ・サンローランの才能を世界に広めたピエール・ベルジェの功績がハッキリと描写されています。
同性愛の強い映画で好みが分かれるでしょうが、ピエール・ベルジェは恋人、保護者、友人、ビジネスマンとして最高の人物だと納得しました。