作品紹介
公開年月 | 2016/12/24 |
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ジャンル | ファンタジー/アドベンチャー/アクション |
原作 | 『西遊記』(モチーフ) |
監督 | ジョシュア・イ・シャオシン |
脚本 | ジョシュア・イ・シャオシン |
製作 | チェン・レイ、ホアン・ジャンシン、ほか |
製作国 | 中国 |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
尖った鋭い角と神通力を持つ心優しい妖怪の大錘は、英雄になる事を夢見ていたが、実際は饅頭を売るだけの冴えない日々を送っていた。
そんなある日、大錘が暮らす村を妖怪が襲撃し、名を上げるチャンスと意気込む大錘だったが、間違えて魔王を蘇らせてしまう。
同じ頃、三蔵法師一行は離れた場所で魔王の再来の気配を感じ、孫悟空は退治しよう挑むも法力を奪われて地上へ落とされる。
偶然にも孫悟空の命を救った大錘は想いを寄せる幼馴染みの小美とともに魔王を倒すべく旅へと出るのだった。
登場人物&出演者
・大錘(演:バイクー)
主人公。妖怪だが人間と変わらず、饅頭を売って生計を立てている。自意識過剰気味。
バイクーは代表作に『人魚姫』、『更年期的な彼女』などがあります。
口先だけで使える術は花を咲かせる神通力と、地獄の番犬という名の子犬を召喚する術だけ。
みんなに認められたくて色々とやっているうちに黒魔を復活させてしまう。
しかし、実は黒魔を唯一封印できる石牛の妖怪であり、最終的に体を張って封印する。
・小美(演:ヤン・ズーシャン)
ヒロイン。大錘の幼馴染みで饅頭屋を営んでいる。調子に乗る大錘をいつも叱っている。
ヤン・ズーシャンは代表作に『So Young/過ぎ去りし青春に捧ぐ』、『20歳よ、もう一度』などがあります。
父親は村に出た妖怪を退治しようとするが、村人は誰も協力せず亡くなっている。
その形見となる銭袋を大事に持ち、大錘からは父親こそが本物の英雄だと言われる。
慕容の心魔に浸食されるが、大錘の開花術と彼に対する愛で跳ね返して倒すきっかけを作る。
・孫悟空(演:リュウ・シュンジモ)
三蔵法師とともに旅をしている妖怪。魔王の再来を食い止めるべく挑むが金丹を奪われる。
リュウ・シュンジモは本作が映画デビュー作となっています。
力の源である金丹を奪われて人間の姿になり、取り戻そうと大錘と小美を鍛える事に。
大錘に騙されて一度離れるが、彼らがピンチになった時、颯爽と助けにやって来る。
・三蔵法師(演:チェン・ボーリン)
唐の僧侶。天竺を目指す道中、魔王の再来に孫悟空が敗れ、如意棒の檻に閉じ込められる。
チェン・ボーリンは代表作に『東京タワー/オカンとボク、時々、オトン』、『カンフー・ダンク!』などがあります。
すべての煩悩を捨て去っているはずなのに、食欲だけは猪八戒や沙悟浄よりもある。
諦めも早いし、言っている事とやっている事がズレているなど、コミカル担当を務めた。
・沙悟浄(演:ジョシュア・イ・シャオシン)
三蔵法師に付き添う妖仙。厳つい顔と眉毛とヒゲが繋がった独特の見た目。
ジョシュア・イ・シャオシンは本作が俳優としてのデビュー作となっています。
三蔵法師の言葉に対して、過度に感心し、その度に感動の涙を流していた。
・猪八戒(演:マイク・D・アンジェロ)
三蔵法師に付き添う妖仙。常に空腹を訴え、三蔵法師に毎度説教される。
マイク・D・アンジェロは本作が映画デビュー作となっています。
如意棒の檻に閉じ込められ、空腹のあまり妖怪から人間の姿へと変わってしまう。
・玉龍(演:ハン・ハン)
三蔵法師を背に乗せる白馬。黒魔の気配を察知して誰よりも早く逃げ出した。
ハン・ハンは作家として活躍し、本作が本格的な映画デビュー作となっています。
クライマックスで孫悟空が失った金丹を探し出して力を取り戻させる。
・慕容(演:マー・ティエンユー)
過去に黒魔から石牛村を救った先人の末裔。黒魔の呪いで長生きできない体である。
マー・ティエンユーは代表作に『古剣奇譚/久遠の愛』などがあります。
黒魔のよる心魔で悪の道への誘いと戦うが、最終的に負けて支配されてしまう。
悪役を一手に引き受けたが、ちょっと強引すぎたせいであっさりと役目が終わります。
・土地神(演:エリック・ツァン)
金丹を失った孫悟空が呼び出した石牛村の土地神で気さくなオッサン。
エリック・ツァンは代表作に『インファナル・アフェア』シリーズなどがあります。
実は大錘が封印を少し解いた時に出てきた黒魔の一部で最終的に復活する。
しかし、本来の使命を知った大錘が石牛と化して打ち消されてしまう。
感想
個人的な評価
中国四大奇書に数えられる『西遊記』をモチーフにしたオリジナルの作品。
ハリウッドに次いで莫大な予算を投じる中国映画だが、本作では最新のVFXを駆使したアクションが魅力となっています。
『西遊記』は何度も使い古されたネタであり、それは中国に限らず日本でも使われている。
そんな本作では三蔵法師たちは主人公ではなく、彼らが立ち寄る小さな村に住んでいる妖怪が主役となっています。
尖った角を持ち、どこにでも花を咲かせる開花術の神通力を持つ自意識過剰の妖怪が主人公。
本作は中国映画にある独特なコミカルな要素をふんだんに取り入れ、サービス満点の娯楽作に仕上がっています。
とにかく、本作は面白さを追求した作品になっていて、内輪ネタではない、観客を意識した笑いを取りに行っているのは素晴らしいです。
当然のように中国映画だからワイヤー・アクションがあるけど、あくまでオマケである。
本作のメインは観客を楽しませようという試みであり、多少の反則技でも構わないという心構えが伝わってくる。
安易に下ネタで笑いを取ろうとしていないのは高評価で、ワザとテンポを崩している工夫も悪くないと感じました。
ストーリーについては普遍的なダメな主人公が本当の英雄になっていくという物語。
最初は口先だけで何も出来ないヤツだったが、最後は英雄ではなく、ただ好きな人と一緒に過ごしたいという王道の展開となる。
本作に三蔵法師一行が登場するが、あくまで引き立て役にしているのも良かったです。
ただ、本作はあまりにも観客を意識した笑いを取りに行ったせいで、肝心のストーリーが捻りがなく、敵に関して少し雑な設定になってしまっている。
そのせいでクライマックスの戦いは映像に迫力があっても、なんだか煮えきれないような印象を受けてしまう。
それでも製作陣から伝わってくるサービス心は非常に重要な部分だと思います。
堅実でマイルドなビジネスライクな映画よりも、こういう心が表れてくるような作品の方が好きだったりする。