マングラー VD-347

作品紹介

公開年月  1995/03/03
ジャンル  ホラー
原作  スティーヴン・キング 『人間圧搾機』
監督  トビー・フーパー
脚本  トビー・フーパー、スティーヴン・ブルックス、ほか
製作  アナン・サイン
製作国  アメリカ
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

ニューイングランドにある小さな町の古いクリーニング工場「ブルーリボン」には、シーツなどを乾燥させて折りたたむ巨大なプレス機がある。
ある日、工場で働く若い女性が手をケガして血がプレス機に流れ込み、それ以降、従業員がプレス機に巻き込まれたり、スチームが吹き出して大火傷を負う事故が起きる。
事件を捜査する刑事ハントンは、一連の出来事がプレス機そのものの仕業だと気付き、なんとか止めようとするのだった。

登場人物&出演者

ジョン・ハントン刑事(演:テッド・レヴィン)
主人公。14年も死体と付き合っている。妻は事故死してしまい、義弟のマークと仲が良い。
テッド・レヴィンは近年の出演作に『ザ・レポート』、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』などがあります。
ブルーリボン洗濯工場で事故が起きると、シーツのように折りたたまれた死体でゲロを吐く。
義弟がプレス機に何かが取り憑いた説を一蹴するが、調査を進める内に本当だと気付いた。
ピクチャーマンからガートレーの企みに気付き、マークとシェリーを助けようとする。
最後は追いかけるプレス機から逃れるが、プレス機を復活させたシェリーに落胆してしまう。

シェリー(演:ヴァネッサ・パイク)
ヒロイン。ブルーリボン洗濯工場で働く従業員。ガートレーの姪で監視目的で仕事をする。
ヴァネッサ・パイクは代表作に『The Apology』、『Die Vierde Kabinet』などがあります。
常に叔父からの監視を受けているせいで仲が悪く、新入りのリン・スーの態度に苛つく。
作業中に手を切って血がプレス機に流れ、仲が良かった従業員が巻き込まれてパニックに。
実は監視されたのは処女である事を保ち、ガートレーが契約の更新の生贄にされようとした。
最後は犠牲になろうとするもハントンに助けられ、ガートレーの代わりに工場を引き継ぐ。

マーク・ジャクソン(演:ダニエル・マトマー)
ハントンの義理の弟。オカルト研究家。姉が事故死してもハントンとの付き合いがある。
ダニエル・マトマーは代表作に『The Poet』、『ダークウォーター/奪われた氷の真実』などがす。
大学生時代にブルーリボン洗濯工場でバイトした経験があって、プレス機の不気味さを語る。
連続する事故に対して、オカルト本から取り憑かれているとハントンに話すも一蹴される。
なんとかハントンを説得し、命を分け与えられた冷蔵庫で確信して祈りで対抗しようとする。
最後はシェリーの助けに来て、リン・スーに反撃するが、追いかけるプレス機に殺された。

J・J・J・ピクチャーマン(演:ジェレミー・クラッチェリー)
事件が起きると現場にやって来て写真を撮っている。ハントンとは旧知の仲で似た者同士。
ジェレミー・クラッチェリーは代表作に『グッドマン・イン・アフリカ』、『ドゥームズデイ』などがあります。
ブルーリボン洗濯工場で起きた凄惨な事故に駆けつけ、折りたたまれた死体を撮っていた。
プレス機から命を与えられた冷蔵庫の現場に来て、不思議な光景を見て笑っていた。
実は体を病魔に冒されており、もう長くないとハントンに打ち明けて別れを惜しんでいた。
最後は死ぬ直前にハントンがやって来て、ガートレーがシェリーを生贄にすると伝えた。

スタナー(演:デメートル・フィリップス)
ブルーリボン洗濯工場の現場主任。プレス機の蒸気による熱さで常に汗を掻いている状態。
デメートル・フィリップスは代表作に『976-EVIL』、『ストーン・コールド』があります。
納期が遅れているとガートレーに言われると、考えもなく従業員たちに喝を入れていた。
従業員の一人がプレス機に巻き込まれ、反対側から出た死体を見て気分が非常に悪くなる。
プレス機に巻き込まれようとしたリン・スーを寸前で助け、危険だとして止めようとする。
最後はプレス機を破壊しようとして失敗し、腕を挟まれて切断するも結局は死んでしまう。

リン・スー(演:リサ・モリス)
新しくブルーリボン洗濯工場に雇われた新入り。元々は路上生活者でガートレーが拾った。
リサ・モリスは本作が長編映画デビュー作となります。
プレス機の事故で血だらけのシェリーを心配して声をかけるが、拒絶されてしまう。
またも事故が発生してガートレーに助けを求めるが、彼から肉体関係を迫られて受ける。
プレス機に巻き込まれ、指を失うが、それこそが契約だとガートレーに言われて受け入れる。
最後はシェリーを生贄にしようとするが、マークの反撃でプレス機によって殺された。

ビル・ガートレー(演:ロバート・イングランド)
ブルーリボン洗濯工場の経営者。両足が不自由、隻眼、喉に機械を埋め込む全身サイボーグ。
ロバート・イングランドは近年の出演作に『ザ・ミッドナイトマン』、『アナコンダ vs 殺人クロコダイル』などがあります。
納期が遅れているという事で、汗だくの現場主任スタナーにムチを入れて急がせていた。
実は過去に自分の肉体と処女だった娘を生贄で悪魔と契約して巨万の富を得ている。
今回は契約を更新するべく姪のシェリーを生贄にしようとするが、ハントンに止められる。
最後は残り時間がなくなってしまい、怒ったプレス機によって折りたたまれて殺された。

感想

個人的な評価

本作はスティーヴン・キングの短編小説『人間圧搾機』を基に作られています。
なぜか2002年に『マングラー2』、2005年に『スライサー』の続編が作られているけど、本作のようにぶっ飛んだ設定になっています。
多分、本作のプレス機は特別に映画用として作られていますが、それにしても造形がかなり威圧的で不気味な印象です。
プレス機が取り憑かれて人間の血を求めるぶっ飛んだ設定であるが、そこはトビー・フーパーの作り出す世界観が非常にマッチしています。
原作は短編小説であるけど、ここまで話しを広げたトビー・フーパーの上手さが光ります。
本作では『エルム街の悪夢』で一躍有名になったロバート・イングランドが誰よりも濃すぎるキャラクターが印象的です。
ただでさえ印象的な顔立ちであるが、そこに両足の矯正器具と松葉杖、隻眼と喉に埋め込まれた機械など、見た目のインパクトは半端じゃないです。
それだけでプレス機よりも目立っているが、ラストで待ち受ける強烈なインパクトのシーンで脇役だった事を思い知らされます。
ずっとトビー・フーパーはガマンしていたのかと思うぐらい、まさかプレス機が変形して追いかけて来るとは思わなかった。
普通に考えればギャグに思えるかもしれないが、それをやりきったトビー・フーパーの潔さは素晴らしいの一言です。
残酷な描写が容赦なく展開されていますし、何より人体破壊にこだわったトビー・フーパーの心意気がしっかりと伝わってきました。
主人公とピクチャーマンのやり取りは悪くないが、正直言って、このエピソードが丸ごとカットしてもいいと感じました。
その分、主人公とプレス機との必死の戦いをもっと早めに魅せてくれたら、評価が変わっていたのかもしれない。
80年代のスプラッターを90年代に持ってきたトビー・フーパーのこだわりはいいが、多分、またもスティーヴン・キングは文句言っていたのだろう。