マグニフィセント・セブン RE-2525

作品紹介

公開年月  2016/09/23
ジャンル  西部劇/アクション
原作  ジョン・スタージェス 『荒野の七人』(リメイク)
監督  アントワーン・フークア
脚本  ニック・ビゾラット、リチャード・ウェンク
製作  ロジャー・バーンボーム、トッド・ブラック
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

開拓時代の小さな田舎町、そこでは冷酷な悪徳実業家バーソロミュー・ボーグが町の資源を独占し、荒くれ者たちを従え傍若無人の限りを尽くしていた。
ある日、ボーグに夫を殺されたエマは、サムと名乗る賞金稼ぎの銃の腕前を見込んで町を救って欲しいと住民からかき集めた全財産を差し出した。
依頼を引き受けたサムは腕利きの男たちを集め、アウトロー7人でボーグ率いる200人の悪党軍団に戦いを挑むのだった。

登場人物&出演者

【七人の用心棒】

サム・チザム(演:デンゼル・ワシントン)
カンザス州・インディアナ準州など7つの州の委任執行官。賞金稼ぎで仇敵を探している。
デンゼル・ワシントンは近年の出演作に『フェンス』、『イコライザー』などがあります。
南北戦争では北軍の騎兵隊に所属し、その経験から大勢と戦う戦術を身につけている。
七人の代表として先陣を切り、作戦を練って、塹壕の場所まで指定するなど多面で活躍する。
過去にボーグによって母親や妹を失い、今回は仇敵を倒すべくエマの依頼を引き受けた。
最後は仇敵を追いつめるが、ボーグの隠し持った銃で撃たれる寸前にエマがトドメをさす。

ジョシュ・ファラデー(演:クリス・プラット)
流れ者のギャンブラー。博打絡みの問題が多い。トランプを用いる手品を得意とする。
クリス・プラットは近年の出演作に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』、『パッセンジャー』などがあります。
二挺拳銃のピースメーカーを使い、トランプなどで敵の注意をそらして隙を作っている。
一行のムードメーカー的な役割を担い、一方で怯えるロビショーの態度に気づく。
ボーグ一味との戦いでは縦横無尽に活躍し、大軍を攪乱しながら次々と倒していく。
最後はガトリングガンを破壊するべく、野ざらしを突っ切り、ダイナマイトで自爆して倒す。

グッドナイト・ロビショー(演:イーサン・ホーク)
フランス系の賞金稼ぎ。南北戦争では南軍に属し、戦後はサムに助けられた過去を持つ。
イーサン・ホークは近年の出演作に『ブルーに生まれついて』、『マギーズ・プラン/幸せのあとしまつ』などがあります。
ウィンチェスター銃での狙撃の達人で南北戦争の活躍で「死の天使」と恐れられている。
名前を聞いただけで震え上がるほどの人物だが、サムとは旧知の仲で楽しい人物という印象。
戦争によって心に傷を負っていて、ボーグ一味の戦いを前にして抜け出してしまう。
結局、見捨てる事ができず戻ってガトリングガンの存在を知らせ、ビリーとともに倒れる。

ジャック・ホーン(演:ヴィンセント・ドノフリオ)
人里離れた山に住むマウンテン・マン。ガンマンやネイティブ・アメリカンに恐れられる。
ヴィンセント・ドノフリオは近年の出演作に『ペレ/伝説の誕生』、『ジュラシック・ワールド』などがあります。
追跡する能力に長け、ウィンチェスター銃の他に斧とボウイナイフによる接近戦も得意。
ネイティブ・アメリカンのハーベストが英語がしゃべれると知って喜んで談笑をする。
立派な体格を利用して力任せに神への祈りを捧げながら相手を容赦なく殺していく。
最後はケガをしたテディを匿うも、やって来たデナリの放った弓矢によって倒れる事に。

ビリー・ロックス(演:イ・ビョンホン)
アジア系のガンマン。一匹狼のアウトローだったが、ロビショーに認められコンビを組む。
イ・ビョンホンは近年の出演作に『ブラック・ファイル/野心の代償』、『インサイダーズ/内部者たち』などがあります。
ナイフの達人でガンベルトには常に9本の短刀を携え、近接での格闘術にも優れている。
ローズ・クリークの町民にナイフ術を教えるも、あまりにもザックリすぎて参考にならない。
ボーグの一味相手にナイフ術を使って倒し、銃でも教会の塔から狙い撃ちをしていた。
戻ってきたロビショーとともにファラデーの援護をするもガトリングガンの前に倒れる。

バスケス(演:マヌエル・ガルシア=ルルフォ)
賞金首のメキシコ人。テキサス・レンジャーを殺しサムに追いつめられるが用心棒となる。
マヌエル・ガルシア=ルルフォは代表作に『Maquillaje』、『La vida inmoral de la pareja ideal』などがあります。
二挺拳銃の使い手でロープの扱いにも長けており、何かあるとスペイン語を口にする。
当初からメキシコ人を小バカにするファラデーと言い争うも良き仲間として認識している。
得意の二挺拳銃やライフルで的を次々と倒すも、途中で左肩を負傷してしまう。
最後はガトリングガンの猛威にも耐え、戦いが終わってファラデーの死をサムに伝える。

レッド・ハーベスト(演:マーティン・センズメアー)
コマンチ族のネイティブ・アメリカン。放浪していたが用心棒一行と出会って参加する。
マーティン・センズメアーは代表作に『Lillin’s Brood』、『Wind River』などがあります。
拳銃を持っているが、主にネイティブ・アメリカンの象徴である弓矢と斧を使用する。
白人の飯は好まず、一人だけ町の外へ出て、やって来るボーグたちの様子を偵察を担う。
最後はエマを襲うインディアンのデナリを恥さらしと言って片付け、ホーンの遺体を回収。

【ローズ・クリークの町民】

エマ・カレン(演:ヘイリー・ベネット)
ヒロイン。ローズ・クリークの町民。ボーグから村を守るべくサムに用心棒を依頼する。
ヘイリー・ベネットは代表作に『ラブソングができるまで』、『イコライザー』があります。
相手が神も恐れない男であっても、夫の仇敵を倒す為になんでもやる覚悟を持っている。
タマなしの町民と違って、自ら武器を取って戦おうとするほどの意気込みで臨む。
夫を失ったばかりで言い寄ってくるジョシュを軽くいなし、ロビショーの代役を申し出る。
悪党どもを必死に倒し、最後はサムに銃を向けたボーグを一発であの世へ送った。

テディ・Q(演:ルーク・グライムス)
ローズ・クリークの町民。ボーグの圧倒的な存在感に対して何もできずに呆然と見ていた。
ルーク・グライムスは代表作に『96時間/リベンジ』、『アメリカン・スナイパー』などがあります。
立ち上がったエマとともに町を救うべく、腕の立つ用心棒を雇うべく各地を探し回る。
やる気は人一倍あっても、銃の腕は絶望的に悪く、ロビショーもイライラするほどの下手さ。

マシュー・カレン(演:マット・ボマー)
エマの夫。ボーグが無茶な条件で土地を横取りしようとして戦う意志を全員に示す。
マット・ボマーは代表作に『テキサス・チェーンソー/ビギニング』、『TIME/タイム』などがあります。
土地を低い賃金で買うと言ったボーグに反旗を翻し、結果として撃たれて野ざらしになる。

【ボーグ一味】

デナリ(演:ジョナサン・ジョス)
ボーグの部下。ネイティブ・アメリカンでボーグの用心棒を務めている。
ジョナサン・ジョスは代表作に『オールモスト・ヒーローズ/進め!アメリカ横断冒険野郎』などがあります。
弓矢と斧やナタを使い、エマを追いつめるが、恥さらしとしてハーベストに片付けられる。

マッキャン(演:キャム・ギガンデット)
ボーグの部下。ボーグに宣戦布告したサムたちを倒すべく部下をかき集めた。
キャム・ギガンデットは代表作に『パンドラム』、『プリースト』などがあります。
ローズ・クリークの町に乗り込んでファラデーにケガを負わせるもバスケスに殺される。

バーソロミュー・ボーグ(演:ピーター・サースガード)
ローズ・クリークの土地を狙う資本家。強引なやり方で奪う“略奪男爵”の名で知られる。
ピーター・サースガードは近年の出演作に『アイヒマンの後継者/ミルグラム博士の恐るべき告発』、『ブラック・スキャンダル』などがあります。
近くにある金採掘の拠点としてローズ・クリークを狙い、用意周到に保安官を買収している。
あらゆる実業家は自らの手を汚さないが、彼らと違って自ら手を下す事で恐怖を煽る。
あくまで手下を使い、金で買った悪魔の銃“ガトリングガン”などで対抗する。
結果的に部下が全員倒され、最後はサムが過去の罪を思い出させ、エマがトドメをさす。

感想

個人的な評価

本作は1960年に公開された西部劇映画『荒野の七人』のリメイクとなっています。
その『荒野の七人』は1954年に公開された時代劇映画『七人の侍』がベースである。
『七人の侍』は邦画史上に残る名作であり、監督を務めた黒澤明にとっても莫大な製作費を投じた作品となりました。
現在の邦画は製作費を回収する前提で製作されるが、当時の黒澤明監督が作り出す映画は破格の製作費を投じていた事で有名です。
当然ながら、それに比例して素晴らしい映画を作り上げていて、海外の監督からも尊敬を集めてハリウッドでリメイクされる事になりました。
こうして製作された『荒野の七人』も大ヒットし、当時の大スターが一堂に会した作品としてハリウッド史上にも残っている。
それがついに現代版となって蘇るという事で、注目されるのは出演者となるでしょう。
黒人俳優として高い演技力を持つデンゼル・ワシントン、人気急上昇のクリス・プラット、確かな実力で印象を残すイーサン・ホーク、各作品で存在感を出すヴィンセント・ドノフリオ、近年ハリウッドに進出するイ・ビョンホンなどなど。
そこにメキシコ人のマヌエル・ガルシア=ルルフォ、ネイティブ・アメリカンのルーツを持つマーティン・センズメアーが加わっています。
国際的な構図を一つの映画に込めていて、それまでの名作を受け継ぐ出演者となりました。
このように本作はかなり期待度を上げて鑑賞したけど、一つだけ不安要素があった。
タイトルから分かるように主要人物は七人なので、どこまで個々の描写をしているかが最大のポイントだと言えます。
七人の用心棒はもちろん、彼らに依頼する人物、あとは元凶となる悪役をどこまで描くで本作の満足度が変わっていく。
リメイクなので結末として悪役が倒されるが、最後に誰が生き残って誰が死ぬのかも大きなポイントにもなります。
結果として主要人物ではサムが好待遇を受けるも描写不足、他も町を守る動機についてあまり語られないから納得ができない。
依頼する側のヒロインはちゃんと描いているけど、もっと可能性があっただけに物足りない。
悪役についてはどれだけ悪い人間か描くも、こちらも単純化されているせいで今一つ迫力が出ていません。
結果として、本作は恐れていた状況に陥ってしまい、個々の充分な描写がないままクライマックスへ突入してしまった。
本来なら仲間同士でいがみ合って、最終決戦で手を組んで戦う熱い場面はないし、前半の伏線が活きるという事もほとんどありませんでした。
一応、作戦を立てているが、結局はゴリ押しの力業になって、気づいたらサムとハーベストは無傷、バスケスは軽傷、あとは呆気なく死んでしまう。
しかも、命を張って共に戦った仲間なのに、生き残ったサムたちは彼らの遺体を町民に任せてどこかへ行ってしまう。
劇中で言っていた友情とはその程度だったのかと余韻もクソもないまま終わってしまった。
本来なら前後編で描くべき作品であり、2時間だけでは薄っぺらになってしまいます。
更に期待値が高かったせいもあって、それに応えられなかった内容に不満を持ちました。
個人的にはどうせならば、舞台は西部劇ではなく、もっと現代的な時代にして、キャラクターもインパクトのあるモノにするべきだと感じました。
今さら過去の西部劇を同じようにリメイクしても超えられないので、思い切りの良さが必要だったのかもしれません。
それでも、名だたる俳優たちが出ているだけでも一見の価値がある作品でした。