作品紹介
公開年月 | 2016/01/01 |
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ジャンル | アクション/犯罪 |
原作 | なし |
監督 | クリスティアン・アルヴァルト |
脚本 | クリストフ・ダルンスタット |
製作 | クリスティアン・アルヴァルト |
製作国 | ドイツ |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
アスタン団撲滅の為に逃げ真和手いる幹部を追っていたニックとヤルチン。
隠れ家に突入したニックは幹部に捕まるが、そこに居合わせたライラが銃を使って助ける。
宿敵フィラトがバイエルンへ移送される事が決定し、同時にニックは第一線から退くと元妻のイザベラに宣言する。
家族が元の鞘に戻ろうとした時、フィラトは脱走計画の為に娘のレニーと元妻のイザベルを誘拐して人質にしてしまうのだった。
登場人物&出演者
・ニック・チラー(演:ティル・シュヴァイガー)
主人公。宿敵であるアスタン団のボス・フィラトが移送される事で任務が終了を迎える。
ティル・シュヴァイガーは2005年公開の『裸足の女』で主演、監督、脚本、製作、編集も務めています。
任務が一旦ひと区切りがついて、壊れてしまった過程を取り戻そうと宣言する。
その矢先に大事な娘と元妻を人質にとられ、今度はフィラトの言う通りに行動する事になる。
とにかく、本作では今まで見せた事のない感情的な主人公という新たな一面を見せている。
やはり、ニックは犯罪者に対して容赦ないが、家族の事に関しては一人の夫で父親なのです。
・ヤルシン・グメル(演:ファーリ・ヤルディム)
ニックの良き相棒。パソコンによる捜査を得意とする。いつも場を和ませるムードメーカー。
ファーリ・ヤルディムは76作に出演し、2017年には4作にも参加しています。
基本的にシリアスな物語の中で、軽い調子で立ち回って絶妙な軽さを与えてくれる存在。
しかし、物語の決着が近づいた本作では、コミカルな立ち回りが控え目になっている。
その代わり、彼がずっと一線を越えなかった射殺をしてしまい、相当の動揺をしてしまう。
いつもは軽い感じで立ち回っていた彼が、正当防衛とは言え、射殺した事実に悩む姿は新鮮。
・フィラト・アスタン(演:エルダル・イルディズ)
ニックの宿敵。ハンブルグを長年に渡って牛耳るアスタン団のボス。現在は刑務所にいる。
エルダル・イルディズは49作に出演し、近年はテレビドラマシリーズで活躍している。
刑務所にいても仲間に指示をしてニックを懲らしめようとするも何度も失敗する。
ついに州知事によってバイエルンへの移送が決定され、弟と離れ離れになってしまう。
もちろん、自分の力が及ばない場所に黙っていくはずもなく、今回はニックを利用する事に。
さすがにシリーズの宿敵だけあって、そう簡単には死なないし捕まってくれません。
しかも、本作ではかなりの重要人物になっていて、ニックだけじゃなくロシアにも追われる。
・ライラ・ルディエンカ(演:ヘレーネ・フィッシャー)
ウクライナでアスタン団に拉致されドイツの売春宿に連れて来られた過去を持つ。
ヘレーネ・フィッシャーは歌手として活躍し、エコー賞やバンビ賞で数多く受賞しています。
現在は窃盗団のボスであり、自分の人生を台無しにしたフィラトに恨みを晴らそうとする。
友人と一緒に拉致されて売春婦として働くも、タフさと残忍さで生き残る事ができた。
フィラトを脱走させる計画を担うが、その目的は自分の手で殺す事であった。
・イザベラ・シャバロート(演:シュテファニー・スタッペンベック)
ニックの元妻。エアログ社の広報部に勤める。家庭を顧みないニックとは離婚している。
シュテファニー・スタッペンベックは99作に出演し、主にテレビドラマで活躍している。
命を危険がある任務に就くニックに嫌気が差し、彼と離婚するも嫌いになっていない。
フィラトの件が片付く事で第一線から退き、家庭に戻ろうとするニックを受け入れる事に。
その矢先にフィラトの脱走計画の為に誘拐され、最終的にはニックの怒りに火をつける為に犠牲となってしまう。
感想
個人的な評価
ティル・シュヴァイガー主演によるアクション映画の三作目。
一作目から登場するハンブルグを牛耳るアスタン団のボス、フィラトがいよいよニックの前に立ちはだかります。
刑務所から色々と工作をしていたが、結局はニックが力業で強引にねじ伏せました。
本来ならニックは殺したいほどの相手であるフィラトだが、そのまま法律に任せていた。
そして、本作ではフィラトの手が及ばないバイエルンへの移送を決定する。
これによってニックはひと区切りをつくが、その裏には彼を利用した脱走計画が始まる。
宿敵が移送される事で安心していたが、フィラトは黙って移送されるワケがない。
それまで優位を保っていたニックを利用して、脱走計画を実行しようとするのです。
そう、彼の娘と元妻を人質にして刑務所の移送ではなく、脱走計画に加担させるのです。
今回はニックが完全に後手となっていて、フィラトの言う通りに行動してしまう。
いつもは正義を貫くニックだが、彼にとって最大の弱点をつかれた事で信念すら通せない。
フィラトとの対決も落ち着いた本作では、ニックは家族との関係性を強く演出している。
娘と元妻を人質にとられた事で相変わらず一匹狼で行動しようとするが、そこにはお節介を焼く相棒のヤルシンが活躍します。
いつもはコミカルなキャラクターで場を和ませるが、今回はシリアスな立ち回りをします。
更に本作では新たに登場したライラをドイツの人気歌手ヘレーネ・フィッシャーが演じます。
元は金髪のイメージだが、本作では黒髪に染めていて、魅力的な緑の瞳が印象的です。
多くを語らない窃盗団の女ボスとして登場するが、その雰囲気は説得力があった。
最初はドイツ語もできないアスタン団に入ったばかりの女かと思えば、実は大物だったというオチは悪くないです。
本作はなんだかリーアム・ニーソンの『96時間』シリーズに近いような要素だが、それまで培ったシリーズの蓄積で独自性を発揮しています。
ニックは一匹狼であるが、今回ばかりはちゃんと相棒に協力を求めてくれてます。
ただし、最後の方では彼を巻き込みたくないという事で強引に退場させられてしまうが。
本作はいわゆる前後編の前編となっていて、これからというところで終わります。
相変わらず全体的に地味であるが、ニックが拷問から脱出する時のアクションはハリウッド並みのスタイリッシュさでした。
これから家族として再出発しようとした矢先に大事な人を失ったニックは、後編でどのような行動に出るか楽しみである。