作品紹介
公開年月 | 2017/01/13 |
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ジャンル | サスペンス/ドラマ |
原作 | なし |
監督 | エーリク・ショルビャルグ |
脚本 | ビョルン・オラフ・ヨハンセン |
製作 | オーゲ・オーベルゲ、エドワード・A・ドライヤー |
製作国 | ノルウェー |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
1978年のノルウェーの小さな村、兵役を終え帰郷したダグは、消防団長の父アルフレッドの手伝いで消防団に入る。
そんな中、平和な村を襲った数年ぶりの火災により、ダグは父とともに消火活動にあたり、森林に燃え広がる炎を鎮めた。
しかしその数日後、今度は空き家から火の手が上がり、度重なる火災で火を消し止める消防士のダグに誰も知らない秘密があるのだった。
登場人物&出演者
・ダグ(演:トロン・ニルセン)
主人公。兵役を終えて実家に帰っている。就職せず、父親が隊長を務める消防団を手伝う。
トロン・ニルセンは代表作に『孤独の王』、『Sons of Norway』などがあります。
母親から郵便局の仕事を紹介されるが、消火活動で褒められたいので当然身が入らない。
内気な性格のせいで同世代と楽しくできない分、消火活動で褒められるので力が入る。
放火をして消火する事に快感を覚えていき、何かイヤな出来事があると火をつけてしまう。
最後は両親に放火がバレると、保安官から尋問を受け、頭の良さを認められ罪を告白した。
・アルマ(演:リヴ・ベルンホフト・オーサ)
ダグの母親。オラフとヨハンナ老夫妻の家で掃除の仕事をする。定職に就かないダグを心配。
リヴ・ベルンホフト・オーサは代表作に『Hockeyfeber』、『Detektiv Downs』がある。
ダグを心配して郵便局の仕事を紹介し、嫌々ながらも定職に就いて働く事で安心した。
いつも夜な夜な出かけていくダグを心配していたが、彼が独り言を言っていた事で心配する。
放火魔はダグだと疑い始めると、犯人が捕まったと知って胸騒ぎで急いで家に帰っていった。
最後はダグが保安官と署に行くと泣き崩れ、雑貨屋の前で車から降りてどこかへ去った。
・インゲマン(演:ペール・フリッシュ)
ダグの父親。地元消防団の隊長。定職に就かない息子が消防団の手伝いをするだけで満足。
ペール・フリッシュは代表作に『I denne verden er alt mulig』、『En ganske snill mann』などがあります。
ダグの消防に対する仕事ぶりを評価している一方で、体調不良により引退を考えている。
火事現場に駆けつけると、そこにガソリンタンクの蓋を発見し、息子の仕業だと確信する。
何も言えず体調不良を理由に考え込んでいたが、妻の様子から息子に自首を勧めようとする。
最後は結局保安官に連れ出してもらい、変わらない日常を送ろうとするも妻がどこかへ去る。
・保安官(演:ヘンリク・ラファエルソン)
地元の保安官。次々と起きている放火事件を捜査する。当初は何モノの仕業か分からず。
ヘンリク・ラファエルソンは代表作に『ブラインド/視線のエロス』、『Happy,Happy』などがあります。
地元のラジオで放火事件についての詳細を伏せていて、火事がある度に現場へと出向する。
そこで消防団で消火活動していたダグから犯人の事を聞かれるが、地元の人間だと教える。
しばらく火事に振り回される状態になってしまい、同居する父親にも警戒を促していた。
最後はインゲマンの通報でダグを署に連れ出し、彼の頭の良さを認めた事で罪を自供させた。
感想
個人的な評価
本作は『トロント映画祭』で上映され、『アカデミー賞』ではノルウェー代表候補に選ばれた作品となります。
監督は『インソムニア』をハリウッドでリメイクしたエーリク・ショルビャルグが務めます。
タイトルの「パイロマニアック」は放火魔の意味を持ちますが、その場合だと火をつける事に興奮を覚える言葉となります。
しかし、本作の主人公であるダグは火をつける事ではなく、単純に消火活動を褒められて気持ちよくなるタイプである。
従ってタイトルの意味合いは違いますが、大きな意味で捉えれば強引にそうなるだろう。
本作は珍しいノルウェーの映画となりますが、ジャケットのような派手なシーンはほぼない。
あくまで本作はドラマ性を重視した作品となっていて、火の描写は表現する手段に過ぎない。
事件を解決する為に事件を起こす刑事とか、病を治す為に病気を引き起こす医者とか、そのような類の作品だと言える。
主人公であるダグは兵役を終えて帰ってきているが、消防団の手伝いでも優秀で、学校の成績も優秀だったという。
しかし、彼の大きな問題として内気で同世代の若者と釣り合わず、その若さを消火活動にぶつけているだけの状態でした。
ダグの住んでいる村は800人足らず、火事は滅多に起きないので、当然のように消防活動はそこまで多くない。
それでも、ダグは唯一自分を認めてくれる消火活動だけに執着してしまい、ついに自分で火事を起こして自ら消火して褒められる事を繰り返します。
さすがに優秀な頭脳を持っているので、何度放火してもバレる事はなかったが、彼の異変に気づく母親、決定的な証拠を現場で拾う父親にバレてしまう。
特に母親の心痛な思いは非常に伝わっていて、直接言葉で表現しなくても、息子を疑いたくない気持ちが出ていました。
地元消防団の隊長ながら、息子の罪を知った父親が引退を決意するところも痛々しいです。
本作は全体的に地味な作品でしたが、誰にも認められない主人公のやり場のない気持ちが悪い方に出てしまう。
単純に誰かから認められたいだけだが、その方法が放火という最悪のパターンにハマりこんだ彼に助け船がなかったのは悲しい。
最後に彼を認めた保安官に心の底から笑顔を浮かべ、ようやく認められた事で罪を告白するシーンは印象的でした。