作品紹介
公開年月 | 1982/09/11 |
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ジャンル | サスペンス/ドラマ |
原作 | なし |
監督 | 橋本忍 |
脚本 | 橋本忍 |
製作 | 佐藤正之、大山勝美、ほか |
製作国 | 日本 |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
倦怠感に囚われながらもソープの仕事をこなす道子はある日、一匹の野良犬に出会う。
彼女はその犬と一緒にジョギングを始めるが、何者かに犬が殺されてしまう。
復讐を誓った道子は、犯人を追い求めて果てしない旅を始めるのだった。
登場人物&出演者
・尾坂道子/お市(演:南條玲子)
主人公。“湖の城”で働くソープ嬢。愛犬のシロと毎日走るのが日課。貯金額が1800万ある。
南條玲子は代表作に『乱』、『別れぬ理由』などがあります。
ある日、愛犬のシロが浜辺で殺され、警察が頼りにならないと知り、犯人がいる東京へ。
犯人である日夏圭介という作曲家の事務所を訪ね、ローザからの情報で追うもまかれる事に。
復讐を諦め、倉田との結婚を決意して雄琴で最後の仕事をした時に日夏が客として来る。
最後は日夏に復讐を遂げようと毎日走っていたコースで追いつめ、見事に目的を果たした。
・倉田修(演:長谷川初範)
東邦銀行の営業マン。連日のように道子の元を訪れて、彼女となんとか契約しようとする。
長谷川初範は代表作に『南極物語』、『ガメラ/大怪獣空中決戦』などがあります。
ある日、道子が住むマンションを訪ねると、いつも彼女が走っている事から運動靴を贈る。
それによって道子は彼が勤める銀行と契約し、他のソープ嬢たちにも勧めていた。
復讐を諦めた道子に異動する事を伝え、世話になったとして彼女からデートに誘われる。
最後は琵琶湖をめぐる旅を称して二人でデートし、結婚を誓い合う事になった。
・ローザ(演:デビ・カムダ)
雄琴のソープ嬢。源氏名はキリシタンのお美代。アメリカ出身ながら日本語が堪能。
デビ・カムダはファッションモデルとして活躍し、本作が長編映画デビュー作となります。
犬を飼っていた道子とともに一軒家で同居し、仏像に魅せられてアメリカへ帰る事を決意。
「ファントムではなく、イーグルだ。イーグルがすでに実戦配備に付いている」と呟く。
道子が東京へ愛犬を殺した作曲家を探していた時、偶然道端で再会して正体を明かす。
最後は正体がCIAで雄琴に潜入捜査していた判明し、道子に作曲家の情報を教えて帰国した。
・淀君(演:かたせ梨乃)
雄琴のソープ店“湖の城”でNo.1のソープ嬢。犬で大騒ぎしていたお市をバカらしいという。
かたせ梨乃は代表作に『極道の妻たち』、『吉原炎上』などがあります。
最後は雄琴を去っていくお市に犬の写真を手渡し、飼いたくなったら選んでいいと言った。
・矢崎(演:室田日出男)
雄琴のソープランド街で“湖の城”を経営している。強情な道子に度々振り回されている。
室田日出男は代表作に『資金源強奪』、『魔界転生/1981年版』などがあります。
貯金を知り合いの銀行に移すよう話しを持ちかけるが、あっさりと断られてしまう。
愛犬を殺されたお市に話し合いで解決する事を勧めるも結局はまたも拒否される。
最後は日夏の接客を怠るお市の態度を謝るが、琵琶湖の悲劇を口にして復讐が始まる。
・長尾正信(演:隆大介)
琵琶湖沿いでジョギングしていた道子がいつも耳にしていた笛を吹いていた男。
隆大介は代表作に『影武者』、『乱』などがあります。
先祖は織田家に仕えていた地侍だったが、浅井長政の謀反に巻き込まれ祝言がうやむやに。
実は宇宙パルサー研究者で、日本人でありながらアメリカの市民権を得ているという。
代々伝わる笛の伝説を信じていなかったが、宇宙パルサーでの研究で信じるようになる。
最後は宇宙から琵琶湖を見つめ、笛を重ねて置くと、永遠に留まると言って満足した。
・みつ(演:星野智子)
織田信長の妹であるお市の侍女。元々は漁村出身だが、器量と教養があって信頼されている。
星野智子は代表作に『失楽園』、『僕達急行/A列車で行こう』などがあります。
訪れた琵琶湖で地侍の長尾吉康と出会い、結婚を決意し、お市を説得して祝言を待っていた。
浅井長政の謀反で吉康が駆り出され、お市の息子を命がけで守るも信長が串刺しの刑に。
最後は吉康が打ち首になったと勘違いし、信長を侮辱して逆磔の刑で琵琶湖に吊され死亡。
・日夏圭介(演:光田昌弘)
大物の作曲家。イベントで琵琶湖を訪れていた時、鯉を捌いていたのを邪魔された殺す。
光田昌弘は代表作に『西陣心中』、『ヒポクラテスたち』などがあります。
どんな女でも遊び前提で飽きたら捨てるが、その一方でジョギングが趣味で意外にも速い。
事務所はプライベートについて一切取り合わず、道子が訪ねても素っ気なく突き放された。
ローザの情報で住所を突き止めた道子にジョギングで追いかけられるも簡単に撒いた。
最後は“湖の城”で客として訪れ、復讐を果たそうとした道子に追いつめられて刺殺された。
感想
個人的な評価
本作は東宝創立50周年記念作品として製作され、橋本忍が監督と脚本を務めています。
橋本忍監督は黒沢組のシナリオ集団の一人として知られ、松本清張の『砂の器』や新田次郎の『八甲田』を映画化しています。
記念するべき作品であるが、公開してから2週間と5日で打ち切りになってしまっていた。
その後、上映がほとんどされる事もなく2003年にDVD化するまで続くほど東宝にとって大きな痛手となりました。
それに伴い、監督と脚本を務めた橋本忍も本作の失敗によって、その後のキャリアも失速して引退状態となる。
本作はそれほど東宝や橋本忍監督には大きなダメージであったが、後世になってからカルト的な人気を博すようになりました。
同じくクソ映画として認定された『北京原人/Who are you?』と並ぶ邦画史上のカルト映画になってしまいました。
これまでクソ映画を多く鑑賞してきましたが、『北京原人/Who are you?』は知っていたが本作はタイトルすら聞いた事がなかったです。
なので、今回はすぐにレンタルした鑑賞をしましたが、個人的には本作はクソ映画とは思えないほど面白い作品でした。
確かに色々といらない要素が詰めこまれているが、それはそれで本作の持ち味として飽きるところで挿入されているから逆に飽きないのです。
本当のクソ映画というのは苦行でしかなく、感情すら忘れてしまうほど退屈だが、本作の読めない展開は個人的に面白いと感じました。
だからカルト的な人気を博したのだろうと思うし、本作をクソ映画と認めるのはあまりにも失礼だと思うほど面白かったです。
これは本当のクソ映画を鑑賞した事がない人たちが上辺で言っているだけで、本作は笑えるネタも詰めこまれているからバカ映画の一面も持っています。
ただ、本作はちゃんとした製作陣、ちゃんとした役者、ちゃんとした製作会社が作っているだけに、この出来は失敗作と言っても仕方ありません。
アサイラム製作の作品に比べたら面白いし、164分という長尺であっても、予想のつかない展開のおかげでなぜか飽きない。
結論として、本作はクソ映画ではなく、カルト映画であり、バカ映画の要素を内包している面白い作品だと思います。