作品紹介
公開年月 | 2019/04/19 |
---|---|
ジャンル | 歴史劇/アクション |
原作 | 原泰久 『キングダム』 |
監督 | 佐藤信介 |
脚本 | 黒岩勉、佐藤信介、ほか |
製作 | 松橋真三、北島直明、ほか |
製作国 | 日本 |
鑑賞方法 | 動画配信サービス |
あらすじ
紀元前245年、春秋戦国時代の秦で戦災孤児となった少年の信と親友の漂は天下の大将軍を夢見て剣術の鍛錬を積んでいた。
ある日、通りかかった若王の嬴政に瓜二つだった漂だけが王宮に召し上げられ、二人は別々の道を歩む事になる。
しかし、致命傷を負った漂が信の前に姿を現すと、若王をクーデターから助けるように言い渡して落命するのだった。
登場人物&出演者
【嬴政一派】
・信(演:山崎賢人)
主人公。戦災孤児。奴隷として売られて里典に買われる。漂とともに切磋琢磨していく。
山崎賢人は近年の出演作に『劇場』、『ヲタクに恋は難しい』などがあります。
漂が大王の替え玉として昌文君に召し上げられると、一人になっても剣術の鍛錬を積む。
成蟜のクーデターで漂が犠牲になり、天下の大将軍になるべく嬴政を助ける事になる。
山の民を説得する嬴政に変わって粗暴な言葉ながら、分かりやすい説得で同盟を手助けた。
最後は圧倒的な力を持つ左慈に追い詰められるが、漂の言葉を思い出して逆転勝利する。
・嬴政(演:吉沢亮)
秦国31代目の大王。王族の血筋を第一に考える成蟜にクーデターを起こされて身を隠す。
吉沢亮は代表作に『銀魂』シリーズ、『リバーズ・エッジ』などがあります。
信との出会いで王座を取り戻そうとして、道中で河了貂の道案内で昌文君との合流を果たす。
山の民との同盟を結ぶ為に説得を試みるが、その時に「中華統一」の思想を口にしていた。
成蟜を倒す策を用意していて、自らが囮となって別働隊の信たちにすべてを託した。
最後は成蟜を鉄拳制裁して、王騎に「中華統一」の思想を口にして、王座を取り戻した。
・河了貂(演:橋本環奈)
黒卑村に住む山の民の末裔。フクロウのような被り物をして、村の人間に情報を渡していた。
橋本環奈は近年の出演作に『シグナル100』、『午前0時、キスしに来たよ』などがあります。
村にやって来た信が持っている高貴な剣に目をつけ、金目のモノを欲しがる村人に教えた。
信と嬴政の会話を盗み聞きしていて、大金持ちになる事を夢見て彼らに道案内をした。
ムタの襲撃を受けると劣勢の信を心配するが、嬴政の喝で倒すとこっそり吹き矢を盗んだ。
最後は逃げようとした竭氏の左目を潰すが、短刀で刺されるも鎧を着ていたおかげで無傷に。
・壁(演:満島真之介)
嬴政傘下の家臣。昌文君が最も信頼する軍人。クーデターを予想した昌文君に従う。
満島真之介は代表作に『風俗行ったら人生変わったwww』、『無限の住人』などがあります。
クーデターが勃発すると、予め知っていた裏道から無事に王宮を抜け出して約束の地へ。
道中で王騎軍の追撃に遭ってしまうが、漂の檄を受けて希望を見出したと話していた。
山の民に捕まると、彼らの文明は遅れていると話すが、すぐに間違えだと分かってしまう。
最後は左慈に追い詰められた信を助けようとするが、反撃されて負傷するも生還した。
・昌文君(演:高嶋政宏)
嬴政傘下の筆頭家臣。孤立する大王を誰よりも信じていて、クーデターを予測していた。
高嶋政宏は代表作に『BU・SU』、『ゴジラ vs メカゴジラ』などがあります。
道中に嬴政と瓜二つの漂を見つけると、いざという時の替え玉として王宮にスカウトした。
予想通り成蟜がクーデターを起こし、裏道を使って抜け出すも王騎軍に追撃されていた。
約束していた場所で嬴政に合流すると、山の民を味方につけるべく全軍で山界を目指した。
最後は王宮で嬴政や楊端和たちと奮闘して時間稼ぎし、クーデターの失敗で勝利を喜んだ。
・漂(演:吉沢亮)
ヒロイン。信と同じく戦災孤児で下僕として里典に買われ、日々の雑用をしていた。
無知な信と違って生き抜く為の知識を持っていて、下僕の身から立身出世する術を知る。
あとからやって来た信とともに剣術の腕を磨いていき、武人に等しいほどの実力を手にする。
昌文君から嬴政と瓜二つな容姿から替え玉としてスカウトされ、迷う事なく引き受ける。
最後は成蟜のクーデターで嬴政の身代わりになり、信にすべてを託して落命した。
【山の民】
・タジフ(演:一ノ瀬ワタル)
石のハンマーを使う。山界へ侵入してきた信たちを包囲して、バジオウたちと捕らえた。
一ノ瀬ワタルは代表作に『教科書にないッ!』シリーズ、『HiGH&LOW/THE MOVIE』シリーズなどがあります。
突っかかる信と対峙するも何も話さず、楊端和の言葉で協力する事に賛同して踊った。
王宮へ侵入する別働隊として信たちと同行し、襲ってきたランカイに立ち向かう負傷した。
成蟜の命令で動いた左慈にバジオウと立ち向かうも圧倒的な戦闘力の前で気絶した。
最後は王宮を逃げ出した成蟜を追って、信たちと奮闘する嬴政の前に壁を抱えて現れた。
・バジオウ(演:阿部進之介)
双刀を使う。山界へ侵入してきた信たちを包囲して、楊端和に会わせるとして捕らえた。
阿部進之介は代表作に『テケテケ』シリーズ、『デイアンドナイト』などがあります。
楊端和を絶対的な王として忠誠を誓い、その命令に従って嬴政たちと同盟を組む事に賛同。
王宮へ侵入する別働隊として信たちと同行し、襲ってきたランカイに立ち向かう負傷した。
成蟜の命令で動いた左慈にタジフとともに襲うが、圧倒的な戦闘力の差で倒されて気絶した。
最後は逃げようとした竭氏が河了貂を短刀で刺すと、すぐに反応して一刀両断にして殺害。
・楊端和(演:長澤まさみ)
山の民を束ねる王。山の民からは「山界の死王」と呼ばれる。普段はマスクを被っている。
長澤まさみは近年の出演作に『コンフィデンスマンJP/ロマンス編』、『マスカレード・ホテル』などがあります。
400年前に秦国との約束を一方的に裏切られた恨みを持ち、大王である嬴政を殺そうとした。
嬴政の中華統一する壮大な夢と国境を取り払い、平和な時代を築く思想に同調して協力する。
3000の兵士を集めて城へと乗り込み、嬴政とともに別働隊の信たちの突破を待っていた。
最後は嬴政が王騎に改めて口にした「中華統一」の言葉に賛同し、共に歩む事を固く誓う。
【成蟜一派】
・徐完(演:深水元基)
暗殺一族「朱凶」の暗殺者。替え玉である漂に深手を負わせるほどの腕前を持っている。
深水元基は代表作に『クローズZERO』シリーズ、『オー・マイ・ゼット!』などがあります。
地図を持った信の後をつけると、小屋にいた嬴政を見つけて引き受けた暗殺を開始する。
当初は信を圧倒していたが、漂を殺した犯人だと判明すると次第に形勢逆転となる。
高くジャンプした信の攻撃で左の肩口を斬られてしまい、不利な状況に命乞いをしていた。
最後は子供たちが奴隷になると助命を求めるが、手段を選ばない嬴政に粛清された。
・ムタ(演:橋本じゅん)
南越出身のベッサ族の戦士。嬴政を暗殺するべく徐完の後任として信たちを追っていた。
橋本じゅんは代表作に『図書館』シリーズ、『シン・ゴジラ』などがあります。
吹き矢で嬴政たちを襲うが、すぐに信が接近戦を挑まれて愛用する二振りの手斧で迎え撃つ。
小柄ながら素早い動きで信を最初圧倒していき、独特な衣装による攻撃で追い詰めていく。
最後は嬴政の喝で本来の動きを取り戻した信と交差した時に斬られてあっさりと死亡した。
・ランカイ(演:阿見201)
成蟜のペット。常識外れの巨体と怪力を持つ大男。言葉は話す事ができず命令に従うだけ。
阿見201は代表作に『彼岸島』、『映画刀剣乱舞/継承』などがあります。
8万の軍を前にして、低い身分から出世した成蟜の部下を合図によって呆気なく殺した。
裏道を使って王宮に向かう信たちの前に立ちはだかり、圧倒的なパワーで足止めをした。
最後は山の民と協力した信に倒されると、抵抗できないまま首を切られて呆気なく死んだ。
・魏興(演:宇梶剛士)
竭氏傘下の筆頭将軍。王宮で待機する。肆氏の片腕で精鋭の弩級部隊を持っている。
宇梶剛士は近年の出演作に『みとりし』、『マスカレード・ホテル』などがあります。
山の民が同盟を求めて城へやって来ると、念の為という竭氏の言葉で部隊を従えて待機する。
嬴政たちが正体を現して暴れ回ると、弩弓部隊を出して山の民たちに矢を浴びせた。
寡兵の山の民たちが見せる戦闘本能に部隊が翻弄され、クーデターの失敗で呆然とする。
最後は王騎の言葉に従う事を由とせず、嬴政に斬りかかるも信によって一刀両断にされた。
・左慈(演:坂口拓)
竭氏傘下の元将軍。戦場での残虐さから将軍職を追われ、雇われの人斬りになっている。
坂口拓は近年の出演作に『レッド・ブレイド』、『RE:BORN』などがあります。
嬴政を追撃する軍の指揮を執っていて、目撃した村の人間を一振りで三人を虐殺した。
浴びた返り血を舐めるクセを持っていて、誰よりも戦場の厳しさを知っていると自負する。
王宮に侵入した信たちを成蟜の命令で迎え撃つと、バジオウやタジフを翻弄していた。
最後は漂との約束で復活した信のジャンプ攻撃で首元を刺され、そのまま倒れて死亡した。
・肆氏(演:加藤雅也)
竭氏が最も信頼している文官。嬴政を追撃する部隊からの連絡を受けて報告する役目を担う。
加藤雅也は近年の出演作に『影に抱かれて眠れ』、『彼女は夢で踊る』などがあります。
何度も嬴政に逃げられてしまい、イライラが募る成蟜から圧力を受けて窮地に立たされる。
王騎が昌文君の首を持ってくるが、ヒドイ状態を見て判別できないとして進言していた。
山の民が同盟を求めて城へやって来ると、竭氏とともに警戒しながらも迎えようとしていた。
最後は成蟜のクーデターが失敗してしまうと、反抗せずに剣を収めて素直に降伏した。
・竭氏(演:石橋蓮司)
秦国の左丞相。王位を奪った成蟜に味方する。呂不韋を倒すべく各地から兵を集める。
石橋蓮司は近年の出演作に『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』があります。
嬴政を罪人に見立てて刺客を雇うが、悉く失敗して成蟜にドヤされる事を心配していた。
王騎が昌文君を倒したと豪語し、信頼する成蟜に説き伏せられる形で黙るしかなかった。
山の民が同盟を求める際には大きな戦力が期待できるとして、成蟜をなんとか納得させる。
最後は河了貂の吹き矢で左目を負傷し短刀で刺すが、バジオウにあっさりと斬殺された。
・成蟜(演:本郷奏太)
嬴政の異母弟。王族こそが特別な存在だと考えていて、誰よりも血筋にこだわっている。
本郷奏太は近年の出演作に『Diner/ダイナー』、『凛/りん』などがあります。
王位継承が平民の地を引く嬴政に決められた事に腹を立て、竭氏とクーデターを起こす。
嬴政の暗殺に刺客を寄越すも漂のせいで失敗するが、それでも軍を掌握していく。
呂不韋との決戦を見据えて軍を集め、山の民が同盟を求めると竭氏の説得で出迎える事に。
最後は信たちの活躍で追い詰められると、嬴政に倒れて何度も顔を殴られて気絶した。
【その他】
・里典(演:六平直政)
信と漂が暮らす村の長。戦災孤児である漂を先に買い取り、次に信を買い取って奴隷にする。
六平直政は近年の出演作に『ソローキンの見た桜』、『のみとり侍』などがあります。
仕事がよくできる漂に新入りである信に教育をさせるが、失敗すると棒で優しく叩いていた。
立ち寄った昌文君に漂がスカウトされると、すぐに受けるべきだと必死に説得をしていた。
最後は漂が瀕死状態になっているのを見て驚き、立ち去った信を何も言わず見送った。
・騰(演:要潤)
王騎軍の副官。常に王騎の後ろに控えている最古参の武人。王騎が最も信頼している人物。
要潤は代表作に『ピューと吹く!ジャガー/THE MOVIE』、『劇場版タイムスクープハンター』などがあります。
昌文君の首を求める成蟜たちに王騎の命令を受けて、取っておいた首を差し出し見せた。
最後は王騎に促されてクーデターの失敗を宣言し、魏興軍に投降するよう言い放った。
・王騎(演:大沢たかお)
秦国六大将軍の一人。異名を「秦の怪鳥」と呼ばれ、圧倒的な戦闘力は他国まで轟かす。
大沢たかおは代表作に『解夏』、『地下鉄(メトロ)に乗って』などがあります。
長らく戦場から離れていたが、成蟜のクーデターをきっかけになぜか割り込んできた。
王宮から逃亡した昌文君たちを追い詰めていき、成蟜たちの前に討ち取った首を献上した。
実は裏で成蟜のクーデターが知られないように工作して、嬴政という人物を見極めていた。
最後はクーデターが失敗し、嬴政が宣言する「中華統一」に感銘して熱い時代を予見した。
感想
個人的な評価
本作は原泰久の同名漫画を基に作られた実写映画となっています。
元々は連載10周年を記念した動画から計画が進められ、原作者である原泰久も脚本としても参加しています。
原作である『キングダム』は男女ともに高い人気を誇る漫画であり、当然のように実写映画化を望む声も少なくなかった。
そこで山崎賢人を主人公の信にした記念動画が公開され、現実味を帯びた実写映画化に多くのファンが期待をしました。
個人的には邦画の範囲で考えると、壮大なストーリーを持つ原作にどこまで再現できるのか気になっていました。
近年の邦画は確かに漫画や小説などを原作にした作品は多いけど、それは資金提供者が金儲けのツールとしてしか考えていないからです。
その為、ほとんどの原作持ち実写映画は雑に作られ、邦画最大の欠点である芸能事務所のパワーバランスの場になってしまっている。
結果的に成功している原作持ちの実写映画はほとんど評価が低く、原作ファンからも顰蹙を買うような状況は決して珍しくない。
そんな中で本作は原作者である原泰久を脚本に参加させている時点で、ビジネスに走りがちな実写映画とは少し違った様相を見せていました。
ハッキリ言って、本作は邦画での実写映画として原作をきちんとリスペクトしているし、しっかりと登場人物を再現しようという努力や熱意が伝わります。
あくまで漫画のキャラクターなので現実離れしているところがあるけど、そこを踏まえても原作ファンが満足するだけの役作りをしていると感じました。
特に原作の中でも屈指の人気を誇る「王騎」を演じた大沢たかおは相当なプレッシャーがあったと思うが、想像以上に「王騎」に成りきっていました。
更に山の民を束ねる女王の「楊端和」を演じた長澤まさみも、誰もが納得できる上に色気まで再現していて文句のつけようがない。
もちろん、主人公の信を演じる山崎賢人や後の始皇帝となる嬴政を演じた吉沢亮もまた原作を意識した役作りをしている。
ただ、既存のキャラクターでも実写映画で多少のアレンジされているが、中でも左慈を演じた坂口拓は異彩を放っていました。
確かに左慈は原作でも信を追い詰める強キャラだったが、本作では坂口拓の演技が加わってより魅力的なキャラクターになっています。
逆に登場人物が多すぎるせいで楊端和以外の山の民、ランカイなどの扱いが雑になっているのは仕方ないかもしれません。
やはり、現代劇よりも歴史劇の方が実写映画化がしやすく、舞台みたいな大袈裟な演技も逆にこういうタイプの作品では映えると分かります。
久々に邦画の本気を垣間見た作品であり、こっち方面でやっていけば世界とも渡り合えるぐらいの可能性を秘めていると感じさせてくれました。