ドクムシ VD-317

作品紹介

公開年月  2015/04/09
ジャンル  サスペンス
原作  八頭道尾(原作)、合田蛍冬(作画) 『ドクムシ』
監督  朝倉加葉子
脚本  黒木久勝
製作  大野貴裕、川島正規、ほか
製作国  日本
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

大学生のレイジが目を覚ますと、そこは学校の教室で他に男女7人が居合わせていた。
いつ、どうやってやって来たのか誰も分からず、手がかりを探しているうちに『蠱毒』というデスゲームの存在が告げられる。
それは『毒虫』を生み出す古来の呪術を人間で再現しようとする儀式で、7人に7日間に渡って殺し合いをさせようとするのだった。

登場人物&出演者

レイジ(演:村井良大)
主人公。大学生。最後に目を覚まして扉を開けるとトシオに首謀者だと脅迫されてしまう。
村井良大は代表作に『Hunger Z』、『真田十勇士』などがあります。
状況が分からないままユキトシやタイチの推測を聞いていて、巻き込まれた現状を考える。
立ち位置は「怠惰」でずっと何もせず、一人ずつが死んでいく現場にたまたま居合わせる。
アカネの裏切り、ミチカの正体、ユキトシの挑発を経て自分の中にある毒虫を覚醒させた。
最後は一人だけ生き残ると、真実を聞いても信じられず、精神崩壊を迎える事になる。

アカネ(演:武田梨奈)
キャバ嬢。かったるい態度で話し合いに応じて、タイチの決めつけに反論して行動をする。
武田梨奈は代表作に『ハイキック・ガール!』、『進撃の巨人』シリーズなどがあります。
誘拐されたと決めつけるタイチを否定し、不安をかき立てる彼に罵詈雑言を浴びせていた。
立ち位置は「色欲」で女の武器を使って男を自分の味方にして、レイジを骨抜きにしていた。
ユキトシも誘惑するもレイジにバレてしまい、残り時間が少なくなって致命傷を負った。
最後はユキトシを殺したレイジを背後から襲ったが、覚醒した彼に喉を切られて死亡した。

ユキトシ(演:秋山真太郎)
自称・新聞記者。捕まった男女の中で最年長。あくまで冷静に話しを進めようとしている。
秋山真太郎は代表作に『ROAD TO HiGH&LOW』シリーズ、『僕に、会いたかった』がある。
監禁されている状況から「蠱毒」というデスゲームだと考え、脱出するのは一人だと宣言。
立ち位置は「傲慢」で極限状態を誰よりも楽しんでいたが、その裏で殺しの仕掛けをする。
その正体はネットで殺害予告を繰り返し、全国指名手配される殺人犯だと後に判明する。
最後はアカネに致命傷を負わせレイジを挑発して争い、彼に包丁を奪われて笑いながら死亡。

ミチカ(演:野口真緒)
少女。みんなが話しをしている中で自己紹介だけをして、後は存在感をずっと消していた。
野口真緒は代表作に『鳶がクルリと』、『維新烈風/天狗判官』などがあります。
みんなが疑心暗鬼になっている状況でも、ずっと存在を消してフラフラと過ごしていた。
立ち位置は「強欲」でレイジがアカネの正体に気付いて落胆していると彼の傍に寄り添った。
その正体はホルモン異常で少女の姿から成長できない年増で、レイジに恋心を抱いた。
最後はレイジから落胆の目で見られると、絶望して自分で喉を切り裂いて自殺を遂げた。

タイチ(演:駒木根隆介)
ヲタク。肥満体でロリコン。実家が金持ち。学校にいる理由に誘拐だと決めつけていた。
駒木根隆介は代表作に『SRサイタマノラッパー』、『ヒメアノール』などがあります。
なんとか置かれている状況を推測していくが、説得力のあるユキトシの主張に負けてしまう。
立ち位置として「暴食」であり、絶食状態で空腹となって食欲が暴走を始める事になる。
死んだトシオやユミの体を切り刻んで鍋に入れるが、新鮮な肉の方がいいとアカネを襲う。
最後はアカネの色仕掛けで止まると、その隙に腹を切られ、肉切り包丁で叩き殺された。

ユミ(演:水上京香)
女子大生。タイチの決めつけに意見するも強く言われ引っ込む。アカネの言葉に同調する。
水上京香は代表作に『不能犯』、『恐怖人形』などがあります。
レズビアンで先輩と肉体関係を持っていたが、飽きられて捨てられてしまいトラウマとなる。
立ち位置として「嫉妬」であり、捨てた先輩を階段から突き落として殺している過去を持つ。
トシオにレイプされるも逆上して彼を殺し、アカネをレイジに取られると思い殺そうとする。
最後は極限状態で屋上へ向かう階段で幻覚を見て、背後からミチカに押されて落下死した。

トシオ(演:宇治清高)
不良。最後に目を覚ましたレイジを首謀者だと思い込んで脅迫するも違うと気付いた。
宇治清高は代表作に『ちゃんと伝える』、『悪の教典』などがあります。
立ち位置として「憤怒」となっていて、分かりやすい怒鳴り散らして他者を脅していました。
学校から出られない状況にイライラしていて、殺すポイントでは一番近くて遠い存在になる。
空腹のおかげで食欲をごまかす為に性欲を爆発させ、なぜかユミをレイプする事になる。
最後はアカネやレイジに迫られるも力でねじ伏せるが、ユミに首を絞められて呆気なく死亡。

感想

個人的な評価

本作は八頭道尾の小説が原作で、合田蛍冬が漫画化している作品を基に作られています。
この作品はいわゆるワンシチュエーションスリラーで、日本では『人狼ゲーム』や『ライアーゲーム』と同じような作品です。
こういうタイプの作品は低予算で実現できて、似たような映画があるのは非常に作りやすいからだろうと思います。
あとは邦画で重要視される事務所のパワーバランスで、それぞれが出したい若手のアイドルやタレント、役者たちを自由に出演させられます。
本作では記号的な登場人物が役割通りに動いていて、それ以上の行動をしないので予想をしたら範疇に収まるレベルです。
違った立場や職業の登場人物を出しても、あくまでそのイメージだけでしか動かず、全員の演技もそれに収まっているから面白くないです。
原作の方はもっと内容は詰まっているだろうが、本作についてはなんだか骨組みだけしか残っていないような感じがします。
何より登場人物たちの心理描写がほとんどないので、7人いるのに誰一人感情移入できない点でも本作は楽しめません。
結局、主人公が最後に残る王道のパターンであるけど、ほとんど何もしていないでシード戦の一度だけ勝って最終的に一人だけ生き残る浅い構成でした。
途中から本作にはキリスト教の「七つの大罪」をそれぞれのキャラクターに当てているが、そこまで意味は感じられなかったです。
ただ、その設定に沿った行動をしているだけで深みやストーリーに活かせず、邦画らしい退屈な着地地点となりました。
ラストで明かされるオチにはかなりムリがあって、主人公の感情を爆発させる不自然な演技で終わるのは本作らしい結末でした。