作品紹介
公開年月 | 2001/06/16 |
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ジャンル | ホラー |
原作 | 伊藤潤二 『案山子』、『墓標の町』(モチーフ) |
監督 | 鶴田法男 |
脚本 | 鶴田法男、村上修、ほか |
製作 | 尾西要一郎 |
製作国 | 日本 |
鑑賞方法 | 動画配信サービス |
あらすじ
行方不明となった兄・剛のアパートを調べていた吉川かおるは、高校時代の同級生・宮守泉が兄宛のラブレターを見つける。
かおるは泉の実家がある山間の村に向かうが、彼女の両親から入院中だと言われて会わせようとしなかった。
仕方なくかおるはその日、宮守家に泊めてもらうが、次第に彼女は村に隠された秘密を知るのだった。
登場人物&出演者
・吉川かおる(演:野波麻帆)
主人公。行方不明となった兄の剛を探している。両親はおらず唯一の肉親として心配する。
野波麻帆は代表作に『モスラ2/海底の大決戦』、『クライマーズ・ハイ』などがあります。
兄のアパートで泉の手紙を見つけると、記された村に単独で向かうも途中で車が故障する。
宮守家に泊めてもらう間、村で行われる案山子の祭りといない泉との関係を知って兄を探す。
耕造に診療所まで連れられ兄を見つけ、サリーも誘って逃げようとするも復活した泉と遭遇。
最後は泉と兄が焼身自殺し、村を出る一歩で復活した兄に呼び止められて自ら残ると決めた。
・サリー・チェン(演:グレース・イップ)
中国から来ている。かおるが訪れた村の入り口でゆくえふめさとして張り紙がされていた。
グレース・イップは代表作に『ジェネックス・コップ』、『レジェンド・オブ・ヒーロー/中華英雄』などがあります。
村の役場で様々な本の整理をしていて、奥には祖父がいて一生懸命何かを書いてような感じ。
かおるに話しかけても強い口調で突き放し、祖父に近づくと物凄い形相で彼女を追い出す。
再び訪れたかおるに祖父が案山子だとバレると、他の案山子に襲われる彼女を助け出した。
最後は説得されて村を出るが、かおるが兄の呼びかけに応じて何もできず一人だけ脱出した。
・吉川剛(演:松岡俊介)
かおるの兄で唯一の肉親。長期に渡って連絡がつかず、妹や友人からの留守番電話が溜まる。
松岡俊介は代表作に『白痴』、『突入せよ!あさま山荘事件』などがあります。
泉からのラブレターを受けて村にやって来るが、なぜか抜け殻のような状態になっていた。
耕造の診療所に匿われていたが、かおるが一緒に帰ろうと言っても上の空で拒否していた。
かおるのビンタで目を覚まし、耕造の車で逃げようとするも案山子がある場所にたどり着く。
最後は泉を発煙筒で一緒に燃えて死ぬが、復活して村を出ようとしたかおるを呼び戻した。
・宮守幸恵(演:りりィ)
泉の母親。感情が欠落した無表情で、訪ねてきたかおるの問いにはほとんど反応しなかった。
りりィは代表作に『夏の妹』、『リップヴァンウィンクルの花嫁』などがあります。
なぜか衣服に案山子を作る際に必要な藁が付着しており、特に何も言わずかおるを拒んだ。
自殺した泉を復活させる村の風習を使おうと案山子を作り、娘が帰ってくる事を信じていた。
案山子たちが復活する場に一人だけ残り、泉の髪を模したカツラの毛を梳いて待っていた。
最後は復活した泉との再会に抱擁するが、邪悪な存在となった娘に首を折られて殺された。
・宮守耕造(演:河原崎建三)
泉のの父親。会社員。無表情な妻と違い、ちゃんと会話するが真意を言わない曖昧な対応。
河原崎建三は代表作に『希望の国』、『あばよダチ公』などがあります。
泉を訪ねてきたかおるに娘を合わせないと話すが泊まるところがない彼女を家に泊めてある。
かおるを駐在所まで連れて行くと、村からいち早く出るべきだと遠い目をしながら警告そた。
村から出られないかおるを助けると、診療所に匿っていた剛と合わせて自分の車を譲った。
最後は泉の悪影響を受けた村の風習を嘆くと、案山子として復活した女の子に殺された。
・宮守泉(演:柴咲コウ)
かおるの兄・剛にラブレターを送った高校時代の同級生。都会から田舎の村に引っ越した。
柴咲コウは近年の出演作に『燃えよ剣』、『ねことじいちゃん』などがあります。
かおるの兄を紹介されて以来、そのイケメンぶりに惚れると、日記に気持ちを書いていた。
かおるの異常な兄への愛情と執着で恋を邪魔され、恨みを持ったまま自殺を遂げていた。
案山子により復活するが、邪悪な怨念を宿しているせいで他の案山子にも悪影響を与える。
最後は剛と再会を果たすが、彼が使った発煙筒で燃やされてかおるを睨んだまま消え去った。
感想
個人的な評価
本作は伊藤潤二のて短編漫画『案山子』と『墓標の町』からインスパイアされた作品。
監督と共同脚本を務める鶴田法男はジョン・カーペンターの作品に対するオマージュが散りばめられています。
映画に出てくるアメリカの田舎町と言ったら、余所者に対して厳しい態度を取って敵意まで持つというイメージがある。
日本の田舎にある村も似たようなモノで、部外者に対して冷めた態度を持ち、独特の風習があって他者を寄せ付けないイメージがある。
ただ、アメリカだと殺人鬼がいる感じだか、日本だとどっちかと言えば幽霊や妖怪の類という違いがあると思います。
そんな本作はホラー映画というよりは、村の不気味な風習を調べる主人公を襲うサスペンス寄りな印象を持ちました。
その為、確立しているジャパニーズ・ホラーとは少しテイストが違って序盤は全体的に静かな展開で退屈な感じでした。
そんな不気味な雰囲気をいつまでも引きずっていて、ようやくタイトルの案山子が出てくるのが50分辺りでした。
もったいぶったワリにいざ案山子が出てくると、安っぽい演出はコメディでも観ているのかと錯覚するぐらい滑稽でした。
案山子に死者の魂を宿らせて蘇らせるのはいいですが、問題として祭りの前に死んだヤツが普通に出てくるところです。
まだ案山子に乗り移る前なので、なぜ出てきたのか説明はなく、時間軸もいじっていないから単純に意味不明な描写となっていた。
とにかく、説明不足すぎるのですが、敢えて省いて不気味さを演出しているだろうが逆効果な気がしました。
最低限の説明や状況に納得できる説明すら省いたら観ている側も物語に意味を見出せずただ退屈に感じてしまうだけ。
ラストでは本末転倒な結果を迎えるが、そうなってしまうほどの説得力がなく、なんだかムダな時間に付き合わされた印象でした。