作品紹介
公開年月 | 2017/08/18 |
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ジャンル | ラブロマンス/青春 |
原作 | 岩井俊二 『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』 |
監督 | 武内宣之 |
脚本 | 大根仁 |
製作 | 市川南、大田圭二、ほか |
製作国 | 日本 |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
とある海辺の町、夏休みの登校日、中学一年の男子たちは夜に開催される花火大会をめぐって打ち上げ花火の見方で盛り上がっていた。
一方、クラスのマドンナ的存在のなずなは、母親の再婚が決まって転校する事になり思い詰めていた。
そんななずなから突然の駆け落ちに誘われた典道は、戸惑いつつも一緒に町から逃げ出そうとするのだった。
登場人物&出演者
・島田典道(声:菅田将暉)
主人公。中学一年生で実家は釣具屋。祐介とは親友でいつも一緒に連んで悪ふざけをする。
菅田将暉は本作が長編アニメデビュー作となります。
小学生の頃から及川なずなに片想いをして、祐介に勘づかれているが頑なに拒否していた。
プール掃除で祐介との競走に負けるが、なずなの引っ越す事に抵抗する姿に後悔した。
何度もガラス玉で運命を変えてなずなを助けるが、それは別の世界だと気付いてしまう。
最後はガラス玉が花火と一緒に砕けてしまい、元の世界に戻る前になずなと約束を交わす。
・及川なずな(声:広瀬すず)
ヒロイン。典道のクラスメイトでマドンナ的な存在。母親の再婚で環境が変わろうとする。
広瀬すずは代表作に『バケモノの子』などがあります。
海で物思いに更けていた時、不思議なガラス玉を拾うと、それに強い念を込めていた。
以前から典道に好意を持っていて、彼がクロールで勝って一緒に駆け落ちしようと決意する。
何度も典道が運命を変えて一緒に駆け落ちして、別世界だと分かっても楽しんでいた。
最後はガラス玉が花火と砕けてしまうが、典道との別れ際にまた別の世界で会う約束をする。
・安曇祐介(声:宮野真守)
典道のクラスメイトで親友。実家はクリニック。典道とはいつも連んで悪ふざけをする。
宮野真守は代表作に『GODZILLA』シリーズ、『二ノ国』などがあります。
プール掃除で典道と勝負して一度勝つが、ガラス玉によって時間を巻き戻される事に。
典道が抜け駆けでなずなと一緒にいた事に怒りを持ち、夏休みが終わると告白すると宣言。
打ち上がった花火の形を巡って仲間と一緒に大会に行くが、典道となずなを発見する。
最後はガラス玉が花火と砕ける光景を見るが、典道が出席していない事に疑問を持たず。
・なずなの母親(声:松たか子)
なずなの母親でシングルマザー。再婚相手を見つけて別の街に引っ越しを決めていた。
松たか子は代表作に『ブレイブストーリー』、『アナと雪の女王』などがあります。
今回で三度目の結婚となり、なずなが呆れていて、新しい男にも挨拶もしない態度に。
なずなが家出をしようとして何度も追いかけて捕まえ、強制的に引き戻すダメ親。
最後はガラス玉が花火とともに砕けて、なずなが家に帰って引っ越しをしているだろう。
感想
個人的な評価
本作は岩井俊二監督により1993年に公開されたテレビドラマを原作にしています。
1995年には岩井俊二が監督と脚本として映画版も手がけています。
この作品はとにかく、映像が幻想的で特に「青」を際立たせるような映像が印象的です。
まさに青春という言葉が似合う雰囲気であるが、実際はファンタジーのような展開である。
ガラス玉に願いを込めて投げると、失敗した場面まで時間が巻き戻される道具が本作のキーアイテムとなる。
しかし、そのキーアイテムはまったく説明がないし、制限もないので「なんでもアリ」の無敵状態になってしまう。
これではどんなに失敗しても取り返せるので、物語にある緊張感が完全に失われてしまう。
更に致命的なのは登場人物たちの関係で、あまりにも希薄すぎる相関関係が物語の薄っぺらさを露呈させている。
本来ならば、昔からの運命を交えるべきであるが、なぜか一日だけの出来事を繰り返しているだけで深みがまったくない。
そうなってくると、キャラクターにあるべき魅力が表現されず、薄っぺらな人間ドラマに誰が共感や感動ができるだろうか。
そして、致命的に主人公の位置にいる典道の声を演じている菅田将暉の違和感だろう。
中学一年生の役なのに声が低くて合っておらず、最初から最後まで違和感しかなかった。
まだヒロイン役の広瀬すずの方がマシであるけど、これは菅田将暉がヒドイから相対的に良く感じだけだろう。
本作はもっと過去の出来事を絡むべきだったが、それをしなかった時点で失敗するのは目に見えています。
公開当時から酷評を受けているが、これを映画館で金を払って鑑賞するのは大損に感じても仕方ありません。
旧作で100円でも高く感じるし、90分間を本作に費やす事を考えると、別の作品を選んだ方が有意義に感じてしまうほど微妙な内容でした。