作品紹介
公開年月 | 2014/04/09 |
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ジャンル | ファンタジー/コメディ |
原作 | ゲイル・カーソン・レヴィン 『さよなら、「いい子」の魔法』 |
監督 | トミー・オヘイヴァー |
脚本 | ローリー・クレイグ、カレン・マックラー・ラッツ、ほか |
製作 | シェーン・スターツ |
製作国 | アイルランド、イギリス、アメリカ |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
生まれたら妖精から贈り物を受け取る世界で、新たに誕生した魔法の国の姫であったエラも妖精から贈り物を授ける。
しかし、エラが受け取った贈り物は『服従』で、命令されると自分の意志とは関係なく言われた通りの事をしてしまう厄介な能力。
その数年後、大人になったエラは父が再婚し、継母とその姉妹を連れて一緒に暮らす事に。
だが、秘密がバレて意地悪い姉妹のやりたい放題となり、現状を打破する為にエラは仲間の妖精とともに呪いを解く旅に出るのだった。
登場人物&出演者
・エラ(演:アン・ハサウェイ)
主人公。生まれた時に妖精のルシンダによって無条件に「服従」する能力を手に入れる。
アン・ハサウェイは近年の出演作に『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』、『マイ・インターン』などがあります。
どう考えても耐えられないような生き地獄だが、なぜか素直で真っ直ぐな女性に育つ。
当初から王国に悪政を敷くエドガーや和解女性に人気のチャーモント王子を否定していた。
なぜかタイミング良く現れたチャーモント王子とルシンダを探す旅で心が通じ合う事に。
基本的にあまり頭が良くないので、主人公補正をフル活用して強引に問題を解決する。
・チャーモント王子(演:ヒュー・ダンシー)
正統な王位継承者。政治はすべて叔父のエドガーに任せているだけで気楽に暮らす無能。
ヒュー・ダンシーは代表作に『ブラックホーク・ダウン』、『キング・アーサー』などがあります。
典型的な見た目だけで中身がないけど、王子としての特権を当然のように使います。
悪党であるエドガーとはまったく似ておらず、正義漢だが世間知らずのお坊ちゃま育ち。
エラとの旅を通じて世間の状況を知り、叔父の悪政から王国を救う英雄になる。
・スラネン(演:エイダン・マクアードル)
妖精。人間に虐められているところをエラに助け出される。将来は弁護士を目指している。
エイダン・マクアードルは代表作に『最高の人生をあなたと』などがあります。
妖精でありながら歌や踊りを否定し、お堅い弁護士になりたいという説得力のない設定。
弁護士になるような素質を一切見せていないが、エラの計画に賛同する使いっ走り。
・ハティ(演:ルーシー・パンチ)
エラの義姉妹。チャーモント王子に心酔している。何かとエラを見下しているクズ。
ルーシー・パンチは代表作に『グラインドハウス』、『イントゥ・ザ・ウッズ』があります。
何かにつけてエラをいじめていて、彼女が持つ「服従」の能力に気づいて悪用するクズ。
チャーモント王子に妙な思想を吹き込むエラの秘密をエドガーに教える。
エドガーによって王子との結婚も約束されたが、お前じゃ釣り合わないのが見え見え。
・オリーヴ(演:ジェニファー・ハイアム)
エラの義姉妹。ハティと同じくチャーモント王子に心酔している。かなりの天然バカ。
ジェニファー・ハイアムは代表作に『ウディ・アレンの夢と犯罪』などがあります。
エラの能力を知って、ハティのついでに悪用するが、基本的にバカなので一人では無害。
・エドガー(演:ケイリー・エルウィス)
王国に悪政を敷く悪党。チャーモント王子の叔父。権力を欲する典型的な悪党。
ケイリー・エルウィスは代表作に『ホット・ショット』、『ソウ』などがあります。
人間と平和に暮らしていた妖精や巨人から土地を奪い、権力をフル活用する最大の悪党。
更に正統な王位継承者であるチャーモント王子を殺すようにエラを差し向ける。
もちろん、なんの工夫もない最期を迎える悪役としての役割を果たした。
・ルシンダ(演:ヴィヴィカ・A・フォックス)
妖精。生まれて間もなかったエラに「服従」の能力という贈り物を与える最大の悪。
ヴィヴィカ・A・フォックスは近年の出演作に『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』、『シャークネード/カテゴリー2』などがありまう。
言う事を聞かないという短絡的な考えで、一人の人間の人生に多大な悪影響を与える贈り物を気楽に与える最悪の元凶。
すぐにエラの母親や一緒にいた妖精のマンディに変更をお願いされるも即座に却下する。
悪気のない悪というのが最も危険だと示すキャラクターで不快の塊でしかなかった。
感想
個人的な評価
ゲイル・カーソン・レヴィンの童話を基に実写映画化されています。
ただ、そのベースになっているのは『眠れる森の美女』、『シンデレラ』、『白雪姫』の有名な童話となっています。
その証拠に劇中では重要ではないが、各童話の設定や小道具が登場します。
まず主人公が妖精に魔法をかけられるのは『眠れる森の美女』で、ガラスの靴、カボチャに意地悪な義姉妹は『シンデレラ』、悪政を敷く王を倒して結婚相手を見つける王子は『白雪姫』といいところ取りの作品となっています。
本作ではまだアイドル的なイメージが強かったアン・ハサウェイの宣伝映画とも言える。
とにかく、アン・ハサウェイは悲劇のヒロインだが、健気で素直というキレイなイメージをずっと魅せてくれている。
つまり、本作はアン・ハサウェイをどれだけ魅力的に演出するのか、それを重視している。
そのせいで物語は非常に緩い構成になっているワリに、主人公が誰の命令でも絶対に「服従」する世にも恐ろしい能力を持っている。
明らかに世界観と合っていない恐ろしい能力を軽く描いているけど、このバランスが非常に悪くて納得のできる出来じゃない。
いくら秘密だからって、十年単位でようやく意地悪な義姉妹が気づくのは都合が良すぎる。
そこにアイドルみたいな人気を持っている王子が都合良く主人公と出会うパターン。
本作がファンタジー映画という事で強引すぎる展開にしているが、その演出はあまりにも稚拙すぎて到底納得できなかった。
悪役は王道中の王道である王子の親族だが、本作はそれ以上の巨悪である服従の魔法を授けた妖精に一切の罰が与えられていない。
むしろ、状況を悪化させるだけで、本人は悪気がないのは更に恐ろしいと言えるだろう。
兄や甥を殺そうとしたエドガーという男よりも、悪気のない悪をまき散らす妖精の方が極悪に感じてしまい、そのキャラクターも不快でしかなかった。
アン・ハサウェイ好きだけなら楽しめるが、あまり好きじゃない自分にとっては苦痛でした。
ファンタジーというフィルターでごまかそうとした不快な作品だと感じました。