傷だらけの男たち RE-2336

作品紹介

公開年月  2006/12/21
ジャンル  サスペンス/犯罪
原作  なし
監督  アンドリュー・ラウ、アラン・マック
脚本  フェリックス・チョン、アラン・マック
製作  アンドリュー・ラウ、チョン・ホンタッ
製作国  香港
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

2003年のクリスマス、刑事ボンと親友である上司のヘイは、かねてから追跡していた連続殺人犯を見つけ逮捕する。
だがその夜、ボンが帰宅すると、身ごもっていた恋人が息絶えていた。
3年後、ボンは私立探偵に転職するも未だに恋人の死から立ち直れず酒に溺れる日々を送る。
一方、ヘイは香港の億万長者チャウの一人娘スクツァンと幸せな新婚生活を送っていた。
そんなある日、チャウと執事が何者かに惨殺されるが、犯人はすぐに死体として発見される。
事件は強盗殺人として解決するようにみえたが、不可解な点が多く、スクツァンはボンに調査を依頼し、思わぬ人物が捜査線上に浮かぶのだった。

登場人物&出演者

ヘイ/ラウ・チンヘイ(演:トニー・レオン)
主人公。特捜班の警部。荒れた生活のポンとは正反対の逆玉の輿に乗って悠々自適な生活。
トニー・レオンは近年の出演作に『グランド・マスター』、『サイレント・ウォー』などがあります。
一見して真面目な刑事に見えるが、連続殺人犯を逮捕した現場では問答無用に痛めつける。
実は本作の黒幕であり、過去に惨殺された家族の復讐を遂げる為に行動していた。
別人になりすましているが、それはすべてを失った男が生きる唯一の選択だと分かる。
特にクライマックスで動機を吐露する演技は、トニー・レオンの上手さが光る。

ポン/ヤウ・キンポン(演:金城武)
主人公。元刑事で現在は私立探偵。酒浸りであるが、ビールだけは苦手だという。
金城武は近年の出演作に『太平輪』シリーズ、『捜査官X』などがあります。
自殺と断定した恋人が死んでから、その原因を三年間ずっと探し求めている。
スクツァンに依頼されて事件を捜査しているうちに上司のヘイにたどり着いてしまう。
複雑な心境を抱え、真犯人が友人だと思っていた男に戸惑いを隠せないのが印象的。
酒を浴びるほど飲んで真実をヘイに話す時の演技は悲しみが伝わってきます。

フォン(演:スー・チー)
ヒロイン。ビール会社の売り子。ポンとは体の関係であるが、本当の恋人になりたい。
スー・チーは近年の出演作に『黒衣の刺客』、『西遊記/はじまりのはじまり』があります。
傷を抱えているポンが唯一心を許した女性であり、彼を慰めてくれる大切な存在。

スクツァン(演:シュー・ジンレイ)
ヒロイン。億万長者チャンの一人娘。ヘイには心底惚れ込んでいる。
シュー・ジンレイは代表作に『ウォーロード/男たちの誓い』、『新宿インシデント』などがあります。
父親とは仲が良くない。その為、殺されても悲しむ事はなかったが、事件の不可解さに納得ができないでいた。

感想

個人的な評価

本作の共同監督、アンドリュー・ラウとアラン・マックは何度か組んでいます。
その代表作と言えば、ハリウッドでもリメイクされた『インファナル・アフェア』でしょう。
ハリウッドではレオナルド・ディカプリオ、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォールバーグが共演したアカデミー受賞作。
個人的には『インファナル・アフェア』はそこまで面白いとは感じず、『ディパーテッド』に至ってはまったく合わなかったです。
なので、今回の作品についてはあまり期待していなかったのは本音だと言えます。
しかしながら、本作では主演となるトニー・レオン、金城武の演技が非常に良かったです。
トニー・レオンの演じるヘイは最初からネタバレで黒幕となるけど、そうなる原因を金城武の演じるポンが追っていきます。
ヘイがなぜそのような行動に出たのか、ちゃんとした理由があって納得ができます。
その際に魅せるトニー・レオンの演技が素晴らしく、複雑な感情を上手く引き出している。
それに対する金城武のポンも、過去の傷から立ち直りながらも、新たな傷を負っていく過程が描かれます。
だが、ポンは大切な友人を亡くしていくが、同時に彼の過去にあった傷を癒すヒロインの登場で救われるのです。
ポンを救うヒロインとなるフォンを演じるスー・チーは相変わらずチャーミングです。
悲劇のヒロインとなるヘイの妻、スクツァンを演じるシュー・ジンレイは本当にとっばちりと言えるような人物でした。
一番救われなかっただけに、意識があった最期のシーンは誰よりも孤独な印象でした。
本作では特に印象的なのは重苦しい雰囲気を表現する音楽の使い方が非常に良い。
ただ、どうしても物語は内輪だけで完結していて、すでに犯人が分かっているので、少しワクワク感が足りなかったです。