作品紹介
公開年月 | 2017/06/10 |
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ジャンル | カンフー/アクション |
原作 | なし |
監督 | ベニー・チャン、サモ・ハン(アクション監督) |
脚本 | ベニー・チャン、ドン・ウォン、ほか |
製作 | ベニー・チャン、アルバン・チョー、ほか |
製作国 | 香港、中国 |
鑑賞方法 | 試写会 |
あらすじ
1910年代、内戦下にある中国だったが、ヤン団長が率いる自警団の活躍で田舎の村、普城の平穏が守られていた。
そこへ悪名高き軍閥の勢力が迫り、将軍の息子シャオルンが単身乗り込むと、三人を容赦なく殺害し、ヤン団長らに捕らわれる。
正体が分からないまま処刑を命ぜられたシャオルンだったが、一切の気負いなく、状況をただ楽しむだけの不気味な笑みを浮かべていた。
すると、軍閥の将校チャン・イーの登場でシャオルンの正体が知れ、村の者たちは慌てる。
だが、ヤン団長は犯罪者を解放せず、処刑を断行する宣言し、村は軍閥の攻撃を受ける事になるのだった。
登場人物&出演者
・ヤン(演:ラウ・チンワン)
主人公。普城の自警団団長。三代に渡って守ってきた。道理と正義を信じ権力に屈しない。
ラウ・チンワンは代表作に『レクイエム/最後の銃弾』、『インターセプション/盗聴戦』などがあります。
村の人々から尊敬を集め、知事のいない間は決定権を持ち、絶大な信頼を寄せている。
チョウ・シウロンがやって来た事で村が危機に陥っても、決して跪く事をしない強い信念。
30年来の友人が降伏を口にしても、逆に説得するほどの誇りを持っている。
最後の方では自己犠牲という主人公だけに許された奥の手を出し、きちんと役目を果たす。
・マー・フォン(演:エディ・ポン)
主人公。流れ者。愛馬の太平の導くがままにマイペースな感じで旅をしている。
エディ・ポンは代表作に『最後の晩餐』、『疾風スプリンター』などがあります。
基本的に面倒ごとは避けており、あくまで一人旅を第一に考える孤独な人物。
実は過去に護衛を生業にしていたが、依頼人の道徳を外れた所業に嫌気を差し廃業する。
正義と現実の間に立ち、そこからずっと逃げて、立ち向かおうとしなかった。
しかし、バイリン先生の子供たちを守る覚悟の手紙を読んで気持ちが大きく変わる。
クライマックスでは袂を分かった兄弟子との対決は過去との決別を意味していた。
・チョウ・ソウソウ(演:ユアン・チュアン)
ヤン団長の妻。道理と正義を信じるヤン団長をサポートし、彼の決断を信じている。
ユアン・チュアンは代表作に『ラスト・シャンハイ』、『レクイエム/最後の銃弾』がある。
村を出て行こうとしたマー・フォンにパクリン先生の手紙を渡し、彼を引き留める事に。
守られるような女性ではなく、自分の身は自分で守れるほどの手練れでもある。
・リウ(演:リウ・カイチー)
自警団に属する古株。ヤン団長とは30年来の付き合いで、入団時の言葉に共感している。
リウ・カイチーは代表作に『インファナル・アフェア/無間序曲』、『イップ・マン/最終章』などがあります。
誰よりもヤン団長の事を心配しており、降伏を口にするも、逆に説得されてしまう。
しかし、その強い思いは脇役でありながらも、強烈なインパクトを残しています。
・バイリン(演:シアン・シュイン)
将軍の息子シャオルンが「うるさい」という理由で学校の先生や子供が虐殺される。
シアン・シュインは代表作に『So Young』、『Cities in Love』などがあります。
なんとか逃げ出し、立ち寄った飯屋で強盗に遭うも、マー・フォンのおかげで命拾いする。
子供たちはマー・フォンを「孫悟空」と慕い、危険な道のりを護衛として彼を雇おうとする。
払えない金額を言い渡されるが、マー・フォンの下僕になって金を払う覚悟を手紙で渡す。
しかし、その前に普城へやって来たシャオルンによって呆気なく殺されてしまう。
それが起因となって、普城は危険な状況になるが、マー・フォンを協力させる効果があった。
・チャン・イー(演:ウー・ジン)
軍閥の将校。ツァオ将軍の腰巾着として他から蔑まれるも忠実な仕事ぶりで頭角を現す。
ウー・ジンは代表作に『インビジブル・ターゲット』、『新少林寺/SHAOLIN』があります。
実はマー・フォンの兄弟子にあたり、同じく護衛業をやっていたが袂を分かつ。
理想主義よりも現実主義であり、主がどんなクソ野郎でもそれが自分の仕事だと割り切る。
それでも弟弟子に対して穏和な一面を見せるも、クライマックスでは激闘を繰り広げる事に。
・ツァオ・シャオルン(演:ルイス・クー)
悪役。軍閥を擁する将軍の息子。極悪人という言葉が似合う危ない雰囲気のサイコパス。
ルイス・クーは代表作に『小さな園の大きな奇跡』、『インフェルノ/大火災脱出』がある。
8歳で初めて殺人をするも、父親から褒められ、当然のようにねじ曲がった人物になる。
彼にとって人を殺すのは娯楽の一つで、苦しむ人々の顔を見て楽しむ最悪の極悪人なのです。
時には自分の命すら楽しむ為に投げ出すなど、死生観が普通の人とかなりズレている。
常に笑っているが、その笑顔の裏にはドス黒いモノがあって常人には理解できない。
感想
個人的な評価
内容としては村を軍閥から守るという単純明快なストーリー。
そうだと思って観ていたが、予想以上に主要人物たちの葛藤が深く描かれていた。
特にモブキャラなのに訴えてくる凄まじい形相が意外でした。
本作は主人公を村の自警団団長のヨウだが、もう一人の主人公にマー・フンもいる。
両者の間には守るべきモノと、たまたま流れ着いただけの関係しかない。
しかし、この二人が一つの目的に向かう。
ヨウ団長は守るべき家族も大切だが、人としての道理や正義を第一にする。
苦渋の決断を迫られる時の表情はなんとも言えない。
30年も一緒に村を守ってきた友人が必死の訴えをして、説得する表情も良かった。
まさに主人公という感じの自己犠牲も納得できる流れでした。
一方のマーはずっとフラフラしているが、彼にもちゃんと理由がある。
過去から逃げていたが、子供たちを守る先生の覚悟を知って立ち上がる展開も悲しくも熱い。
そんな普城に悲劇をもたらす将軍の息子、チョウ・シウロンはまるでサイコパスでした。
ずっとヤバイ感じの雰囲気で、何をするか分からないほどの存在感があった。
アクションは「さすが」の一言と片付けるのはおこがましいだろうか。
主人公はもちろんですが、自警団の活躍も目を見張る感じでした。
様々な武器を使ったアクションは珍しさと同時に面白さもあった。
アクション監督のサモ・ハンも護国軍の将軍として一瞬だけ出てくるのもカメオ出演。
ちょい役でも出てくるだけでも嬉しい演出だったのは言うまでもないだろう。
女性陣は大きく扱われないが、男たちを支え、突き動かす重要な存在だったと思います。
サモ・ハン復活のアクション映画として充分に見応えがありました。