ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち VD-67

作品紹介

公開年月  2016/09/30
ジャンル  ファンタジー/ホラー
原作  ランサム・リグズ 『ハヤブサが守る家』
監督  ティム・バートン
脚本  ジェーン・ゴールドマン
製作  ピーター・チャーニン、ジェンノ・トッピング
製作国  アメリカ
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

フロリダで生まれ育ったジェイクは、周囲になじめない孤独な少年。
そんなジェイクを唯一理解する祖父が謎めいた死を遂げ、彼は遺言に従って小さな島にある古めかしい屋敷を訪れる。
そこには美しくも厳格な女主人ミス・ペレグリン以下、奇妙なこどもたちが住んでいた。
ジェイクはやがて彼らと心を通わせると、自らに宿った“力”に気づき、屋敷に迫る恐るべき脅威に立ち向かうのであった。

登場人物&出演者

ジェイク(演:エイサ・バターフィールド)
主人公。エイブの孫で周囲と馴染めず孤独。祖父の遺言に従って古めかしい屋敷へ向かう。
エイサ・バターフィールドは代表作に『縞模様のパジャマの少年』、『エンダーのゲーム』などがあります。
エイブの死によって、それまで話でしか聞いた事がない奇妙な人々と出会う事になる。
最初は自分が普通の人間だと思っていたが、エイブと同じようにホローを見る事ができる。
エマたちを助けられる彼しかいないという事で、気づいたら物語の中心にいた。
残念ながら主人公としての魅力がなく、キャラクターとしてミス・ペレグリンに及ばない。

エイブ(演:テレンス・スタンプ)
ジェイクの祖父。奇妙な人々を見る事ができる。周囲から認知症だと思われている。
テレンス・スタンプは近年の出演作に『ランバート・アンド・スタンプ』、『ビッグ・アイズ』などがあります。
実はミス・ペレグリンの屋敷に住んでいて、エマとは恋人同士の関係だった。
しかし、バロンが率いるホローの存在を知り、それを追う為に外の世界へと出る事に。
唯一、ホローの実態を捉える事ができ、同じ力を持つジェイクに奇妙な人々の話をする。

フランク(演:クリス・オダウド)
ジェイクの父でエイブの息子。鳥類学者のようで、鳥を見るのが好きだという設定。
クリス・オダウドは代表作に『ガリバー旅行記』、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』などがあります。
エイブを父親失格と思っており、その悪い影響で精神的な病気になったジェイクを心配する。
普通の人間の現実的な部分として登場するが、中盤以降は空気どころか一切登場しない。

【奇妙な人々】

ミス・ペレグリン(演:エヴァ・グリーン)
屋敷の女主人。インブリンと呼ばれ、ハヤブサに変身し、時間を操る能力を持っている。
エヴァ・グリーンは近年の出演作に『シン・シティ/復讐の女神』、『悪党に粛清を』がある。
時間によってすべてを見定めており、見えないホローも正確に退治できる。
子供たちを養っている事に誇りを持ち、最後まで彼らの処遇について心配していた。
最後の方ではバロンに捕まっていたせいで活躍がなく、ラストでようやく姿を現した。
この役はエヴァ・グリーンじゃないと説得力に欠ける中途半端な立ち位置でした。

エマ(演:エラ・パーネル)
空気より軽く宇宙まで浮く事ができる。どこまで飛ぶ為に足枷の代わりに鉛の靴を履く。
エラ・パーネルは代表作に『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』、『マレフィセント』などがあります。
エイブとは恋人関係だったが、外の世界へ出て行った事で失恋し、傷心している。
ヒロイン的な立場で最初からジェイクと距離感が近いけど、あまり魅力は感じなかった。
空気を操る能力らしいが、勝手に体が浮いていく事との関係性に納得ができない。
かなり優遇されているけど、屋敷で鉛の靴を捨てたのに、次の場面の沈没船で履いていた。

イーノック(演:フィンレイ・マクミラン)
降霊術により無生物へ一時だけ命を吹き込む事ができる。ジェイクに敵対心を持つ。
フィンレイ・マクミランは本作が長編映画デビュー作となっています。
家を出て行ったエイブに苛立ちを覚え、やって来たジェイクを出て行かせようとする。
ライバルとして登場するのに、中盤以降は特に何をするワケでもない空気キャラに。
一応、ガイコツの集団を作ってホローと戦うが、本人はただ見ているだけ。

オリーヴ(演:ローレン・マクロスティ)
指から火を放つ能力を持つ。触れた物を焼き払う為、肘まで手袋を着けている。
ローレン・マクロスティは『The Falling』が映画デビュー作となっています。
常にイーノックと行動を共にしており、彼の作り出す無生物の人形を見て楽しんでいる。
どう考えても火の能力者は最強クラスなのに便利な道具扱いは少し残念。

ミラード(演:キャメロン・キング)
透明人間。常に透明で裸なら存在は分からない。服を着ていれば確認できる。
キャメロン・キングは本作が長編映画デビュー作となっています。
裸でウロウロする事が多く、誰にも存在を悟られないが、ミス・ペレグリンだけは分かる。
終盤ではジェイクの作戦に何かをしたが、結局何をしたのか分からない。

ブロンウィン(演:ピクシー・デイヴィーズ)
最年少で怪力の持ち主。力仕事に関してミス・ペレグリンが一番頼りにしている存在。
ピクシー・デイヴィーズは代表作に『素敵なウソの恋まじない』となっています。
単純な怪力はいろんな場面で役に立つが、主要人物じゃないので控え目でした。

フィオナ(演:ジョージア・ペンバートン)
植物を操り育てる事ができる。食事の時に使う野菜を巨大化させる。
ジョージア・ペンバートンは本作が長編映画デビュー作となっています。
屋敷から脱出する時に大木の道を作るなど意外にも活躍の場があった。

ヒュー(演:マイロ・パーカー)
お腹の中にハチを飼っている。口を開けてしまうと勝手にハチが出る為、網の帽子を被る。
マイロ・パーカーは代表作に『Mr.ホームズ/名探偵最後の事件』、『ゴーストハンターズ/オバケのヒューゴと氷の魔人』などがあります。
ハチを使ってバロンを混乱されるが、基本的に空気キャラとなっていた。

クレア(演:ラフィエラ・チャップマン)
頭の後ろに口がある。食事の時は後ろの口を使う。恥ずかしがり屋。
ラフィエラ・チャップマンは『博士と彼女のセオリー』などがあります。
双子と一緒に行動し、サルのホローガストに襲われるところで後ろの口で反撃する。

ホレース(演:ヘイデン・キーラー=ストーン)
片眼から自分の夢を投影する事ができる。紳士のような服装と言動をする。
ヘイデン・キーラー=ストーンは本作が長編映画デビュー作となっています。
戦闘ではほぼ役立たずで、バロンに投影する光を浴びせるが意味はなかった。

双子(演:ジョゼフ&トーマス・オドウェル)
常に不気味な頭巾を被っている。常に二人一緒に行動し、食事の時も頭巾を外さない。
ジョゼフ&トーマス・オドウェルは本作が長編映画デビュー作となっています。
終盤まで頭巾を被っていたが、ピンチになったところで素顔をさらした。
それによって見た者を瞬時に石化する恐ろしい能力を発揮して敵を一人倒す。

ヴィクター(演:ルイス・デイヴィソン)
ブロンウィンの兄。妹と同じく怪力を持つ。ループがイヤになって外へ出ようとした。
ルイス・デイヴィソンは本作が長編映画デビュー作となっています。
エイブの話しにも出てきたが、ジェイクが訪れる前にホローガストに殺されている。

ミス・アヴォセット(演:ジュディ・デンチ)
ミス・ペレグリンと同じインブリン。ブラックプールでループを作っていた。
ジュディ・デンチは近年の出演作に『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠』、『あなたを抱きしめる日まで』などがあります。
バロンたちに襲われ、子供たちを殺されてしまい、ミス・ペレグリンたちに警告する。
ミス・ペレグリンが連れ去れ子供たちを守ろうとするが、すぐに来たホローに殺される。

バロン(演:サミュエル・L・ジャクソン)
ホローガストと呼ばれる悪の異能者たちを率いる。変身能力を持ち、手を武器に変える。
サミュエル・L・ジャクソンは近年の出演作に『キングコング:髑髏島の巨神』、『トリプルX:再起動』などがあります。
ずっとジェイクを監視していて、インブリンの作り出したループを探していた。
最終目的として多くのインブリンを再び実験装置で永遠の命を手に入れる事。
中盤辺りから登場したせいか、もの凄く口数が多く、説明を兼ねて色々としゃべる。
最後はジェイクに化けるも、ホローによって目玉を抉られて呆気なく死ぬ。

感想

個人的な評価

ランサム・リグズの小説『ハヤブサが守る家』が基になっています。
監督を務めるティム・バートンは、近年ダーク・ファンタジーを多く手がけ、本作もその一つとなっています。
今ではダーク・ファンタジーと言えば、ティム・バートン監督を思い浮かぶほどです。
どうやら本作はアメリカで賛否両論となっていて、それは原作と設定や後半が違っているという部分がやり玉に挙がっています。
まず、設定として原作の年代が1940年だが、本作は1943年となっています。
次にヒロインとなるエマの能力がオリーヴと入れ替わっているという点です。
特にエマとオリーヴの能力が入れ替わっている事が一番引っかかっているらしい。
原作を知らない人には特に問題はないが、ベストセラーが原作という事で多くの人が期待していたのだろう。
ダーク・ファンタジーという事でティム・バートン監督の得意とする不思議な世界。
不思議であるけど、どこかグロテスクなキャラクターが出てくるのはティム・バートン監督らしいと思います。
更にティム・バートン監督らしさを出しているのは、イーノックというキャラクターが作り出す無生物の人形で使われる技術。
これはストップモーション・アニメーションを使っていて、実にティム・バートン監督らしい演出だと言えます。
物語は基本的に子供たちが主役であり、その中でジェイクが中心となっています。
タイトルに名前があるミス・ペレグリンはあくまで保護者的な立場で、終盤では物語の第一線から退いています。
本作で言う“奇妙な人々”は端的に特殊な能力を持つ異能者たちであり、そんな彼らを“インブリン”と呼ばれる時間を操る保護者が養っている。
そのインブリンは永遠に繰り返される同じ日をループさせ、奇妙な人々はそこで安全な毎日を送っている。
まず、奇妙な人々の説明があって、次にインブリンの存在、それに彼らが暮らしているループする世界の説明、最後に敵の存在の説明が生じる。
この説明はしないと世界観が掴めないが、どうやらティム・バートン監督の手に余ってしまったという感じがした。
どうしても設定の説明しないといけない事柄が多く、加えて登場人物がムダに多いです。
一応、子供たちの能力を説明しているが、ほとんどがそれ以外の性格が分からない。
結局は主人公のジェイク、ヒロインのエマ、ライバルのイーノックぐらいしか性格をきちんと描いていません。
そこにインブリンであるミス・ペレグリンはキャラが立っているけど、物語の主人公じゃないから最後まで登場しない。
もちろん、彼らを襲う事になるバロンが率いるホローガストの説明は奇妙な人々と比べて大雑把すぎたと思う。
何よりクライマックスで展開される戦いのバランスが悪く、恐ろしいはずのホローがボウガンの矢であっさり死ぬのは納得できない。
物語としても説明が多すぎたせいでエンターテイメント性が薄く、登場人物たちに役割の必要性がない空気キャラも気になる。
そして、クライマックスの見どころであるループの説明がややこしくなり、途中でワケが分からなくなってしまう。
きちんと時間軸を理解した上で鑑賞すれば理解できるが、気楽に鑑賞する人間にとってゴチャゴチャになる。
登場人物たちは時間軸の仕組みが分かっているからいいけど、物語の構造が分かりにくくなっているのが痛いです。
期待していただけに、思っていたよりも面白くなかったのは残念でした。