ゲット・アウト RE-2746

作品紹介

公開年月  2017/02/24
ジャンル  ホラー/サスペンス
原作  なし
監督  ジョーダン・ピール
脚本  ジョーダン・ピール
製作  ジェイソン・ブラム、ショーン・マッキトリック、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

ニューヨークで暮らす黒人青年のカメラマン、クリス・ワシントンは、白人の恋人ローズ・アーミテージから彼女の実家に招待された。
しかし、ローズの両親が恋人が黒人である事をまだ知らず、クリスは不安を隠せなかった。
アーミテージ家にやって来ると、クリスの心配を余所に温かく出迎えられるが、使用人として働く黒人の姿に妙な胸騒ぎを覚えるのだった。

登場人物&出演者

・クリス・ワシントン(演:ダニエル・カルーヤ)
主人公。黒人の写真家。父親を知らず、母親は11歳の時にひき逃げで亡くしている。
ダニエル・カルーヤは代表作に『ボーダーライン』、『ブラックパンサー』などがあります。
今回、ローズが実家へ行く事に白人の娘に黒人の恋人には多少の問題があると自覚している。
実際にアーミテージ家へやって来ると、温かく出迎えられる一方で不気味さを感じ取る。
すると、アーミテージ家は優れた黒人の肉体に白人の脳を移植する秘密結社であると知る。
最後は催眠術を回避してアーミテージ家を脱出し、探しに来たロッドとともに帰った。

ローズ・アーミテージ(演:アリソン・ウィリアムズ)
クリスの恋人。白人。裕福な家庭に育つ。クリスが実家に行く心配するも大丈夫と励ます。
アリソン・ウィリアムズは代表作に『College Musical』などがあります。
実家へ帰る道中で鹿を撥ねて警察を呼ぶが、クリスへの態度が悪くて彼を守っていた。
アーミテージ家に到着すると、クリスに対する両親や弟の態度に不満を持っていた。
実は結社の一員で優れた肉体を持つ黒人男性を連れ込んで、白人たちの脳を移植させていた。
最後は逃げていたクリスを追うが、元に戻ったウォルターに撃たれ、そのまま死亡した。

ジェレミー・アーミテージ(演:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)
ローズの弟。医学生。変わった性格で失礼な態度を取る一家の問題児。柔術を習っている。
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズは代表作に『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』、『バリー・シール/アメリカをはめた男』などがあります。
帰ってきても誰も迎えに来なかった事に不満を漏らしながらも、陽気に挨拶をしていた。
食事の席ではクリスに対して敵意のような言動を取り、ローズたちを困らせていた。
実は夜な夜な覆面をして目的の黒人を追い回し、得意の柔術を使って誘拐をしていた。
最後は反撃に出たクリスに頭部を殴られ、逃げ出そうとした彼を追うもまた倒されて死亡。

ミッシー・アーミテージ(演:キャサリン・キーナー)
ローズの母親。催眠術を使う心理療法士。ディーンと同じくクリスに気を遣っている。
キャサリン・キーナーは代表作に『マルコヴィッチの穴』、『カポーティ』などがあります。
過去にやった一度の催眠術だけでディーンのタバコを止めさせるほどの性能を持っている。
アーミテージ家にやって来たクリスを温かく出迎えるとともに、彼の素性を聞き出している。
すでにクリスを催眠術に陥れていて、タバコを止めさせると同時に彼を支配していく。
最後は反撃に出たクリスに催眠術をかけようとするも道具を壊され、そのまま刺されて死亡。

ディーン・アーミテージ(演:ブラッドリー・ウィットフォード)
ローズの父親。脳神経外科医。ローズの恋人が黒人という事でかなり気を遣っている。
ブラッドリー・ウィットフォードは代表作に『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』、『フィラデルフィア』などがあります。
帰ってきたローズたちを出迎えると、オバマを支持していたなど、クリスに肩入れする。
その実は父親が築いた結社の一員であり、依頼を受けた白人の脳を黒人に移植していた。
今回は盲目となった有名な画商の脳をクリスに移植させるべく、親しげに接していた。
最後は反撃に出たクリスにより、飾った剥製の鹿の頭部にある角によって刺されて死亡した。

ロッド・ウィリアムス(演:リルレル・ハウリー)
クリスの親友。運輸保安庁の職員。クリスたちが留守の間、愛犬の世話を頼まれている。
リルレル・ハウリーは代表作に『Get a Job』、『Mad Families』などがあります。
定期的にクリスへの連絡を取り、アーミテージ家にいる黒人がおかしい事を知っていく。
そこから運輸保安庁の職員としての勘を働かせると、アーミテージ家の正体を暴く。
上司に掛け合ってクリスの捜索を頼むも笑われてしまい、結局一人でなんとかしようとする。
最後は運輸保安庁の職員としての勘を頼って、ローズの実家に向かってクリスを助けた。

ローガン/アンドレ・ヘイワース(演:キース・スタンフィールド)
アーミテージ家のパーティに招かれた黒人の客。二回りも離れている白人女性が恋人。
キース・スタンフィールドは代表作に『パージ:アナーキー』、『スノーデン』があります。
同じ黒人であるクリスが挨拶するも、どこか違和感を覚えられるも気にしていなかった。
クリスが知り合いかもしれないと写真を撮られるが、フラッシュによって人が変わる。
最後は元々ジャズ奏者で行方不明になっていて、結社によって白人の脳が移植されていた。

ジョージナ(演:ベティ・ガブリエル)
アーミテージ家の使用人。黒人。クリスがやって来ると満面の笑顔で彼を出迎えていた。
ベティ・ガブリエルは代表作に『アイヒマンの後継者/ミルグラム博士の恐るべき告発』、『パージ:大統領令』などがあります。
元々はディーンの両親たちを介護する目的で雇われたが、亡くなった後も雇い続けている。
実はその正体はローズの祖母であり、結社によって脳を若い黒人女性に移植していた。
逃げるクリスの車に撥ねられが、母親を重ねた彼に助けられるも家族を壊されてブチ切れる。
最後は車を運転していたクリスはハンドル操作を誤り、木に衝突した事で頭を撃って死亡。

ウォルター(演:マーカス・ヘンダーソン)
アーミテージ家の庭の管理人。黒人。クリスがやって来ると何も言わずに会釈していた。
マーカス・ヘンダーソンは代表作に『ジャンゴ/繋がれざる者』、『セッション』があります。
ジョージナと同じ理由で雇われていたが、今はディーンの計らいで庭の管理を任されている。
眠れなかったクリスが外に出ると、何かに取り憑かれたように全力疾走をしていた。
その正体は結社を作り上げたディーンの父親であり、若い黒人男性に脳を移植していた。
最後は逃げるクリスを追いかけたが、フラッシュで自我を取り戻しローズを撃って自殺した。

感想

個人的な評価

本作は第90回アカデミー賞にて脚本賞を受賞し、MTVムービー・アワードでは多くの受賞とノミネートされています。
コメディアンとして長らく活躍しているジョーダン・ピールにとって、映画監督と脚本おデビュー作となっています。
当初の個人的なイメージは、白人の家庭に黒人がやって来て差別を受けるというモノでした。
しかし、実際に観賞するとまったくの別物であり、底知れぬ怖さがある作品でした。
黒人を差別するというよりは、黒人の肉体こそが最高だと賞賛している内容だと分かります。
ただ、ある意味、本作は差別というモノを別の形で表現していて、その裏側を知っていれば尚更恐ろしさが伝わってきます。
とにかく、本作からは底知れぬ怖さがあって、アーミテージ家という当初のイメージとは違った彼らの対応に不気味さを覚えてしまいます。
本作は凝り固まった黒人差別を逆に利用した作品であり、そういう先入観が強いほど衝撃が変わってきます。
徐々に解明されていく不気味さの原因は怖いと感じさせるけど、それが完全に分かった時は少しばかりファンタジーになってしまった。
確かに物語の流れとしてはアーミテージ家の目的は分かるが、脳を移植するという大がかりなモノを一人や二人だけでやり遂げるにはムリがあると思う。
どうしても、この現実的な部分の齟齬があった為に、それまでの丁寧な描き方が一気に吹き飛んでしまいました。
脳の移植という非現実的な展開だと、せっかく本作が現実にある不気味な怖さと噛み合っていなかったと感じました。
ラストでの反撃についても安易だと感じたし、主人公が写真家である必要性がまったくなかったのは痛いところでした。
それに途中で主人公の視線がなくなって、代わりに友人が物語の確信を突いていくが、そこもなんだか違うような気がしました。
それならば、主人公に解明できる設定を持たせて、友人はあくまでお迎えに来る程度で良かったのかもしれません。
しかしながら、本作は先入観や固定概念を上手く利用した不気味な作品として良作でした。