セル RE-2552

作品紹介

公開年月  2017/02/17
ジャンル  ホラー/サスペンス
原作  スティーヴン・キング 『セル』
監督  トッド・ウィリアムズ
脚本  スティーヴン・キング、アダム・アレッカ
製作  リチャード・サパースタイン、マイケル・ベナローヤ、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

コミック作家のクレイはボストンの空港から別居中の妻と息子へ電話をかけるが、携帯電話の充電がなくなって通話が途中で切れる。
公衆電話で電話をかけようとしたクレイだが、携帯電話で通話していた人々が突然凶暴化すると、空港は一瞬にしてパニックとなってしまう。
地下鉄へ逃げたクレイは運転士のトムと少女のアリスの協力を得て、妻と息子が住むニューハンプシャーを目指すのであった。

登場人物&出演者

クレイ・リデル(演:ジョン・キューザック)
主人公。コミック作家。妻とは別居中で息子に電話していると携帯電話の充電が切れる。
ジョン・キューザックは近年の出演作に『ドラゴン・ブレイド』、『ミッシング・デイ』などがあります。
公衆電話で妻に電話をしているところで周囲の人間が豹変してなんとか地下鉄に逃げ延びる。
元々は浮気のせいで妻との仲が険悪となっていたが、それは退屈な日々が原因であった。
トムやアリスと出会った生き延びるが、その目的は妻と息子を探し出す事である。
最後は息子がいる電波塔へ一人で向かうが、結局は凶暴化した人間の仲間入りしてしまう。

トム・マッコート(演:サミュエル・L・ジャクソン)
地下鉄の運転士。突然、周囲の人々が暴走している中で地下鉄の電車で正常な人を匿う。
サミュエル・L・ジャクソンは近年の出演作に『キングコング:髑髏島の巨神』、『トリプルX:再起動』などがあります。
地下鉄では水をくみ上げていて、それをやらないと水没するという事で外へ歩いて出る。
元々は軍人で2008年の金融危機により財産を失い、妻と離婚してすべてを失っていた。
クレイにとって力強く頼りになる仲間で、彼の危機を何度も救っている人物。
最後は息子を探しに行くクレイを見送って、ジョーダンとともにカナダを目指した。

アリス(演:イザベル・ファーマン)
クレイが住むアパートの上の階に母親と一緒に住んでいる少女。
イザベル・ファーマンは代表作に『エスター』、『アフター・アース』などがあります。
クレイとトムがやって来ると、血だらけで助けを求め、凶暴化した母親を殺した。
当初は激しく動揺していたけど、クレイとトムの説得で落ち着いて冷静さを取り戻す。
銃を扱えるなど、追い込まれた時に発揮する行動力が高く生き延びた理由となる。
逃げ込んだバーに凶暴化した人間に襲われ、頭を殴られて重傷を負い、息を引き取る。

ジョーダン(演:オーウェン・ティーグ)
寄宿学校ガイテン・アカデミーの奨学生。携帯電話を持っていなかったおかげで助かった。
オーウェン・ティーグは代表作に『Reckless』、『Walt before Mickey』などがあります。
競技場の凶暴化した人間を焼き払うが、ポンプ車の爆発による破片で校長が死んで悲しんだ。
その後もクレイたちと行動し、最後はトムとともに安全なカナダへと旅立った。

チャールズ・アーダイ(演:ステイシー・キーチ)
寄宿学校ガイテン・アカデミーの校長先生。奨学生のジョーダンと寄宿学校に避難している。
ステイシー・キーチは代表作に『愛すれど心さびしく』、『シン・シティ/復讐の女神』などがあります。
以前から携帯電話を「悪魔のインターホン」と称するほど毛嫌いしていた。
学校の競技場に大量の凶暴化した人間が休止状態で、それを焼き払う提案をする。
凶暴化した人間たちを分析し、将来の進化についての危険性を示唆した。
提案は成功するが、ガソリンが入ったポンプ車に引火爆発し、飛んできた破片で死ぬ。

レイ・ホイゼンガ(演:アンソニー・レイノルズ)
クレイたちがバーから逃げ出し、さまよっていたところでキャンプしているところで遭遇。
アンソニー・レイノルズは代表作に『レッド・ドラゴン』、『アイアンマン3』があります。
ダイナマイトに関する知識を持っていて、六日間も睡眠を取らずにヤツらを見張っていた。
クレイたちが訪れる事を予期し、その為にアイスクリームのトラックの大量の爆薬を仕込む。
最後はヤツらが頭に入り込んだ事を察知し、あとの事をクレイに頼んで自爆した。

デニース・リンク(演:エリン・エリザベス・バーンズ)
レイとともに行動をしている妊婦。レイのおかげで生き延びていて信頼し合っている。
エリン・エリザベス・バーンズは代表作に『バードピープル』、『ダイバージェントFINAL』などがあります。
兄は凶暴化した人間の仲間入りするが、彼を使ってヤツらが近くに来たか察知する。
クレイがやって来た事で突然彼の息子の声を出すも正体がバレてトムがトドメを刺した。
最後はトムとジョーダンとともに安全だと思われるカナダへ旅立つ事になる。

感想

個人的な評価

本作はスティーヴン・キングの同名小説を原作にしています。
スティーヴン・キングは本作でも脚本を務めています。
これまでスティーヴン・キングの小説は何作も実写映画化されてきました。
そのジャンルは幅広く、青春映画から恐ろしい感動映画、更にホラー映画まであります。
そんな本作はホラーであり、サスペンスでもあるスティーヴン・キングらしい作品。
携帯電話で通話をしたら、突然泡を吹いて理性を失い、凶暴化して周囲の人間を襲う。
理由もなく、いきなり豹変するのだから、冒頭でのシーンはかなり強烈でした。
このパターンはゾンビ映画に近いモノがあり、いわゆる感染系ホラー映画の類と言える。
冒頭での空港のシーンは非常にインパクトがあって、感染系ホラー映画の醍醐味があります。
理由はさておいて、そこで展開するパニックは非常に恐ろしいと思わせる描写でした。
その後はサバイバルしながら、なぜか主人公の家族がいる家に向かうという事になります。
主人公の行動は分かるけど、なぜ他の人たちは賛同して付いて行ったのか分かりません。
いくら生きている可能性がゼロではないとは言っても、問題の解決にならない無意味な行動としか思えません。
それで主人公の家に着いても当たり前のように解決策はなく、息子を探す為にようやくそれぞれが別の道を歩む事になります。
本作の視点は息子を探す主人公の視点なので、結末は目に見えるような感じになるが、あの含みを持たせた終わり方はあまり良いとは言えない。
結局、凶暴化した人間たちがなぜそのようになったのか分からず、主人公の描いたコミックのキャラクターが共通して夢に出てくる理由も語られません。
つまり、本作は主人公が凶暴化した人間たちの仲間入りして終わるが、物語はまだ終わっていないという。
そうなれば、それまでの旅の意味がなくなってしまい、せっかく丁寧に築いたドラマが台無しになってしまいます。
そもそも主人公の目的が息子を探す事であって、見つけた時点で達成しているので、このような状態になった原因など無関係になっている。
本来ならば、視点は別行動をしたトムの方が正しいけど、そうなってしまうと物語が壮大になるから終着点が地味なクレイにしたのだろうと思う。
とにかく、後半で伏線回収がほとんど丸投げになったのが本作の致命的な部分である。
そこさえちゃんとしていれば、冒頭のパニックシーンがより際立ってくるはずです。
ただ、雰囲気としてスティーヴン・キングらしい気持ち悪さで、後味の悪い終わり方も彼らしいと言えば彼らしいでしょうね。