キャッツ RE-3322

作品紹介

公開年月  2019/12/20
ジャンル  ミュージカル
原作  アンドルー・ロイド・ウェバー 『キャッツ』

T・S・エリオット 『キャッツ/ポッサムおじさんの猫とつき合う方法』

監督  トム・フーパー
脚本  リー・ホール、トム・フーパー
製作  ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

ロンドンの片隅でゴミ捨て場に迷い込んだ臆病な一匹の白猫ヴィクトリア。
そこは“ジェリクルキャッツ”と呼ばれる個性豊かな猫たちが集う不思議な世界。
そして、その夜は不思議な力を持つ長老猫オールドデュトロノミーによって新たな生命を生きる一匹の猫が選ばれる特別な夜だった。

登場人物&出演者

ヴィクトリア(演:フランチェスカ・ヘイワード)
主人公。「ジェリクルキャッツ」の縄張りに捨てられた白猫。新たな世界を体感する役割。
フランチェスカ・ヘイワードは代表作に『ロミオとジュリエット』などがあります。
まだ来たばっかりなのに、みんなと息の合った歌と踊りで気付いたら仲間になっていく。
みんなが一生懸命パフォーマンスをする中、新参者なので天上へ行く事の凄さを知らない。
疎まれる存在のグリザベラがずっと気になって、彼女にパフォーマンスの場を勝手に与える。
最後はグリザベラが天上へ行き、新参者なのにオールドデュトロノミーの隣を確保した。

ミスター・ミストフェリーズ(演:ローリー・デヴィッドソン)
「ジェリクルキャッツ」の猫。新参者だったヴィクトリアが気になって何かと話しかける。
ローリー・デヴィッドソンは代表作にか『ヴァンパイア・アカデミー』、『グッドライアー/偽りのゲーム』などがあります。
手品が得意でシルクハットから何かを出すが、マキャヴィティと比べて大した事ない。
泥棒猫コンビのパフォーマンスによる罠で家に取り残されたヴィクトリアを救い出した。
マキャヴィティに連れ去られたオールドデュトロノミーを戻すべく、手品を期待された。
最後はグリザベラが天上へ行く者に選ばれ、ヴィクトリアのすぐ後ろで見送っていた。

グリザベラ(演:ジェニファー・ハドソン)
「ジェリクルキャッツ」の猫。元々は美しい猫だったが、娼婦になったせいで落ちぶれる。
ジェニファー・ハドソンは近年の出演作に『サンディ・ウェクスラー』、『SING/シング』などがあります。
仲間から蔑まれるようになってしまい、天上へ行ける舞踏会では参加すらさせてもらえず。
新参者でみんなから温かく出迎えられたヴィクトリアと出会い、美しい歌声を披露した。
舞踏会が佳境に入る中、ヴィクトリアの勝手な思いつきで参加し、思いを歌にして歌った。
最後はオールドデュトロノミーに認められ、天上へ行く者に選ばれ、祝福されて旅立った。

マンカストラップ(演:ロビー・フェアチャイルド)
「ジェリクルキャッツ」の猫。人間に捨てられたヴィクトリアをいち早く話しかけた。
ロビー・フェアチャイルドは代表作に『An American in Paris: The Musical』、『The Chaperone』などがあります。
何も知らないヴィクトリアに対して、ジェリクルキャッツについて歌と踊りで教えてくれた。
デュトロノミーがやって来ると、一番の側近という感じで隣にいて一緒に指定席に行く。
消えてしまったオールドデュトロノミーをミストフェリーズの手品で戻せると盛り上げた。
最後は新参者のヴィクトリアに席を取られてしまい、その他大勢と気球を見送っていた。

ジェニエニドッツ(演:レベル・ウィルソン)
「ジェリクルキャッツ」の猫。いつも家で自堕落な生活して、肥満体になるも美声は健在。
レベル・ウィルソンは近年の出演作に『ジョジョ・ラビット』、『ロマンティックじゃない?』などがあります。
みんなからグータラしていると言われるが、完全に開き直って今の生活の素晴らしさを歌う。
ネズミやゴキブリなどを使って歌と踊りをさせ、気に入らないと食べたりしていた。
ラム・タム・タガーの軽快なフットワークに嫉妬するが、太っているせいで機敏に動けず。
最後はマキャヴィティに捕まるが、一緒にいた仲間と脱出して元の居場所に戻ってきた。

ラム・タム・ダガー(演:ジェイソン・デルーロ)
「ジェリクルキャッツ」の猫。派手な服装や装飾品で着飾り甲高い美声を持っている。
ジェイソン・デルーロはシンガーソングライターとして活躍し、本作が長編映画デビュー作となります。
天上へ行く為に最高のパファーマンスをしていて、新参者のヴィクトリアにアピールする。
軽快なフットワークと甲高い美声で他の猫を魅了し、一方でジェニエニドッツが嫉妬する。
実は人間の手で去勢され、その為に甲高い美声を持っているとジェニエニドッツが説明した。
最後は天上へ行くグリザベラをその他大勢の一人としてみんなと気球を見送っていた。

バストファージョーンズ(演;ジェームズ・コーデン)
「ジェリクルキャッツ」の猫。他の猫より金を持っていて、いつも何か食べている。
ジェームズ・コーデンは代表作に『ガリバー旅行記』、『イントゥ・ザ・ウッズ』がある。
食べる事が至上の喜びとしてパフォーマンスに乗せて歌い、その間もゴミを漁って食べる。
パフォーマンスが終わってマキャヴィティが登場し、食べ物の誘惑で手品により消される。
最後はマキャヴィティに捕まるが、一緒にいた仲間と脱出して元の居場所に戻ってきた。

マキャヴィティ(演:イドリス・エルバ)
「ジェリクルキャッツ」の猫。手品師で仲間から恐れられ、誰も近寄らない存在となる。
イドリス・エルバは近年の出演作に『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』、『アベンジャーズ/エンドゲーム』などがあります。
誰よりも天上へ行きたい気持ちを持っていて、どんな手段を使ってでも選ばれようとする。
パフォーマンスを終えたジェニエニドッツやバストファージョーンズを消していく。
舞踏会で手品で他の猫たちを眠らせ、オールドデュトロノミーに選ばれようとするも失敗。
最後は天上へ旅立つグリザベラの気球に捕まる落ちて、手品も通じずに見届けしかなかった。

オールドデュトロノミー(演:ジュディ・デンチ)
ジェリクルキャッツの最年長にして長老の猫。天上へ行く猫を選ぶ権利を持っている。
ジュディ・デンチは近年の出演作に『アルテミスと妖精の身代金』、『ジョーンの秘密』などがあります。
足が悪くてゆっくりしか歩けないが、本番の為にやって来ると神のように崇められた。
天上へ行きたい者たちのパファーマンスを見るが、新参者のヴィクトリアに注目していた。
マキャヴィティが手品で連れ出されるが、平等に審査すると伝えて舞踏会に戻ってきた。
最後はヴィクトリアが推したグリザベラを選び、満足そうな表情でみんなと見送っていた。

感想

個人的な評価

本作は世界的に知られる同名ミュージカル作品の実写映画化となります。
この作品は『第40回ゴールデンラズベリー賞』にて最低作品賞、最低監督賞、最低助演男優賞、最低助演女優賞、最低スクリーンコンボ賞、最低脚本賞で受賞しています。
まず、ミュージカルの方はまったく知らないですが、全編に渡って歌と踊りで表現して立ち止まって普通に演技するという場面はないらしい。
そうなってくると、そもそも実写映画化にする意味がないと言える根本的な問題が発生していしまいます。
監督のトム・フーパーは全編を歌だけで仕上げた『レ・ミゼラブル』というミュージカルの実写映画化で調子に乗ったと思います。
映画好きの中でミュージカルというジャンルが苦手という人が多く、それは映画とミュージカルでは表現の方法が違っているせいで反発し合う関係にあるからだと思います。
ミュージカルというのは生身の人間が目の前で歌と踊りを披露する事で迫力を直に受け、会場全体の雰囲気まで取り込んでいく受動的な作用が大きいです。
一方で映画というのは鑑賞する者がその世界にどれだけ入って、共感を得られるかに左右にされる能動的な部分が非常に大きいのです。
両者は明らかに正反対の性質を持っている為、実写映画化にする場合だと微妙な感じになってしまう事が多いと思います。
映画をミュージカルや舞台に変換するのはいいかもしれないが、その逆であるミュージカルや舞台を映画にするのはまったく違う作業が生まれます。
本作の原作となるミュージカルは様々な猫が登場して、自己紹介する歌と踊りを次々と披露していくが、それをそのまま映画にするワケにはいきません。
なので、本作では明確な主人公を設定しているが、自己紹介の部分が最大の魅力だから物語の大半を占めてしまい、ストーリー性は皆無と言えます。
映画を鑑賞するの人間は少なくてもストーリーを求めているのであって、歌と踊りを観たいワケじゃないだろうし、仮にそうだとしてもミュージカルを観た方がいいと思ってしまう。
本作に関してラジー賞を受賞するぐらい酷評されているが、その大部分が見た目の気持ち悪さだが、個人的にはそんなのはどうでも良くて、単純に映画としてつまらなかったです。
原作を知らない分で、どんな猫が出てこようがどうでもいいし、結局は主人公か悲劇的な扱いを受けるキャラクターが勝ってしまうのはお決まりごとです。
となれば、代わりばんこで登場する猫たちは単なる前座の域を出ず、それらに魅力があればいいのだが、似たようなパターンが何度も続くと飽きてしまうのです。
ラストでは惨めな生活を送る猫が大逆転をするのだが、まず集団の中に来たばっかりの新参者が発言力を持ってしまった違和感が強かったです。
今まで数本のミュージカル映画を鑑賞してきたが、本作はその中でもぶっちぎりにつまらないし、中途半端なストーリー性を持たせたせいで主人公以外のキャラクターが死んでしまった印象でした。
見た目については世間で酷評されるぐらい気持ち悪いと思わなかったが、映画としては何も面白いところがなかったです。