作品紹介
公開年月 | 2017/07/24 |
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ジャンル | SF/アクション/ドラマ |
原作 | ピエール・ブール 『猿の惑星』 |
監督 | マット・リーヴス |
脚本 | マーク・ボンバック、マット・リーヴス |
製作 | ピーター・チャーニン、ディラン・クラーク、ほか |
製作国 | アメリカ |
鑑賞方法 | 動画配信サービス |
あらすじ
平和を望み共存の道を探ってきたシーザーの願いも空しく、猿と人類との戦争から二年後、冷酷な大佐の襲撃により妻と長男を殺されてしまう。
憎しみに駆られたシーザーは復讐の旅に出ると、モーリスとロケット、ルカが同行する事に。
道中では言葉が話せない少女ノヴァと出会い、やがて復讐の目標だった大佐のアジトである基地にたどり着くのだった。
登場人物&出演者
【猿(エイプ)】
・シーザー(演:アンディ・サーキス)
主人公。猿たちの指導者。コパが引き起こした反乱で人間との戦争で戦いの中に身を置く。
アンディ・サーキスは近年の出演作に『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』などがあります。
アルファ・オメガ部隊の兵士を捕虜にするが、戦う事を嫌って和平交渉の為に解放する。
コパの遺志を継ぐゴリラのレッドに脅されたウィンターにより、大佐が襲撃し妻子を失う。
アルファ・オメガ部隊の基地に囚われるが、気力を失った猿たちの生きる原動力となる。
最後は感染した大佐を射殺せず、基地の壁を壊すが、受けた矢傷により力尽きる事となった。
・モーリス(演:カリン・コノヴァル)
シーザーを慕うオランウータン。常にシーザーの隣にいて、冷静にアドバイスを与える役目。
カリン・コノヴァルは代表作に『スノウホワイト/白雪姫』、『ファイナル・デッドコール/暗闇にベルは鳴る』などがあります。
長旅から帰ってきたブルーアイズとロケットが安住の地を見つけるが、慎重さを主張した。
大佐による襲撃を受けた事で移動する際、死ぬかもしれない復讐の旅に否応なく付いていく。
道中、立ち寄った人間のキャンプで一人いたノヴァを連れて行く事をシーザーに頼んだ。
最後は猿たちをトンネルから逃がし、ノヴァを雪崩から守り、シーザーの後を受け継いだ。
・ロケット(演:テリー・ノタリー)
シーザーを慕うチンパンジー。シーザーの長男ブルーアイズとともに長旅に出ていた。
テリー・ノタリーは代表作に『ウォークラフト』、『キングコング:髑髏島の巨神』がある。
長旅による疲労を察したシーザーに休息を与えられ、友情を確かめながら言葉に甘えた。
大佐による襲撃を受けた事で移動する際、復讐の旅を決意したシーザーとともに向かった。
基地内に囚われたシーザーたちを助けるべく作戦を立て、自ら囮となって侵入して攪乱した。
最後は猿たちを基地から逃がし、雪崩が起きると木で難を凌いで新天地にたどり着いた。
・ルカ(演:マイケル・アダムスウェイト)
シーザーを慕うゴリラ。常にシーザーの側にいて、彼の身を守る護衛役として活動する。
マイケル・アダムスウェイトは代表作に『ウォークラフト』、『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』などがあります。
大佐による襲撃を受けた事で移動する際、モーリスたちとともにシーザーに付いていく。
道中では常に警戒を怠らないが、大佐を見失った時にバッド・エイプに馬を盗まれてしまう。
束の間の平穏の時、花を見ていたノヴァに一輪の花を耳にかける優しさを見せていた。
最後はアルファ・オメガ部隊の基地を偵察した時にシーザーを守って致命傷を負い死亡した。
・バッド・エイプ(演:スティーヴ・ザーン)
大佐たちを追っていたシーザーたちが見失うと、その荷物を狙って奪った話せるエイプ。
スティーヴ・ザーンは代表作に『クリムゾン・タイド』、『スチュアート・リトル』シリーズなどがあります。
元々は動物園にいたが、猿インフルエンザで人間が死んでいく中でなんとか逃げ出した。
手話による会話は分からず、独力で覚えた言葉で意思疎通ができる変わり者のエイプである。
基地内に囚われたシーザーたちを助けるべく、偶然にも檻へ通じるトンネルを発見する。
最後は猿たちを逃がし、大規模な雪崩が起きると木に登って難を凌いで新天地に到着した。
・ウィンター(演:アレクス・ボーノヴィッチ)
シーザーの側近を務めるアルビノのゴリラ。人間を最も恐れ、新天地の移動を急がせる。
アレクス・ボーノヴィッチは代表作に『デス・リベンジ2』、『キンダガートン・コップ2』などがあります。
捕虜にしたレッドを連れ出すが、逃げられてしまうも実は脅されてスパイになるよう強要。
その結果、シーザーの妻と長男は殺されてしまうが、人間のキャンプで安全に暮らしていた。
人間のキャンプでこき使われる中、やって来たシーザーに事情を話して許しを請う。
最後は近くに来た人間に知らせようとして、シーザーが口止めした際に窒息死させられる。
・レッド・ドンキー(演:タイ・オルソン)
コバの遺志を受け継ぐ赤毛のゴリラ。人間側に付いてシーザーがいる集落の襲撃を企んだ。
タイ・オルソンは代表作に『X-MEN2』、『地球が静止する日』などがあります。
結局、猿たちに捕まってしまい、ウィンターが別の場所に連れて行くも力の差で逃げ出した。
その際にウィンターを脅迫し、スパイとして大佐が襲撃する為に手引きをさせた。
アルファ・オメガ部隊の基地では雑用として働き、自分の運命を知りながらも従っていた。
最後は仲間やシーザーの姿を見て心変わりし、ブリーチャーを爆死させた後に射殺された。
【人間】
・ノヴァ(演:アマイア・ミラー)
ヒロイン。シーザーたちが立ち寄った人間のキャンプにいた少女。病気により口が利けない。
アマイア・ミラーは代表作に『ライト/オフ』、『アナスタシア』などがあります。
当初はエイプたちに驚いていたが、モーリスの優しい問いかけに心を開いて旅に同行する。
旅を通じて手話が少しだけでできるようになり、厳しい表情のシーザーとの距離を縮める。
アルファ・オメガ部隊の基地へ普通に入ると、瀕死状態のシーザーを助けて立ち上がらせた。
最後はモーリスたちと囚われた猿たちを逃がし、雪崩から逃げ出して新天地にたどり着く。
・ブリーチャー(演:ガブリエル・チャバリア)
アルファ・オメガ部隊の兵士。猿の集落を当てもなく探している時に襲撃を受けてしまう。
ガブリエル・チャバリアは代表作に『フリーダム・ライダーズ』などがあります。
猿たちの捕虜になってしまうが、和平交渉の為にシーザーによって解放される事になる。
その結果、集落の場所を教える事となり、ウィンターの手引きもあって大佐とともに襲撃。
大佐の考えに同調する一人で、仲間が猿インフルエンザに感染した事で処刑をしている。
最後は壁を壊すシーザーに矢を放つが、考えを変えたレッドによって爆死させられる。
・大佐(演:ウディ・ハレルソン)
アルファ・オメガ部隊を率いる指揮官。ブリーチャーの通信で猿を一匹でも多く殺せと命令。
ウディ・ハレルソンは近年の出演作に『スウィート17モンスター』、『ある決闘/セントヘレナの夜』などがあります。
レッドに脅されたウィンターの手引きでエイプの集落に侵入し、シーザーの妻と長男を殺害。
変異した猿インフルエンザが人間を獣に退化させる事を知り、発症者の排除を徹底した。
支配者がエイプになると理解した上で、人間を守ろうとする行動に自身の信念は揺るがない。
最後はノヴァのぬいぐるみから猿インフルエンザに感染し、シーザーの目の前で自殺した。
感想
個人的な評価
本作はビエール・ブールの同名小説を新たな解釈で描いた新シリーズの完結編となります。
1968年にチャールトン・ヘストンを主演にした『猿の惑星』シリーズの前日譚として三部作構成となっています。
本作はその完結編になるという事で、長年に渡る猿と人間の戦いに終止符が打たれる作品。
一作目では一言や二言が限界だったシーザーだが、本作では人間と同様に言葉を話せる。
他のエイプは手話を使って意思の疎通を図る中でただ一人、言葉による会話を実現させる。
エイプたちを率いるリーダーとしての貫禄があって、何事も冷静に対処する姿は他の猿たちから崇められている存在となっています。
前作で人間との抗争を実現させたコパを自らの手で殺した事実をいつまでも背負っています。
あくまで戦争を仕掛けたのは人間だと主張し、猿たちを生き残らせる為に役目を果たす。
確かにシーザーはもの凄いカリスマ性を有しているが、他の猿よりも知能は高いせいなのか、常に怒っているような表情しかない。
いくら戦争に身を置いているからって、ずっとしかめ面している事に違和感を持った。
感情も自由自在ならば、もう少し笑ったような顔をしていも問題はないはずだが、意図的な演出なのかそれは一切なかった。
確かに演じているアンディ・サーキスは素晴らしい演技を魅せているが、シーザーというキャラクターは怒りしかないように感じてしまった。
ただ、本作で悪役となる大佐を演じたウディ・ハレルソンの立場も明確にしている点で、単なる悪いヤツで終わっていない。
ちゃんと人間の行く末を分かっていて、その上で悪あがきをしているだけで、単純にそのやり方が非道というだけ。
本作では猿と人間の戦いになっているけど、現代においても民族間や宗教の違いから争いは起きているような時代である。
それを別の形で体現している作品だが、全体的に暗い雰囲気だが、ラストでようやく明るい未来によりシーザーが笑顔を浮かぶ効果的な演出だったと思う。
ずっと怒っているような表情のシーザーが笑顔と安らぎの表情を見せた瞬間、それこそが長い戦いの終わりで、新たな時代の始まりだと分かる演出であった。
そして、本作のキーパーソンとなったノヴァというヒロインは、大きな役割を持ちました。
一作目ではシーザーを作り出したウィル、二作目では猿と共存しようとしたマルコムがそれぞれキーパーソンとなっていました。
いずれもシーザーと深い関わりを持ちましたが、本作のノヴァはそれ以上の存在と言っても過言ではないと思います。
それにノヴァを救おうとしたモーリスという感情豊かなオランウータン、コミカルな存在のバッド・エイプもシリアスな物語の緩衝材となった。
猿たちは決して人間と戦争をしたいワケじゃなく、自分たちを守る為に戦っている事を意味合いしていると感じさせます。
だからこそ、一人で生きる事ができない人間の少女を助けるという行為、与えられた優しさを分け与える彼女の行動がシーザーを突き動かしました。
本作のサブタイトルに「大戦記」になるはずが、現在の「聖戦記」になった意味合いはちゃんと反映されていると思います。
これでシーザーの死とともに新三部作が終わりを告げましたが、オリジナルの時代は40世紀なので、まだまだ続編が作れそうな勢いでしょう。