【POV方式は低予算映画で重宝される理由】 嫌いな撮影方法だからこそ分析してみた

まず、大前提として個人的にPOV方式はクソみたいな演出で大嫌い(一回目)な撮影方法と宣言します。

なぜなら、作品の粗を観せない為の工夫を放棄し、観たい部分を意図的にみせないだけの単純な演出はイライラさせられるだけ。

さて、POV方式は聞いた事があるけど、結局なんだんだ?

個人的には大嫌いな撮影方式だが、低予算ではかなり使われている。

その理由を解明するとともにちょっとばかり解説を入れていこうと思います。

POVとは?

POVは”POVショット”という映画の撮影用語で正式には「POINT OF VIEW SHOT」であり、主に主観視点でのカメラワークとなります。

つまり、主人公目線、あるいは手持ちカメラの限られた視点で、登場人物たちがその視点を認識しているという特徴を持っています。

大体の映画というのは神視点でのカメラワークが主体で、登場人物たちはそれを認識していません。

だから、どこから撮っても構わない。そうなってくると監督のセンスに寄る部分が非常に大きくなり、同時に作品の予算によっても制限も出てきます。

やはり、超大作は豊富な資金があるので、街全体を映し出せる余裕があるけど、逆に低予算は限られた場所での撮影となるので視野は狭くなります。

POVと親和性を発揮するモキュメンタリー

POV方式で撮影される作品は市民権を得て、現在では広く使われています。

その中でも“モキュメンタリー”というジャンルと非常に親和性が高いです。

モキュメンタリーとは、

架空の人物や団体、虚構の事件や出来事に基づいて作られるドキュメンタリー風表現手法である。モキュメンタリーは「モック」と、「ドキュメンタリー」のかばん語であり、「モックメンタリー」「モック・ドキュメンタリー」ともいう。また、「フェイクドキュメンタリー」と呼ばれる場合もある。

とウィキペディアで説明されているように、ドキュメンタリー的な内容の作品で頻繁に使われています。

主人公は手持ちカメラですべてを撮影する人物で、声は入るけど姿はほとんど映像に映らないという面白い構図となっている。

王道のパターンでは残された記録として、主人公が撮影してきた出来事をドキュメンタリー風味に映画として構築しているのです。

その為、臨場感というモノを必然的に得る事ができる。

同時に限られた視野となるので、低予算の粗をみせない都合の良い撮影方法とも言えるのです。

となれば、カメラさえ用意できるだけで誰でも映画を撮れる事になります。

そう、低予算映画にとって願ってもない格安の撮影方法なのです。

ただし、あくまで低予算映画専用の撮影方法で、これを超大作で取り入れると、高確率で残念な事になるのは明白である。

なぜなら、超大作の醍醐味となる画面いっぱいに広がる迫力の映像が狭い視野で逆効果となってしまう。だから、超大作でそのような事をするのはバカ以外の何者でもありません。

POVを使った罪深い作品たち

では、POV方式を取り入れた作品たちを紹介していきましょう。

個人的にはPOV方式は大嫌い(二回目)と宣言していますが、好き嫌いはしない方針としてちゃんと鑑賞しています。

だからこそ嫌いになっていく理由に繋がります。

余計な事は置いて、早速と作品を紹介します。

ブレア・ウィッチ・プロジェクト

6万ドルという製作費で作られた超低予算映画。

興行収入は全世界で2億4000万ドルという大ヒットとなりました。

日本でも興行収入が18億6000万の大ヒットを記録しています。

POV方式を世界的に広めた罪深き作品で、本作をきっかけに多くの亜種映画が産み落とされる事になりました。

話題作として『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を借りて鑑賞しましたが、多分、本作が最初のPOV方式だったが、あまりの退屈さと観づらさでずっとイライラしていた記憶があります。

パラノーマル・アクティビティ

モキュメンタリーの正統派で現在はスピンオフを含め、合計で6作も乱発している迷惑なシリーズとなります。

簡単に言ってしまえば、超常現象を定点カメラで映しただけの簡単なホラー映画。

内容は完全に子供騙してでガッカリした記憶があります。

本作最大の罪は“パラノーマル・アクティビティ”の邦題をまったく関係ない映画につけられ、劣化版の類似作品を生み出した事でしょう。

REC/レック・シリーズ

スペイン発のPOV方式の低予算ゾンビ映画。

本作は低予算最大のごまかし要素をフル活用する作品。

  • 限られた狭い空間
  • 明かりがほとんどない暗闇
  • そして、POVの限られた視野

これを最大限に使って簡単なゾンビ映画を作っています。

2作目まではPOV方式だが、なぜか3作目の『REC レック3/ジェネシス』から普通の映画になりました。

ですが、3作目の主人公を演じたレティシア・ドレラはとても魅力的です。

結婚式をゾンビにぶち壊された主人公がキレて、ウェディングドレスでチェーンソーを振り回す姿はなかなか良かった。

クローバーフィールド/HAKAISHA

今度のモキュメンタリーは怪獣映画となる。

まさかの怪獣映画であるが、それを巧みな宣伝によって世界中でヒットを記録。

当然、期待値を上げて鑑賞したが、蓋を開けてみればガッカリというオチ。

本作はとにかく、宣伝が上手かったという印象が強かったです。

ダイアリー・オブ・ザ・デッド

時代の流れはついにゾンビ映画の巨匠、ジョージ・A・ロメロを呑み込む。

ロメロ監督の新作と聞いて楽しみにして鑑賞したら、まさかのPOV方式で驚きとともに落胆してしまいました。

興味本位で撮ったのかもしれないが、いつも通りで良かったのです。

巨匠する呑み込んだPOVは本当に罪深いです。

ロメロ監督は失敗を感じ取ったのか、続編となった『サバイバル・オブ・ザ・デッド』は普通の神視点に戻りました。

モンスターズ/地球外生命体

今度はついに宇宙からの侵略者がPOVにやって来る。

本作はイギリス製作なので、ハリウッドと違って終始に渡って地味です。

地球外生命体もチラッと出てくる程度で、あくまで主人公の二人によるロード・ムービーのような感じでした。

しかし、監督を務めたギャレス・エドワーズは大出世しています。

長編映画は本作だけなのに、『GODZILLA/ゴジラ』の監督に抜擢され、更に『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の監督まで務めるまでに。

まとめ

このようにPOV方式は多くの罪を落としてきた撮影方法です。

あくまで個人的に大嫌い(三回目)なので、自然と辛辣なコメントになります。

POV映画を鑑賞するぐらいなら、邦画を鑑賞するほど嫌いなのです。

しかしながら、低予算映画、ホラー映画と親和性が非常に高いので、今後も多くの罪深き作品が大量に生み出されると思います。

今までPOVの秀作に出会った事がないので、もしかすると、その考え方を改める日がやって来るかもしれません。

それまでは罪深き作品たちを見守っていくしかないでしょう。