キング・オブ・トロール/勇者と山の巨神 RE-2919

作品紹介

公開年月  2017/11/29
ジャンル  ファンタジー/アドベンチャー
原作  なし
監督  ミケル・ブレネ・サンデモーセ
脚本  アレクサンダー・カークウッド・ブラウン、エスペン・イェーガー
製作  アシルド・ランボルグ、チェラ・ホースダル
製作国  ノルウェー
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

19世紀半ばのノルウェー、貧しい家庭に育つ三人兄弟の末っ子エスペンは、冒険心が強く心優しい17歳の男子。
一方、王国の宮殿では勝ち気で聡明なキリステン王女が彼女の意思に反して、イケメンで悪賢いシグール王子と結婚する事になっていた。
政略結婚に納得できない王女は宮殿を抜け出し、森の中でエスペンに出会うが、「山の魔王」と呼ばれるトロールによってキリステンは連れ去れるのだった。

登場人物&出演者

エスペン(演:ヴェビヨルン・エンガー)
三兄弟の末っ子。ドジで失敗ばっかりしている。伝承には詳しくトロールの存在を信じる。
ヴェビヨルン・エンガーは代表作に『Kompani Orheim』、『Battle』などがあります。
買い物の帰り道でキルステンに食べ物をあげ、留守番している時に家を全焼させてしまう。
父親から勘当されると老婆を助け出し、魔法の地図を手に入れてキリステン探しを開始する。
主人公補正を容赦なく発揮してピンチもほとんどなく、剣を手にしてキリステンを助ける。
最後はトロールを太陽の光で石化させ、キリステンの両親から報酬をもらって家を建て直す。

キリステン王女(演:エイリ・ハーボー)
ヒロイン。田舎の王国の王女で18歳になろうとした時、フレデリク王子が結婚を申し込んだ。
エイリ・ハーボーは代表作に『THE WAVE/ザ・ウェイブ』、『テルマ』などがあります。
最初からフレデリック王子が気に入らず、結婚式を前に逃げ出してエスペンに出会う。
当てもなく逃げていた時にトロールに捕まり、彼が棲んでいる洞穴で囚われの身になる。
パールが連れて来られると、エスペンが助けに来てくれるとなぜか信じて疑わなかった。
最後はエスペンの活躍で助け出され、その後も家を建て直している彼らのところに来ていた。

ペル(演:マッツ・ショーゴード・ペテルセン)
三兄弟の長男。しっかり者で父親の言う事を守る。保守的で冒険的なエスペンの行動を嫌う。
マッツ・ショーゴード・ペテルセンは代表作に『アサイラム・バスターズ』、『CAVE/ケイヴ』などがあります。
買い物がロクにできず、家を全焼させたエスペンに呆れて、出来損ないと口にしていた。
森の醜女に食われそうになった時、エスペンが助けて見直すもフレデリクに逆らう彼を叱る。
地図をフレデリクに渡そうと向かうが、取引に当然応じず何もできずあっさりと捕まった。
最後はトロールの洞窟でパールたちを救出すると、エスペンのおかげで助かって家に帰った。

パール(演:エリアス・ホルメン・ソーレンセン)
三兄弟の次男。太っちょだがしっかりしている。失敗ばっかりのエスペンを許している。
エリアス・ホルメン・ソーレンセンは本作が長編映画デビュー作となります。
買い物もできず、家を全焼させてしまったエスペンに怒らず、ただ目の前の光景に悲しむ。
王女を探すべくペルと行動するが、助けてくれたエスペンを出迎えて隠した金で食事をする。
ペルの説得で地図をフレデリクに渡そうとして捕まってしまい、次にトロールが来て捕まる。
最後はフレデリクがウソをついているとキリステンに教え、エスペンのおかげで助かった。

三兄弟の父親(演:ソルビョルン・ハール)
森の中で三兄弟を育てる父親。妻を亡くしていて、彼女の遺影をずっと大切にしていた。
ソルビョルン・ハールは代表作に『誰でもない女』、『ラスト・キング/王家の血を守りし勇者たち』などがあります。
自分とペルとパールが一生懸命働いる中、マトモに買い物できないエスペンを許した。
狩りから帰ると家が全焼していて、その犯人であるエスペンを当然のように勘当してしまう。
最後は王女を救ったエスペンを優しい気持ちで迎え入れ、家を建て直す作業に取りかかる。

グンナー(演:アーサー・ベリング)
フレデリク王子に従う家来三人衆の一人。家来の中で一番若くてボウガンを持っている。
アーサー・ベリングは代表作に『15歳、アルマの恋愛妄想』、『クラッシュゾーン』がある。
三人衆の中では比較的無口で頼りないが、唯一ボウガンを使うとして役割を果たしている。
逃げていたエスペンたちにボウガンの矢を放つも外れ、フレデリク王子から怒られていた。
最後は襲撃してきたトロールから逃げ出すが、見つかってしまい、なぜか殺される事になる。

ヴェル=ジャン(演:アントニオ・デ・ラ・クルーズ)
フレデリク王子に従う家来三人衆の一人。家来の中で最も巨漢だが頭はあまり良くない。
アントニオ・デ・ラ・クルーズは代表作に『El clan』、『The Invocation of Enver Simaku』などがあります。
キリステン王女での挨拶の時にフレデリク王子の邪魔をするなど、あまり考えていない。
酒場で反抗したエスペンを捕まえるが、ペルとパールの連携によって倒されてしまう。
最後は襲撃してきたトロールから逃げ出すが、見つかってしまい、なぜか殺される事になる。

クリスティアン(演:ロバート・スカイスター)
フレデリク王子に従う家来三人衆の一人。家来の中では最もフレデリク王子の信頼を持つ。
ロバート・スカイスターは代表作に『リトル・パイレーツ/セイバートゥース海賊団と黄金の国』などがあります。
キリステン王女の国で王たちに小難しい言葉で挨拶していた王子に簡単な言葉を勧めていた。
森の中で一度解放したエスペンたちを酒場で見つけると、すぐに王子へ知らせていた。
襲撃してきたトロールから上手く逃げ出し、木の上に避難していた王子に声をかけていた。
最後はやって来たトロールの囮として王子に落とされ、なぜか殺される事になった。

フレデリク王子(演:アラン・ハイド)
都会にある王国の王子。田舎の王国の王女キルステンと結婚する為にワザワザやって来た。
アラン・ハイドは代表作に『モンスター・フィールド』、『ウィッチ・アンド・ドラゴン/秘密が見える少女』などがあります。
キリステン王女には一切の愛情がなく、あくまで彼女の所有している土地を狙っている。
トロールの伝承を信じないが、エスペンの持っていた魔法の地図を奪おうと力ずくで説得。
エスペンたちを捕まえて魔法の地図を奪うが、トロールに襲われて逆に捕まってしまう。
最後はエスペンたちと逃げるも一人だけ隠れるが、森を抜けられず醜女たちの罠にかかる。

感想

個人的な評価

本作はノルウェー本国で記録的な大ヒットとなった作品です。
監督は北欧伝説を描いた『ラグナロク』のミケル・ブレネ・サンデモーセが務めています。
物語の展開としては王道的なファンタジーであり、ダメな主人公が旅を通じて大きく成長するというタイプです。
ただ、主人公はダメというレベルを超えており、兄弟や父親に多大な迷惑をかけている。
しかし、本作では主人公補正がかなり効力を発揮しているので、何をしても最後は一人勝ちみたいな感じになる展開でした。
保守的な長男と弟を許す次男たちは堅実に生きるが、なぜか三男の主人公だけが特別な存在になっています。
結局、三兄弟にしても主人公である三男を引き立てるだけの為にいる長男と次男がなんだか不憫に感じてしまった。
それでいて、予想通りに三男を中心にして王女をトロールから助け出し、たっぷりの褒美をもらう事で家を建て直します。
なぜか一瞬しか会っていない王女がエスペンに惚れていて、なぜか彼が必ず助けに来ると信じているというご都合主義が鼻につきます。
唯一、トロールを倒せるはずの剣もほとんど役に立たず、手に入れる為には沼にいる恐ろしい怪物を倒さないといけない。
しかし、主人公が沼に偶然たどり着くと剣をあっさり見つけ出し、沼の怪物は倒されるシーンすらなく簡単に入手してしまう。
この手の主人公補正は説得力に欠けるどころか、すべては主人公の為にお膳立てしているストーリーは個人的に一番嫌いなのです。
主人公に充分な魅力と挫折があればいいけど、本作の主人公は家族の食べ物を他人にほとんどあげて、家を燃やしても言い訳して反省をしない。
それなのにみんなが彼に頼っているのは、あまりにもご都合主義すぎて気持ち悪い感じです。
どうしても個人的な嫌悪感が強すぎたせいもあって、本作は本来ならそれなりに楽しめるけど、残念ながらずっと退屈な時間でした。
ただし、さすがに北欧の自然はとても美しく、それだけが唯一良かったです。