プリデスティネーション RE-2342

作品紹介

公開年月  2014/03/08
ジャンル  SF/サスペンス
原作  ロバート・A・ハインライン 『輪廻の蛇』
監督  マイケル・スピエリッグ、ピーター・スピエリッグ
脚本  マイケル・スピエリッグ、ピーター・スピエリッグ
製作  パディ・マクドナルド、ティム・マクガハン、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

1970年11月6日のニューヨーク、場末のバーに現れた青年ジョンは、バーテンダーの男に自ら数奇な身の上を語って聞かせる。
青年の告白に同情したバーテンダーは、ある事を条件に彼への復讐のチャンスを与えると提案し、二人で7年前へとタイムスリップする。
そのバーテンダーは未来から来た時空警察のエージェントだという。
彼は1970年のニューヨークで市民を震撼させている連続爆弾魔フィズル・ボマーの犯行阻止を最後のミッションと決め、引退する自分の後釜にジョンを据えようとしていたのだった。

登場人物&出演者

バーテンダー(演:イーサン・ホーク)
航時局員。バーテンダーは仮の姿で実は時空警察。バーを訪れたジョンの半生を聞く。
イーサン・ホークは近年の出演作に『ボーン・トゥ・ビー・ブルー』、『ドローン・オブ・ウォー』などがあります。
当初はバーテンダーとしてジョンの話しを聞くが、その正体が分かると意味が分かってくる。
すべてを知っている人物であり、目の前で迷っているジョンを導いていくのです。
そして、彼自身が知らない未来に立った時、決断を迫られる場面での容赦ない答えも印象的。
さすがに演技派という事もあって、きちんと引きつけてくれています。

ジェーン/ジョン(演:サラ・スヌーク)
天涯孤独の女性で男性。孤児院施設で育ったが、人と違う事で他人とは距離を置いている。
サラ・スヌークは代表作に『スリーピングビューティー/禁断の喜び』、『ジェサベル』などがあります。
最初はジョンとしてバーに登場して、バーテンダーと酒一本を賭けて面白い話しをする。
その面白い話しはジョン自身の半生であり、そこから語られる彼の経験は非常に重々しい。
ジョンの過去話しから登場するジェーンを演じている時でも別人のように見えます。
特に印象的だったのは、ジェーンがジョンになると練習している時、それでもジェーンである事に涙を流すシーンは良かった。

ロバートソン(演:ノア・テイラー)
航時局の責任者。様々な時代に登場して、航時局のスカウトをする人物である。
ノア・テイラーは代表作に『トゥームレイダー』、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』などがあります。
ジョンにとって真実を知る人物として登場し、それはバーテンダーにとっても重要人物。

感想

個人的な評価

ロバート・A・ハインラインの短編小説が基になった作品。
監督と脚本は双子の兄弟であるマイケル&ピーター・スピエリッグが務めている。
原作者のロバート・A・ハインラインは世界三大SF作家の一人として知られています。
実写映画化された作品では『スターシップ・トゥルーパーズ』があります。
スピエリッグ兄弟は本作が四作目となっていて、前作は『デイブレイカー』です。
その『デイブレイカー』にはイーサン・ホークが出演し、本作はスピエリッグ兄弟と組むのは二本目となっている。
本作はタイムスリップをテーマにしているが、内容はバリバリのSFという感じじゃない。
その前にあるのは、バーテンダーを演じるイーサン・ホークが目をつけたジョンであり、ジェーンである一人の人間の物語。
ジョンが語る自身の半生は何かと報われないモノだという事、それに加え、更なる仕掛けが施されています。
イーサン・ホークが時空警察という役なので、てっきりアクション要素満載の作品だと思っていました。
しかし、本作は中盤までバーで物語がずっと動かず、思っていたSF映画と違っていた。
ようやく動き出すクライマックスでは、それまで積み重ねたジョンの話しがすべて伏線になっていたのが分かってくる。
とにかく、本作は序盤から中盤までの話しが後半で繋がってくるのが面白い作品。
本作は一度鑑賞しただけではその良さが分からないと思います。
一度鑑賞した後、本作はもう一度最初から鑑賞してから、丁寧に張られた伏線がブラッシュアップされている事が分かります。
そして、本作でイーサン・ホーク以上に目立っていたのはサラ・スヌークです。
本作ではバーに登場したジョンを演じ、その会話から出てきたジェーンも演じている。
二役を演じたサラ・スヌークは輝かしい未来をみるジェーン、人生に絶望したジョンを上手く演じきっています。
その表情は同一人物とは思えないほど、まったくの別人のように見えてしまうのです。
サラ・スヌークは本作で初めて観た女優だが、どこか若い頃のジョディ・フォスターやレオナルド・ディカプリオに似ています。
もちろん、イーサン・ホークは演技派として上手く立ち回っていて、本作においてしっかりと土台を支えています。
本作は二度観るべき映画であり、それで初めて面白さが分かる作品だと言えます。