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皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ RE-2688

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ RE-2688

作品紹介

公開年月  2016/06/25
ジャンル  アクション/犯罪
原作  なし
監督  ガブリエーレ・マイネッティ
脚本  ニコラ・グアリャノーネ、メノッティ
製作  ガブリエーレ・マイネッティ
製作国  イタリア
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

貧困と暴力が蔓延るローマ郊外の荒廃した街で、盗みを働いてその日暮らしの孤独なチンピラのエンツォ。
ある日、エンツォは警察に追われると、逃げる為に川へ飛び込むが、そこは放射線で汚染され、鋼の肉体と超人的パワーを手に入れてしまう。
最初はスーパーパワーを悪事に使っていたが、ひょんな成り行きから唯一の友人セルジョを殺したギャングのボス、ジンガロから彼の娘アレッシアを守る事になるのだった。

登場人物&出演者

エンツォ(演:クラウディオ・サンタマリア)
主人公。チンピラ。物を盗んでセルジョに売って生活費を稼ぐクソみたいな毎日を過ごす。
クラウディオ・サンタマリアは代表作に『007/カジノ・ロワイアル』、『ジョルダーニ家の人々』などがあります。
スーパーパワーに気づいてからは、正義の為ではなく、自分の為にしか使わず犯罪を重ねる。
動画サイトでは“スーパー・クリミナル”と呼ばれ、ジンガロに目をつけられてしまう。
正体がバレてジンガロがスーパーパワーを欲し、アレッシアが犠牲になり呆然とする。
最後はアレッシアの言葉を思い出し、悪事を働くジンガロを撃退して人々を救うヒーローに。

アレッシア(演:イレニア・パストレッリ)
ヒロイン。セルジョの娘。ロボットアニメの『鋼鉄ジーグ』にハマっている。
イレニア・パストレッリは代表作に『Niente di Serio』、『Benedetta follia』がある。
基本的な会話は『鋼鉄ジーグ』に登場する用語を使っていて、知らない人は意味が分からず。
セルジョが行方不明となり、ブツを探そうとジンガロたちが来て暴れるがエンツォが止める。
それ以来、なぜかエンツォと一緒にいて、次第に心と体を許して彼にとって大きな存在に。
最後はジンガロのせいで重傷を負い、エンツォにスーパーヒーローになってと言い残し死亡。

セルジョ(演:ステファノ・アンブロジ)
エンツォ唯一の友人。ジンガロの部下。アレッシアの父親だが、娘に性的暴行をする。
ステファノ・アンブロジは代表作に『Gallo cedrone』、『Una gita a Roma』があります。
妻が死んでから娘がおかしくなり、マトモに会話ができない状態で苦労していた。
ジンガロからブツの受け渡しをするべく、エンツォを連れて行くが運び屋の一人が死ぬ。
最後はもう一人の運び屋を脅すが、逆に銃を取られてしまい、その場で射殺された。

リッカ(演:マウリツィオ・テゼイ)
ジンガロの相棒。部下のように扱われるが、立場としては同等だと本人はキッパリと公言。
マウリツィオ・テゼイは代表作に『Kiss Me Lorena』、『Il contagio』などがあります。
帰ろうとした取引相手を怒りに任せて撲殺した時は呆れて、その場から立ち去った。
セルジョは行方不明となり、ブツが届かないと知って代償となる金の借金をジンガロに進言。
それでも無視されてしまうと、もうついて行けないと言ってボスになって借金しに行く。
最後は30年来の友人だったジンガロの静かな怒りで、凶暴な犬を解き放たれて食われて死亡。

タッツィ(演:ダニエーレ・トロンベッティ)
ジンガロの部下。体格が良く無口。いつもジンガロの側にいて最も信頼されている。
ダニエーレ・トロンベッティは代表作に『The Stalker』、『La fuga』などがあります。
強盗する前にノリノリになるジンガロに合わせて、歌い出すなど似たような性格をしている。
ヌンツィアの襲撃を受けて唯一無傷で生き残り、エンツォの力を手に入れるべく手伝う。
最後はアレッシアの反撃で編み物の針で首を刺され、そのまま倒れて呆気なく死亡した。

ヌンツィア(演:アントニア・トゥルッポ)
ジンガロの取引相手。別のギャングの女ボス。ジンガロを見下しているが取引をしている。
アントニア・トゥルッポは代表作に『まっさらな光のもとで』、『切り離せないふたり』などがあります。
誕生日のパーティではジンガロが熱唱していたが、それを見て少し引いた感じを見せる。
ジンガロと取引していたブツは届かず、金を用意していた彼を脅すも銃撃戦になって逃げる。
報復の為にエンツォを脅していたジンガロを追いつめ、火炎放射器で焼き殺そうとした。
最後はスーパーパワーで復活したジンガロにアジトを襲撃され、背骨を折られて死亡した。

ジンガロ(演:ルカ・マリネッリ)
ギャングのボス。潔癖症で気に入らない事があると、誰も止められずに暴走してしまう。
ルカ・マリネッリは代表作に『ニーナ/ローマの夏休み』、『グレート・ビューティー/追憶のローマ』などがあります。
注文したスマホの色が違うだけで、関係ない取引相手をその場で怒りに任せて撲殺する。
その無計画な行動で相棒だったリッカに見放されるが、犬を放って30年来の友人を殺害する。
超人的な力を持つエンツォに目をつけ、アレッシアを人質にしてスーパーパワーを手にする。
最後はスタジアムを爆破しようとするも、エンツォの活躍で逆に自分が爆発四散して死亡。

感想

個人的な評価

本作は永井豪原作のSFロボットアニメ『鋼鉄ジーグ』をモチーフにした作品。
イタリアでも放映された人気アニメであり、本作のヒロインもファンの一人となります。
更にイタリアのアカデミー賞である『ダヴィッド・デイ・ドナッテロ賞』では最多16部門にノミネートされ、最多7部門で受賞しています。
『鋼鉄ジーグ』は日本では1975年10月5日から1976年8月29日まで放映されていました。
残念ながら『鋼鉄ジーグ』というロボットアニメは初耳でしたが、どうやらイタリアでは人気を誇っていたようです。
日本のアニメが海外でヒットするのは今にも始まった事じゃないが、製作側はかなりの影響を受けているだろうと思います。
そんな本作の主人公はヒーロー然としてような人物ではなく、チンピラのようなクズで孤独なオッサンとなります。
日本ではイケメンでモテモテ、運動は当然で勉強もできる上に金持ちだが、なぜか人助けを惜しまない人がスーパーヒーローというパターンが多い。
しかし、本作の主人公は正反対とも言えるキャラクターであり、スーパーパワーを手に入れても自分の為だけにしか使わない。
普通なら悪役のような感じだが、そこで唯一の友人だった男の娘と出会った事で考え方が変わっていくというストーリー。
本作の主人公が手に入れるスーパーパワーというのは怪力と頑丈な体で、これはルーク・ケイジというマーベルのキャラクターに近い。
物語の大半はクズである主人公の生活を見ていく感じだが、ヒロインとの出会いで徐々に考え方が変わって、最後にはスーパーヒーローになっていきます。
さすがに本作は子供向けの内容ではなく、社会の底辺を生きている主人公と、父親から虐待を受けて精神的におかしくなったヒロインの歪な関係が特殊だと言えます。
ハッキリ言って、ロボットアニメの『鋼鉄ジーグ』とは内容がまったく違うのだが、弱き者を守る正義のスーパーヒーローの例えとして使われています。
もちろん、こういうスーパーヒーローを扱った映画には悪役がいて、結局は主人公と同じスーパーパワーを手に入れるも倒される。
やっている事は王道的なスーパーヒーローの誕生物語だが、そこにイタリアンな毒気が入っている感じとなります。
簡単に言ってしまえば、主人公は「泥臭い」感じで、アベンジャーズのように洗練されていないし、性格だって元はチンピラでクズだから決して褒められる人間じゃない。
ですが、大切な人を失ったからこそ、正しい事をやろうという気持ちになり、スーパーヒーローの道を歩んでいく主人公でした。
個人的には数々のアメコミ原作映画を観てきたが、本作は泥臭い以外のオリジナリティが弱かったせいで、そこまで素晴らしいという印象はなかった。
あまりにもヒロインがマトモに会話ができないせいもあって、主人公との関係性が薄っぺらに感じてしまったのだろうと思います。
もう少し二人の親密な仲のエピソードを入れて、ワケの分からない事を発するヒロインの性格をマトモにすれば、もっと感動があっただけに残念でした。

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