ライズ・オブ・シードラゴン/謎の鉄の爪 RE-3088

作品紹介

公開年月  2014/08/02
ジャンル  アクション/アドベンチャー
原作  ロバート・ファン・ヒューリック 『ディー判事』シリーズ
監督  ツイ・ハーク
脚本  ツイ・ハーク、チャン・チァルー
製作  ツイ・ハーク、チェン・クォフー、ほか
製作国  中国、香港
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

西暦665年、唐朝末期、皇帝の高崇と皇后の則天武后が敵国に送り出した10万の水軍が、何者かの襲撃を受けて全滅してしまう。
それは“海の神・龍王”の仕業との噂が広まり、その怒りを鎮める為に若い女の人身御供が必要としていた。
花の都・落陽を訪れていた判事ディー・レンチェはある時、美しい花魁インの誘拐事件に巻き込まれ、やがて彼女を掠おうとした異形の怪物の正体へと迫っていくのだった。

登場人物&出演者

ディー・レンチェ(演:マーク・チャオ)
主人公。優れた読心術と記憶力を持つ。イェン尚書の推薦で大理寺の任に就く為に落陽へ。
マーク・チャオは代表作に『モンガに散る』、『ウォリアー・ゲート/時空を超えた騎士』などがあります。
町中で賊たちがインの誘拐計画を推理し、直前に駆けつけて阻止して怪物を目撃する。
インが唐と開戦している国の出身だと知り、ユエンの毒についても知って阻止しようとする。
ユーチを説得して陛下や皇族の命を助け出し、唐を転覆させようとしたフォ・イーを追う。
最後は東島でチェン・アンを倒し、ユーチとともにフォ・イーや巨大な海の怪物を倒した。

・シャトー・チョン(演:ケニー・リン)
新人医官。宮廷侍医のワン・ボーの弟子。戦争で家族を失ってしまい、罪人の治療を担当。
ケニー・リンは代表作に『グレートウォール』、『修羅の剣士』などがあります。
大理寺に捕まっていたディーに目をつけられると、事件解決の為に協力する事となる。
怪物と化したユエンがインと会う時に触診して、その原因が「蠱」だと解明させる事に。
ユエンを治療する為に師匠であるワン・ボーの元に行くと、なんとか説得して協力をさせた。
最後は東島に乗り込んでフォ・イーを倒す現場にいて、巨大な海の怪物を倒す手伝いをした。

ユーチ・ジェンジン(演:ウィリアム・フォン)
大理寺の司法長官。則天武后が送り出した水軍が何者かに全滅させられた事件の調査をする。
ウィリアム・フォンは代表作に『太極(TAI CHI)』シリーズ、『おじいちゃんはデブゴン』などがあります。
加えて町中がインの行列に魅了された事を則天武后に問い詰められるが、管轄外と説明する。
インが賊によって誘拐されそうになり、怪物を見かけるも取り逃し、ディーを牢に捕らえる。
調査までの期限が迫ろうとして、原因を究明したディーの力を借りてフォ・イーを追う。
最後は東島に乗り込んでフォ・イーをディーとの連携で倒し、巨大な海の怪物も始末した。

イン・ルイジー(演:アンジェラベイビー)
官伎。落陽で花魁にも選ばれている絶世の美女。太常寺の意向で龍王廟で三年勤める事に。
アンジェラベイビーは代表作に『ロスト・レジェンド/失われた棺の謎』、『封神伝奇/バトル・オブ・ゴッド』などがあります。
大掛かりな行列を組んで落陽に来て、龍王廟で賊に融解されるもディーに助け出される。
ユエンの治療をするワン・ボーの元に行くと、そこでディーに開戦中の国出身だと知られる。
ワン・ボーの薬に賭ける効果が出ず、処刑される寸前にシャトーと駆けつけて助命する。
最後はディーやユーチたちの活躍で助命され、治療して元に戻ったインとともに旅へ出た。

ユエン・ジェン(演:キム・ボム)
落陽の朝廷御用達である茶屋の子息。高官も虜にするインと心を通わせて詩を交換した。
キム・ボムは代表作に『サイコメトリー/残留思念』、『朝鮮名探偵/鬼<トッケビ>の秘密』などがあります。
体が悪くしばらく姿を現さなかったが、龍王廟に来たインの前に怪物となって再会を果たす。
「蠱」によって体が怪物に変化していき、インすら認識できなくなって治療を受ける。
ワン・ボーの治療で一時的に毒を抑えられると、ディーたちに何が起きたか話し出した。
最後はワン・ボーの治療が成功して、顔にわずかなウロコを残してインとともに旅へ出た。

ワン・ボー(演:チェン・クン)
宮廷侍医。シャトーの師匠。異国人が多くいる町に住む。なぜか左手を猿と交換している。
チェン・クンは代表作に『小さな中国のお針子』、『ロスト・レジェンド/失われた棺の謎』などがあります。
シャトーを落陽の医官に送り出したのは新たな左手を付ける為で、それまで帰りを認めず。
一緒にやって来たインの左手を気に入るが、怪物となったユエンに興味が移っていく。
ユエンの毒が「蠱」だと判明して治療していき、陛下や皇族たちの治療薬を作り出した。
最後はフォ・イーが操っている巨大な怪物を倒すべく、エサとなる魚に大量の毒を盛った。

則天武后(演:カリーナ・ラウ)
皇后。敵国に送った10万の水軍が何者かに全滅させられ、大理寺のユーチに調査を命じる。
カリーナ・ラウは代表作に『インファナル・アフェア』シリーズ、『2046』などがあります。
期限が迫っていた中でディーがワン・ボーの薬で「蠱」の正体を暴こうとして説得を受ける。
皇族の症状が現れて陛下にも「蠱」があると知って、ディーを助命して治療をさせた。
インが敵国の者だと知って捕らえるが、ディーたちが東島を討伐する条件で助命すると約束。
最後はディーとユーチたちが東島の討伐に成功し、仕方なくインを解放して約束を守った。

チェン・アン(演:チャオ・スーリン)
大理寺で門番を務めている柄の悪い男。大理寺に就任してきたディーの経歴を読み上げる。
チャオ・スーリンは本作が長編映画デビュー作となります。
新人であるディーを見下していて、当たり前のように心付けを迫ったが無視されてしまう。
門番として何事も見ていて、フォ・イーの内通者として大理寺の情報を流していた。
朝廷の身分に対して不満を持っていて、フォ・イーが爵位を約束した事で彼に付いていた。
最後は東島でディーと対決するが、口に毒虫を入れられて呑み込んでそのまま死んだ。

フォ・イー(演:ドン・フー)
東島を束ねる頭目。落陽では医官に成りすまし、陛下を含めた皇族たちの命を狙っている。
ドン・フーは本作が長編映画デビュー作となります。
朝廷御用達の茶屋の子息であるユエンに「蠱」を盛り、献上する茶を作らせていた。
ユエンが逃げ出してしまうと、会いに行くだろうインの誘拐を企むもディーに邪魔される。
ようやくユーチにも正体がバレてしまうと、東島に退散して両者を迎え撃つ事になる。
最後は崖でディーたちを追い詰めるが、ユーチとの連携の前に敢えなく敗れ去った。

感想

個人的な評価

本作はロバート・ファン・ヒューリックのディー判事を主人公にした探偵小説シリーズの実写映画化第二弾となります。
前作と同様に監督、共同脚本、製作にツイ・ハークが続投するが、主人公のディー判事がアンディ・ラウからマーク・チャオに替わっています。
シリーズの二作目となっているが、物語としては一作目の前日譚という立ち位置となります。
当時の中国映画史上で最高の製作費であり、約96億円のメガヒットを飛ばした作品です。
中国版『シャーロック・ホームズ』と言われているが、基本的に中国的なアクションがメインとなっています。
これも前作とまったく同じであり、ディーは推理というよりも読心術や驚異的な記憶力で辻褄を合わせているだけです。
更に前作と同じような登場人物の配置となっていて、なんだか既視感たっぷりの展開と構成のように見えてしまった。
さすがに本作はツイ・ハーク監督が演出しているだけに、単なる推理映画じゃなく、あの『シャーロック・ホームズ』よりも派手な内容になっている。
前作から続投しているのは則天武后を演じるカリーナ・ラウだけで、相変わらずディーたちの仕事をすぐに理解しない堅物として君臨する。
それに加え、敵国の者であるインの素性を知ると、命を賭すディーの気持ちすら無視する傲慢ですぐに殺したがる性格が良く出ています。
内容はまさに近年の金をかけた中華ファンタジーで、荒唐無稽な内容よりも純粋にアクションだけを楽しめればいいという感じです。
あまり深く内容について考えると、色々と整合性や矛盾が生まれてくるので、ツイ・ハーク監督らしく何も考える必要がない作品でした。
本作ではイケメンが多く登場しているけど、やっぱり、なんと言ってもヒロイン的な立場だったアンジェラベイビーの存在が非常に大きかったです。
珍しく主人公のロマンスがない物語であったが、怪物となった恋人を思うヒロインという意味でハッピーエンドを迎えて二人が旅立った姿は美しいと感じさせてくれました。