アス VD-351

作品紹介

公開年月  2019/03/22
ジャンル  ホラー
原作  なし
監督  ジョーダン・ピール
脚本  ジョーダン・ピール
製作  ジョーダン・ピール、イアン・クーパー、ほか
製作国  アメリカ
鑑賞方法  動画配信サービス

あらすじ

幼い頃にふと迷い込んだ遊園地のミラーハウスで自分とソックリな少女に遭遇したという恐怖体験がトラウマとして残るアデレード。
今は夫と二人の子供たちと幸せな暮らしをするアデレードは、幼少期に住んでいた家を訪れるが、ある出来事をきっかけにかつての恐怖が甦ってしまう。
その夜、家の前にアデレードを含めた家族たちとソックリな4人家族が現れると、突如として襲われるのだった。

登場人物&出演者

アデレード・ウィルソン(演:ルピタ・ニョンゴ)
主人公。幼少期に訪れた遊園地で自分と同じ姿の女の子を見たせいで失語症を患った。
ルピタ・ニョンゴは近年の出演作に『リトル・モンスターズ』、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』などがあります。
大人になって失語症を克服したが、その代わりにトラウマとして記憶に刻まれていた。
夏休みに幼少期を過ごした別荘に行くと、テザードと名乗るレッドたちの襲撃を受ける。
ジェイソンがレッドに連れ去られ、地下の世界に行くと過去の出来事を聞かされる。
最後はレッドをぶっ殺すが、自身がテザードだった事を思い出し、勝利に対して笑顔になる。

・ガブリエル・ウィルソン(演:ウィンストン・デューク)
アデレードの夫でウィルソン家の大黒柱。陽気で物事を深く考えない。ジョークが大好き。
ウィンストン・デュークは代表作に『ブラックパンサー』、『スペンサー・コンフィデンシャル』などがあります。
夏休みという事でアデレードの別荘に向かうが、トラウマを持つ彼女の過去を知らない。
呑気に古いボートを買って家族と楽しもうとするが、オンボロすぎて思い通りに動かない。
自分のテザードにケガを負わされるも倒し、友人のテザードもボートで倒していた。
最後はゾーラと救急車を見つけて治療し、帰ってきたアデレードとジェイソンを出迎えた。

ジェイソン・ウィルソン(演:エヴァン・アレックス)
ウィルソン家の長男。チューバッカのお面を被って、手品で使うライターで遊んでいる。
エヴァン・アレックスは長編映画デビュー作となります。
スマホに夢中なゾーラにいつもイタズラを仕掛け、何度もアデレードに怒られていた。
ビーチで勝手に歩き回ってしまうと、トラウマのせいでアデレードに心配されてしまう。
自分のテザードが同じ行動すると分かり、車を爆破する前に焼身自殺に導いていた。
最後はレッドに連れ出されるもアデレードに助けられるが、テザードである事を黙った。

・ゾーラ・ウィルソン(演:シャハディ・ライト=ジョセフ)
ウィルソン家の長女。陸上が得意だが選手にはならないと宣言。常にスマホを持ち歩く。
シャハディ・ライト=ジョセフは代表作に『ヘアスプレー/ライブ!』、『ライオン・キング/2019年版』などがあります。
別荘でWi-Fiが入らない事に文句を言うが、アデレードに我慢しろと言われてしまう。
いつものようにジェイソンのイタズラに振り回されるが、逆にお仕置きをして閉じ込める。
自分のテザードから走って逃げ出し、捕まったアデレードの為に他のテザードを倒した。
最後はガブリエルと救急車を見つけると、アデレードとジェイソンの帰りを出迎えた。

アブラハム(演:ウィンストン・デューク)
ガブリエルのテザード。言葉をしゃべる事ができず、大きな声で叫ぶだけしかできない。
レッドの指示で玄関から堂々と侵入し、オリジナルであるガブリエルの始末をしようとする。
ボートで湖を走行していたが、目を覚ましたガブリエルの反撃で水の中に突き落とされる。
最後はボートに上がるガブリエルを掴むが、動いたスクリューに切り刻まれて死亡した。

アンブラ(演:シャハディ・ライト=ジョセフ)
ゾーラのテザード。レッドから「化け物」と呼ばれる。生まれた時から笑顔を浮かべる。
常に不気味な笑顔を浮かべており、ゾーラと同じく走る事が得意で疲れを知らない。
逃げたゾーラを追いかけて息一つ切らさず、邪魔してきた他人をあっさりと殺した。
最後は車で逃げるウィルソン家の前に立つが、ゾーラの運転で吹き飛ばされて死亡した。

プルート(演:エヴァン・アレックス)
ジェイソンのテザード。顔を仮面で隠している。火遊びが好きで顔半分が焼け爛れている。
歩く時は四足歩行で壁すら登れる強さを持ち、常にマッチを持ち歩いて火をつけている。
短気ですぐにキレてしまうが、ジェイソンの手品のライターで驚いて逃してしまう。
最後は車を爆破しようとしたが、ジェイソンの動きにリンクして焼身自殺を遂げる事に。

レッド(演:ルピタ・ニョンゴ)
アデレードのテザード。長年に渡ってアデレードが恐れていた影。ずっと彼女を待っていた。
長年に渡って地下の世界に住んでいたが、地上へ出て復讐を遂げるようと計画を練っていた。
ウィルソン家の前に現れると、掠れた声で自分たちの存在について説明をしていた。
その正体は本物のアデレードであり、入れ替わったレッドに対して復讐をずっと抱いていた。
最後はジェイソンを連れ去れるが、地下に来たアデレードと戦うも返り討ちで殺された。

感想

個人的な評価

本作はデビュー作『ゲット・アウト』で「アカデミー脚色賞」を受賞したジョーダン・ピールの2作目となります。
アカデミー賞にもノミネートされる候補だったが、残念ながら外されてしまいました。
この作品がアカデミー賞にノミネートされる意味は一度の鑑賞では分かりません。
なぜなら、日本人には馴染みのない小ネタが散りばめており、よほどアメリカの歴史を知らないと分からないだろうと思います。
『ゲット・アウト』では人種差別がテーマだったが、本作は貧困がテーマになっています。
これもまたアメリカ社会における問題の一つで、本作に登場するレッドが率いるクローンの設定がメタファー的に表現されています。
だから一度だけの鑑賞ではジョーダン・ピール監督が描きたい事がすぐに分からず、じっくりと分析してから改めて鑑賞して分かっていきます。
『ゲット・アウト』ではスタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』を強く意識していましたが、本作でもクラシック映画を意識しています。
一つ一つを書き出していくと長くなるので割愛しますたが、どうしても知りたい人は解説しているサイトで確かめるといいだろう。
そんな玄人好みな構成になっている本作ですが、深くまで考えたくない人にとっても最後まで目が離せない展開だと思います。
とにかく、クローンたち「テザード」は非常に不気味であり、言葉をしゃべるレッド以外は動物みたいな叫び声というところも恐ろしく感じさせる。
ただ、本作をしっかりと楽しむならば、一度鑑賞してから解説を読んで、また鑑賞すればジョーダン・ピール監督の用意した小ネタを楽しめるだろうと思います。
個人的には設定にちょっとばかりムリがあって、テザードたちの動機やアデレードとレッドの入れ替わりについて驚くほどじゃなかった。
あれだけ風呂敷を広げた展開で世間がメチャクチャになったが、その根底にある理由は残念ながら納得ができなかったです。
あくまでメッセージを重要視した雰囲気が先行してしまい、細かいところの設定が雑になったせいで前作を超える衝撃はなかったです。