作品紹介
公開年月 | 2016/10/14 |
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ジャンル | サスペンス/アクション |
原作 | なし |
監督 | ギャヴィン・オコナー |
脚本 | ビル・ドゥビューク |
製作 | マーク・ウィリアムズ、リネット・ハウエル・テイラー |
製作国 | アメリカ |
鑑賞方法 | 動画配信サービス |
あらすじ
田舎町で小さな会計事務所を構える物静かな男、クリスチャン・ウルフ。
他人とのコミュニケーションに問題を抱える一方、数字に対して超人的な能力を発揮する彼は裏社会と繋がりを持ち、その仕事を請け負っていた。
そんな中、ウルフの元に大手メーカー『リビング・ロボ社』の財務調査の依頼が舞い込む。
しかし、経理担当デイナとともに使途不明金の解明に乗り出した矢先、調査は一方的に打ち切られ、その日から何者かに命を狙われる事になるのだった。
登場人物&出演者
・クリスチャン・ウルフ(演:ベン・アフレック)
主人公。会計士で殺し屋。裏社会と通じるが他人とのコミュニケーションの問題を抱える。
ベン・アフレックは近年の出演作に『ジャスティス・リーグ』、『夜に生きる』があります。
あくまで自分のルールに従い、他人とは一定の距離以上は親しくなれない障害を持つ。
言葉や行動は無骨に見えるけど、心の中では相手を助ける為に確実な方法を導いているだけ。
そんな他者との関係に不器用な一方で、殺し屋の腕はピカイチで狙撃はかなりの精度を誇る。
あくまで認めた人間以外は深く立ち入らない徹底したルールを最後まで貫いていました。
・デイナ・カミングス(演:アナ・ケンドリック)
ヒロイン。リヴィング・ロボティクス社の経理担当。昔から数字に興味を持っている。
アナ・ケンドリックは近年の出演作に『ウェディング・フィーバー/ゲスな男女のハワイ旅行』、『最高の家族の見つけかた』などがあります。
クリスチャンとは真逆の人間で、なんとかみんな和に溶け込みたかった過去を持つ。
最初に不正会計を発見し、CEOやCFOに提案するも、それが逆に命取りのなってしまう。
不正会計を知った事で暗殺者に狙われるが、クリスチャンのおかげで無事に逃げ出す。
クリスチャンと短い付き合いながらも認められ、ポロックの絵を譲り受ける事になった。
・レイ・キング(演:J・K・シモンズ)
財務省長官。部下であるメディナが経歴詐称が利用し、暗躍するクリスチャンの調査を依頼。
J・K・シモンズは近年の出演作に『パトリオット・デイ』、『ラ・ラ・ランド』がある。
過去に追っていた犯罪組織のボスをクリスチャンが殺し、捜査を台無しにされている。
捜査官として平凡だったが、良い父親だと知った彼から情報提供されて昇進した。
犯罪者であるクリスチャンは貴重な存在だと示し、自分の後継者であるメディナに託した。
・メリーベス・メディナ(演:シンシア・アダイ=ロビンソン)
商務省の分析官。過去に少年更生施設に入所していた事を隠して分析官になっていた。
シンシア・アダイ=ロビンソンは代表作に『コロンビアーナ』、『スター・トレック/イントゥ・ダークネス』などがあります。
長官であるキングにすべて知られていたが、ある男の素性を調査する事で公表を免れる。
当初は経歴詐称を免れる為に調査をしていたが、実はキングの後継者として選ばれていた。
犯罪行為をするクリスチャンの正体を突き止めるも、キングが手を打たない事に疑問を持つ。
だが、最終的にクリスチャンは必要悪だと悟り、キングの後継者を引き受ける事になる。
・フランシス(演:ジェフリー・タンバー)
ブラックマネーの神様。裏社会で金を洗浄してきた。口止めの為に殺されそうになっている。
ジェフリー・タンバーは代表作に『ヘルボーイ』シリーズ、『宇宙人ポール』があります。
警察の保護を受けて刑務所で服役するが、平凡な捜査官キングが彼を無視して釈放する。
その結果、すぐにマフィアが彼を見つけて散々拷問を加えて殺される事になった。
刑務所に服役していたクリスチャンとは同部屋で、ブラックマネーの基礎を叩き込んでいた。
クリスチャンは彼の敵討ちとして、マフィアの幹部全員抹殺する事となった。
・ブラクストン(演:ジョン・バーンサル)
雇われの殺し屋。世界各国で雇い主が有利になるような脅迫を仕掛けている。
ジョン・バーンサルは代表作に『フューリー』、『ボーダーライン』などがあります。
実はリヴィング・ロボティクス社のCEOであるラマーが雇い主でCFOを自殺に追い込む。
更に今後の資金洗浄の邪魔となるラマーの妹まで始末するなど仕事に躊躇いはない。
最後に正体がバレたラマーを守る為にクリスチャンの前に立つも弟だったというオチ。
行方知れずだった兄を探していた彼は殴るも、結局は和解して元の仲の良い兄弟に戻る。
・ラマー・ブラックバーン(演:ジョン・リスゴー)
リビング・ロボ社の社長。家族がおらず、会社こそが彼にとって唯一の家族だと言える。
ジョン・リスゴーは代表作に『愛と追憶の日々』、『猿の惑星:創世記』などがあります。
当初はクリスチャンに不正会計の調査を依頼するが、ワケあって態度を急変させる。
実は不正会計を意図的にやっていて、それによって資金洗浄をして自社株を買っていた。
それによって会社の価値を上げて利益をもたらしていたという事を突き止められる。
自宅へ乗り込んだクリスチャンを前にして事の重要性を語るもあっさりと片付けられる。
・ジャスティン(演:アリソン・ライト)
クリスチャンが幼少期に訪れたハーバー神経科学研究所の娘。同じく発達障害を持っていた。
アリソン・ライトは代表作に『私がクマにキレた理由』などがあります。
言語障害を患っていて言葉はしゃべれないが、代わりに高性能のパソコンで会話をする。
実はクリスチャンをずっとサポートしていたアシスタントで類い希なるハッカーでもある。
命がけの仕事をしているクリスチャンが施設に多額の寄付をしているのは彼女の存在による。
感想
個人的な評価
本作は印象として小説が原作だと思えば、今時珍しいオリジナル作品となっている。
監督を務めているギャヴィン・オコナーは『ウォーリアー』や『ジェーン』などで知られる。
そんな本作は完全なるオリジナルですが、原作付きの作品に負けない高い評価を得ている。
それで早速と鑑賞したが、まず主人公が高機能自閉症の持ち主というのが面白いです。
初めて聞いた「高機能自閉症」という障害は主に他者とのコミュニケーションに問題を抱えるのが最大の特徴と言えます。
本作の主人公であるクリスチャンは、どこか無愛想で他者と会話を楽しむ事をしません。
会計士なので当然のように顧客がいるけど、あくまで事務的に接するなど、フレンドリーとは対照的な立場を取っている。
しかし、冷たい態度に見えるが、それこそクリスチャンの普通であり、相談に来た農業を営む老夫婦を助けています。
会話にユーモアさがあるワケじゃなく、無表情で接するなど一見して冷たい人間に見えるけど、実は内面がとても繊細で完璧主義なのです。
大抵の場合だと、主人公の障害という設定だけでドラマ仕立てにするが、ギャヴィン・オコナー監督はそこにアクション性を加えている。
どう考えてもアクションとはほど遠い主人公の性格だが、このギャップが意外にも調和する。
ギャヴィン・オコナー監督の狙いと計算が見事にマッチしたキャラクターとなった。
更にその魅力的な主人公が歩むストーリーもきちんと組み立てられ、アクション方面の殺し屋はもちろん、サスペンス方面の会計士も成立させています。
つまり、本作は一度で二度おいしい作品になっており、上映時間が130分であっても構成を上手く組み立てているおかげで間延びはしない。
小出しに主人公の過去、その主人公の存在を突き止めるサイドストーリー、これが連動して最後には一体化する構成力は素晴らしいです。
そして、主人公を演じているベン・アフレックの曖昧な性格をしたキャラクターを上手く演じているのも大きいです。
躊躇いもなく確実に敵を殺していく殺し屋の一面、不器用な性格を持つ一面、会計士として謎を解いていく一面、すべてがかみ合っています。
何より評価したいのは安易なロマンスを入れず、主人公と不器用な父親の愛情表現を中心に置いたのも大きいと思います。
もし、本作でロマンスが展開していたら、完全に駄作へと落ちていただけに、そこら辺をギャヴィン・オコナー監督は理解していました。
昨今では様々なヒーローが登場しているが、本作のクリスチャン・ウルフはシリーズ化してもおかしくないぐらい面白い素材である。
あとは監督のギャヴィン・オコナーが調子に乗っておかしな設定を盛り込まなければ、本シリーズは成功すると思います。