ジェノサイド・ホテル RE-2984

作品紹介

公開年月  2018/11/13
ジャンル  サスペンス
原作  『ムンバイ同時多発テロ事件』
監督  リアム・ワーシントン
脚本  リアム・ワーシントン
製作  マレン・スミス、ジョエル・ハーゲン、ほか
製作国  オーストラリア、ネパール
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

休暇でインドのムンバイを訪れたショーンは、宿泊先の最高級のタージマハル・ホテルには様々な人種の人々が集まっていた。
ムンバイを楽しんでいたショーンだが、突然、爆発音と銃声が聞こえてくると、ホテルに武装した集団が無差別に攻撃を仕掛けてきた。
それは2008年11月26日に起きた「ムンバイ同時多発テロ事件」であり、ショーンはそれに巻き込まれてしまうのだった。

登場人物&出演者

ショーン(演:ジョセフ・マーラー・テイラー)
ムンバイには一人旅をしに来たイギリス人。祭りを楽しんで体中がペイントで色鮮やかに。
ジョセフ・マーラー・テイラーは本作が長編映画デビュー作となります。
ホテルに帰ってプールに飛び込むが、そこにはエダがいて、驚いた彼女が逃げるのを見た。
ヤーシーンたちがホテルでテロを起こすと、銃弾を受けたニマを助け他の生存者と合流する。
生存者の中で英雄的な行動を取りたがり、エダといい感じになるもセリムを怒らせて追う。
最後は部屋に戻るもテロリストたちが皆殺しにして、アティヤを見つけて撃たれても助けた。

ジョン(演:ジョセフ・J・U・テイラー)
最高級「タージマハル・ホテル」の宿泊客。一人で来ていたが、妻との思い出に浸る。
ジョセフ・J・U・テイラーは代表作に『29.08.1942』、『Harmony』などがあります。
トイレで指を洗って妻を思い出すと、テロが発生して爆発に巻き込まれて意識を失う。
倒れていたところでオズたちに助けられ、その後はショーンやエダたちと部屋で合流する。
テロリストたちが自殺して解放されたと知り、いつか子供を持ちたいという希望を語る。
最後はテロリストたちが部屋に来て、電話で存在がバレて為す術もなく皆殺しにされた。

アニー(演:ニコル・ファントル)
最高級「タージマハル・ホテル」の宿泊客。夫のオズとともに新婚旅行で訪れていた。
ニコル・ファントルは代表作に『クイーン・オブ・ヴァンパイア』、『スター・ウォーズ:エピソード2/クローンの攻撃』などがあります。
ムンバイでの祭りをオズと楽しんでいて、夜はホテルで激しく彼と愛し合っていた。
テロが発生すると部屋に隠れていたが、倒れていたジョンを見つけて中に運び込んだ。
途中で耐えきれずヒステリーを起こすが、落ち着いてからみんな謝罪して黙って待機する。
最後はテロリストたちが部屋にやって来て、電話の着信音で存在がバレて皆殺しにされた。

オズ(演:ネイサン・キー)
最高級「タージマハル・ホテル」の宿泊客。ユダヤ系ロック歌手で妻と旅行に来ていた。
ネイサン・キーは代表作に『ミュリエルの結婚』、『Wanted』などがあります。
ムンバイでの祭りをアニーと楽しんでいて、ホテルで熱い夜を過ごして充実していた。
テロが発生すると部屋に閉じこもっていたが、倒れていたジョンを見つけて運び出した。
なぜかジョンとヤンに敵意を向けるが、次第に打ち解けて解放されたと知り安堵した。
最後はテロリストたちが部屋に来てナイフで反撃するも通じず、結局は皆殺しにされた。

エダ(演:レイリー・オバーンズ・イングリス)
最高級「タージマハル・ホテル」の宿泊客。17歳の遊びたい盛りに部屋に閉じ込められる。
レイリー・オバーンズ・イングリスは本作が長編映画デビュー作となります。
何かとちょっかいを出す兄に文句を垂れ、外に出られないとして母親にも文句を言っていた。
テロが発生すると一緒に記者のクレアが取り乱し、警戒する中でショーンたちと合流した。
ホテルの電話でテロリストが自殺したと知り、大学の医学部への進学を心待ちにしていた。
最後はテロリストたちが部屋に来て、電話の音で居場所がバレて皆殺しにされてしまう。

クレア(演:マーテル・ハマー)
最高級「タージマハル・ホテル」の宿泊客。記者でエダとセリムの兄妹を部屋に匿う。
マーテル・ハマーは代表作に『A Dusty Town』などがあります。
あくまで危険な外に兄妹を出さないようにしたせいでエダの反発を招いてしまう。
テロが発生すると、自分たちが狙われている事を察知して、ヒステリックながら対処する。
ホテルの電話でテロリストが自殺したと知り、安堵に包まれてジョンやオズたちと談笑する。
最後はテロリストたちがまだいると分かり、電話が鳴って居場所がバレて皆殺しにされた。

セリム(演:イゴール・クレイマン)
最高級「タージマハル・ホテル」の宿泊客。エダの兄で部屋に閉じ込められても文句言わず。
イゴール・クレイマンは本作が長編映画デビュー作となります。
油断して眠っていると、いつの間にかエダがいなくなり、焦るクレアと一緒にホテルを探す。
テロが発生すると母親に連絡しようとしても繋がらず、ホテルの電話を使って場所がバレる。
ホテルの電話でテロリストが自殺したと知り、解放されるもエダとショーンの関係に怒る。
最後は部屋を飛び出して行ったが、テロリストに捕まってショーンの前で射殺された。

ニマ(演:ジャン・ラングフォード・ペニー)
最高級「タージマハル・ホテル」の宿泊客。随分前に夫を亡くして一人で泊まっていた。
ジャン・ラングフォード・ペニーは本作が長編映画デビュー作となります。
テロが発生して銃が乱射する中でなんとか逃げ出すが、お腹に銃弾を受けて倒れていた。
そこに逃げてきたショーンがやって来て、助けてもらいオズたちの部屋に避難した。
オズたちが持っていた鎮痛剤で急場凌ぎをしていたが、明らかに助からないと悟っていた。
最後は助けてくれたショーンに礼を言って、窓から見える朝日で笑顔を浮かべて死亡した。

ヤン(演:クェンティン・ユン)
最高級「タージマハル・ホテル」の宿泊客。中国人の会社員で他の会社との契約に来ていた。
クェンティン・ユンは代表作に『Life of the Party』、『Babyteeth』などがあります。
契約は思惑と違った方向に行ってしまい、部屋に帰ると癇癪を起こして自殺しようとする。
テロが発生してなんとか逃げ出すと、オズたちの部屋にいて取り乱すクレアにキレていた。
最後は窓から脱出しようと協力して布を繋ぎ合わせたヒモを出そうとして狙撃されて死んだ。

祖父(演:スクラージ・ディーパック)
最高級「タージマハル・ホテル」の宿泊客。孫娘のアティヤを連れて病気の娘を訪れていた。
スクラージ・ディーパックは代表作に『Terahvin』などがあります。
娘はもう助からないと分かっていて、遠くからアティヤを連れてお見舞いにやって来た。
最上階でテロを知ると、アティヤと息を潜めるが、火災が発生して煙を吸って倒れてしまう。
意識を取り戻して待機すると、テロリストは自殺した連絡を受けてアティヤと喜んだ。
最後は自殺はウソの情報だと知り、アティヤを隠してテロリストの前に出て射殺された。

アティヤ(演:ミヒカ・ラーオ)
最高級「タージマハル・ホテル」の宿泊客。祖父のグラッダとともに母親をお見舞いに来た。
ミヒカ・ラーオは本作が長編映画デビュー作となります。
母親がもう助からないと理解しておらず、城みたいなホテルに泊まっている事を話していた。
最上階にいてテロが起きても直接の被害はなかったが、火災による煙で祖父が倒れる。
ホテルの電話でテロは収まったと祖父は騙され、洗面台の棚にずっと隠れてやり過ごした。
最後は祖父の遺体を見てショックを受け、部屋の外に出てショーンに助け出されて生還した。

ヤーシーン(演:カビル・シン)
偉大なるイスラム教の殉教者として兄に説得され、アフマドとともにテロリスト行為をする。
カビル・シンは代表作に『Ben Hur: The Hollywood Legend Comes Alive』、『A Dusty Town』などがあります。
今回のテロリスト行為は正義の為だとして自分自身を納得させ、不安を持ちながら実行する。
計画通りに進めていくが、豊かなホテルの部屋やテレビ番組を見て少し気が咎められる。
途中で何度も挫けそうになるが、兄の強い言葉に従って生存者を見つけて次々と殺害する。
最後は目的だった兄妹と記者を見つけ、皆殺しにするもショーンとアティヤを逃してしまう。

アフマド(演:キーラン・クマール)
偉大なるイスラム教の殉教者としてヤーシーンの兄に説得され、テロリスト行為をする。
キーラン・クマールは本作が長編映画デビュー作となります。
ヤーシーンとともにホテルで何人も殺害していくが、そのせいで気が咎められてしまう。
一時的にトイレでパニックを引き起こすが、落ち着いてから計画通りに惨殺を行っていく。
今回のテロ行為に殉職者としてよりも、純粋に殺しを楽しんでいるように見える。
最後はヤーシーンとともにエダがいる部屋を発見し、反撃を受けるも銃を乱射して皆殺しに。

感想

個人的な評価

本作は2008年11月26日に起きた「ムンバイ同時多発テロ事件」をモチーフにした作品です。
これは「アメリカ同時多発テロ」と同様に“第二の9.11”とも呼ばれています。
同時多発テロという事で本作が舞台になっているホテルだけじゃなく、主に外国人向けの施設が狙われたようです。
この事件をキッカケにインドとパキスタンの緊張関係を一層悪化させてしまう影響を与えた。
とにかく、テロリストというのは卑怯すぎる手段であり、無関係な人々まで巻き込んで自分たちの思想を語っているクズどもです。
一応、テロリスト側には大義名分があっての行動だと言っているが、暴力では何も解決できない事を分かっていない。
もしくは、分かった上でテロ行為をしていて、どんな綺麗事を語っても実際に行っている出来事はクソみたいなモノです。
本作はテロリストの襲撃に追われた人々のドラマを描く群像劇で、武器を持った危険人物に怯えながら助けを待つ緊張状態を描いています。
登場人物は人種や年齢がバラバラであり、究極の緊張状態に置かれると、さすがにパニックを起こす人も出てくるだろう。
実話をモチーフにしている作品なので、映画としてのテンポが最悪でダラダラとした印象を持ってしまう。
しかも、近くにテロリストがいるのに緊張感がほとんどなく、何も考えずに待っているだけの消極的な映像は更につまらなくさせる。
とにかく、本作はテンポや演出が悪すぎて作品の質を落としていて、実話をモチーフにしている点だけでなんとか持っている感じでした。
行動しない大多数と違って行動する少数の方が生き残るという皮肉を描くが、これは意図してやったとは思えない。
こういう作品に緊張感を観ている側に与えないと、どうしようもなく退屈に感じさせる危険性を孕んでいるのに工夫がほとんどなかった。
実際にあった「ムンバイ同時多発テロ事件」の一端を知るには、本作の上映時間は長すぎたと思います。