監獄都市/プリズン・シティ RE-3151

作品紹介

公開年月  2019/06/21
ジャンル  SF/サスペンス
原作  なし
監督  S・A・ヘイルウッド
脚本  S・A・ヘイルウッド
製作  S・A・ヘイルウッド
製作国  アメリカ、イギリス
鑑賞方法  レンタルDVD

あらすじ

2039年、完全管理社会と化した世界で人々は体内にICチップが埋め込まれ、巨大ドローンが犯罪を取り締まっている。
管理局は超満員の刑務所の代替として「新都市」構想を始めると、送り込まれた囚人たちの活動をライブ中継して全市民が監視者となっていた。
更生の度合いは視聴者のジャッジによって決められ、その第1号となるハーディンは移送中にICチップを取り外して逃走を図るのだった。

登場人物&出演者

ハーディン・ジョーンズ(演:ジェイミー・ドレイヴン)
主人公。囚人。10年にわたって服役しているが、その生活をリアリティショーとして放映。
ジェイミー・ドレイヴンは代表作に『エヴリバディ・ラブズ・サンシャイン』、『Q-ZONE:隔離地区』などがあります。
知らない間に貧困層から絶大な人気を得ており、テレビ局が更に儲ける為に新都市へ移送。
富裕層のやり方を否定する弟たちに頼らず脱獄すると、名を捨てて一時的に平穏に暮らす。
弟がテレビ局のターゲットにされると、救い出す為に匿名性を捨てるもすべてを失う。
最後は死を偽装してリンデンの前に姿を現すも何もせず、今も新都市のどこかで生きる。

ナッシュ・ジョーンズ(演:ウィル・ロスハー)
ハーディンの弟。天才的なハッカー。パノプティコン・テレビに利用される兄を助ける。
ウィル・ロスハーは代表作に『アトランティスのこころ』、『ベンジー』などがあります。
新都市へ移送される兄を助けるべく、仲間を集めて得意のパルクールを使うも失敗する。
兄に懸賞金がかけられ、ピンチになったところで再会して匿名性を保つ道具を渡した。
焦ったニールセンによる次なる標的にされ、ハーディンの行うはずだった試練を強制される。
最後は全世界に死を見せるが、実は偽装でハーディンとともに新都市のどこかで生きる。

ペレルマン(演:クラーク・ピータース)
貧困層が暮らす廃墟でホームレスのグループを作る。逃亡するハーディンを助けている。
クラーク・ピータースは代表作に『アウトランド』、『ジョン・ウィック』などがあります。
その正体は統制チップを開発した人物だが、ニールセンに失脚させられて貧困層となった。
富裕層と戦うナッシュたちのグループを支援しており、ハーディンの匿名性を与えた。
ハーディンが平穏な生活を送っていたが、ニールセンたちに利用される弟を助ける彼を支援。
最後はテレビ局に侵入したハーディンにより、ハッキングをしてニールセンを失脚させた。

ニールセン(演:アリソン・ドゥーディ)
パノプティコン・テレビのCEO。囚人の生活をリアリティショーにして莫大な資金を得る。
アリソン・ドゥーディは代表作に『007/美しき獲物たち』、『皆殺しの流儀』があります。
特に人気のあるハーディンを特別視して、何も知らない彼のおかげで7000万の視聴者を得る。
新都市でハーディンに試練を課す前に逃げられてしまい、代わりに弟を使って強制させる。
現実を目の当たりにしたリンデンから激しく責められ、ナッシュが死んで企画が破綻する。
最後はハーディンによって悪事が暴かれてしまい、リンデンによってクビにされてしまう。

チャールズ・リンデン(演:ライナス・ローチ)
富裕層のトップ。ニールセンとともにパノプティコン・テレビを運営して莫大な資金を得る。
ライナス・ローチは代表作に『フライト・ゲーム』、『マンディ/地獄のロード・ウォリアー』などがあります。
あくまで富裕層として貧困層を支配していると自負し、ナッシュたちと対立を深めている。
ニールセンの組んだ囚人への試練に疑問を持ち、スラム街へ行くと現実を目の当たりにする。
現実を知って自分が裸の王様だと理解し、ニールセンの非道なやり方を批判していた。
最後は死んだはずのハーディンが姿を現すが、何も起きず彼を見逃して番組を終わらせた。

感想

個人的な評価

本作はアカデミー作品賞を受賞した『ハート・ロッカー』のプロデューサーであるドナル・マクスカーが参加しています。
ただし、本作はみんな大好きアルバトロスフィルムの配給なので期待値はいつも通りです。
統制管理された未来の世界は極端な『リベリオン』を彷彿とさせ、感情をあまり出さない点でも似たような印象を持ちました。
しかし、『リベリオン』には「ガン=カタ」という究極のアクションがあって、それだけで充分に楽しませるほどのポテンシャルを持っていました。
それに対して、本作は囚人の生活をリアルタイムで見て、彼をアイドル的な存在として世界中の人が熱狂しているという設定。
残念ながら設定は設定だけで終わってしまっていて、実際に映像としての表現がほとんどなくて説得力に欠ける作品となりました。
主人公である囚人のハーディンは多くの人を魅了するほどのキャラクターだという設定だけど、本作を観ている限りではほとんど感じなかったです。
そもそも世界観に抑揚が一切なく、主人公は追われているはずなのに「緊張感」とはかけ離れたノンビリとした逃亡生活を送っていました。
とにかく、本作のストーリーに観ている側を楽しませるような演出はなく、あくまで製作側の自己満足に終わっているような感じです。
中身が大してないのにワザと回りくどい表現をして、スタイリッシュな雰囲気を漂わせていますが、これに騙される人は浅はかとしか言えません。
小手先の下手な演出で満足するならばいいけど、残念ながらそのようなまやかしに騙される事ができず、権力者は卑しい存在という使い古されたネタも面白くない。
多分だが、本作の製作者は映画を芸術だと勘違いしているタイプで、社会派ドラマを組み込んだ本作は分かる人には分かるような感じで作ったのだろう。
エンターテイメントを観たい人と出発地点が違っているので、本作を娯楽として期待するならば早々に別の作品を鑑賞した方がいい。
相変わらずアルバトロスの作り出すジャケットや宣伝文句は素晴らしく、これで何人の犠牲者が出たのか分からない。
とりあえず、本作は見所が一切なく、淡々と物語が進んで設定だけが大きて中身が空っぽな退屈な作品で、それでも構わないなら人生の95分をムダに使いましょう。